ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」の懸念
ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」とは、ギャンブル依存症の早期発見、治療の為のセルフチェック式の4問のみの簡易テストです。開発に至った経緯は、現時点で使われるスクリーニングテスト「SOGS」「DSMー5」「20の質問」では
「算出方法が面倒」「質問数が多すぎる」「ギャンブル依存症者の対照群が一般人となっているため過剰診断になりがち」などという欠点があり、一般に広く用いられるには至っていなかった。そのためギャンブル依存症の予防教育や、早期発見、早期診断が実現せず、重症化してやっと家族が相談に訪れるという具合であった。(*1)
これらの欠点を補う為に開発したという事です。内容は以下の通りです。
LImitless
1.ギャンブルをする時には予算や時間の制限を決めない、決めても守れないOnce again
2.ギャンブルに勝った時に「次のギャンブルに使おう」と考えるSecret
3.ギャンブルをした事を誰かに隠すTake money back
4.ギャンブルに負けた時にすぐに取り返したいと思う。(*1)
早期発見や早期診断の問題点
この4つの質問に自分の1年以内のギャンブル経験が2つ以上あてはまったら、あなたはもうギャンブル愛好家ではなく、ギャンブル依存症に罹患している可能性がある。早めに相談機関を訪れることをお勧めする。(*1)
DSM-5
上記のように「1年以内のギャンブル経験が2以上あてはまったら相談機関に相談を推奨」しているが、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)では、予防的、早期介入を促す「精神病リスク症候群(弱性精神病症候群)」の診断カテゴリーを導入する提案があったのだが、米国心理学会やDSM-IV作成委員長のデューク大学名誉教授アレン・フランシス氏が強く反対して提案は破棄された。その理由として、アレン・フランシス氏はこう回答している。
精神病になると言われていた10人中9人が精神病にそうならないのです。精神疾患の予防法として立証されたものはありません。(*2)
「LOST」の信憑性
パチンコやスロットばかりをしていた当時の私を思い出して「LOST」でテストした結果です。
Q1.ギャンブルをする時には予算や時間の制限を決めない、決めても守れない
A.当てはまる
論理的に勝てる(期待値がプラス)台であれば予算や時間を決めずにやる。勝つのが目的だから至極当然。Q2.ギャンブルに勝った時に「次のギャンブルに使おう」と考える
A.当てはまる
勝つ事で快感や満足感、達成感を求めているのであれば当然。Q3.ギャンブルをした事を誰かに隠す
A.当てはまる
その場の状況によってはそれもある。Q4.ギャンブルに負けた時にすぐに取り返したいと思う。
A.当てはまらない
パチンコ、スロットを始めた知識の無い若い頃でも、すぐに取り返したいとはあまり思わない。
精神科の意図的な誤診
4問中3問が当てはまるが、社会的問題の無いギャンブル依存症者である。仮に、この結果を基に誤診の多いという精神科などを受診して、偶然にも利益のみを追求する精神科医に当たれば、故意に「処方薬依存」に陥らせる事をしたり、(「LOST」は利用していないが私の知人に実際にあった事だが衝動を抑える薬の)投薬等による自殺企図や自殺願望等を持つ事を考慮しない治療をすぐに始めるかもしれない。
また、過剰投薬で普通の生活が送れなくなるかもしれない。受診する側からすると、医師が誠実かどうかを判断する指標が無く、受診もギャンブルになってしまう。こういった問題点をどのように考えているのだろうか。
全ての精神科医が誠実であれば心配はいらないのだろうが、「LOST」で手軽に簡単にセルフチェック、診断できるという事は、安易に「ギャンブル依存症」などの診断を下される可能性を否定できない。また、ギャンブル依存症というレッテル貼りによる差別、本人の心理的負担もあるだろう。
そして、国内の世論を誘導する為に意図的に患者数を増やす為に利用するのではないか?という疑惑が生じてくる。
依存症問題を正しく啓蒙
ギャンブル依存症問題を考える会の代表・田中紀子氏のこのような記述にも非常に違和感を覚える。
2017年9月厚生労働省より、「ギャンブル依存症生涯罹患率推計:成人人口の3.6%およそ320万人」、「直近1年のギャンブル依存症罹患率0.8%およそ70万人」と推計が出された。 (*1)
「ギャンブル依存症生涯罹患率推計」「直近1年のギャンブル依存症罹患率」では、罹患した人の人数の推計や1年以内に罹患した人になってしまうが、正しい表記は「ギャンブル依存症に生涯で罹患の疑いのあった人の推計」であり、「直近1年のギャンブル依存症の罹患の疑いがあった人」である。意味が全く違う。
田中氏は「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」の発起人であるが、このようなギャンブル依存症者数を誇大に見せようとする誤った記述を常にしている。この意図的な誇大で誤った記述の背景には、ギャンブル依存症問題を考える会が依存症対策の為に、「各省庁の上に立って独立的にギャンブル行政を監督する機関の設立」を求めている事が背景にあるのだろう。
田中氏は講演等でもこういった誇大な表現をしているのだろうか。また、このような記述を否定せずに掲載しているメディアにも疑問を呈したい。
うつ病キャンペーン
厚生労働省は「うつは心の風邪」というキャッチフレーズで、「早期に発見し、早期に薬を飲めば治る」というキャンペーンを大規模に行った。抗うつ薬「SSRI」の国内販売と比例して、うつ病の患者数は1999年は「44万人」とそれまでの調査で横ばいだったのが、2000年を境に急増して2008年には100万人を超えている。
本来は治療の必要の無い人までが受診、投薬され、患者の急増につながった。これは米国、欧州、英国、豪州とで指摘されている。(*3)
急増の要因
DSMのような診断を一致させやすい操作的診断が普及したが、それが安易な診断が広がる要因となり、心因性、外因性、内因性を考慮せずに抗うつ薬を処方するようになったという。また、製薬会社はうつ病は脳の病気と啓発した。それが心因性や軽い抑うつ状態の人までが投薬治療を受け、うつ病の患者数の急増に結びついたのではないか。(*3)
そして、2010年当時の厚生労働大臣(立憲民主党・長妻昭衆議院議員)が製薬企業への天下り自粛を指示している。(*4)
ギャンブル依存症キャンペーンとうつ病キャンペーンの構図
ギャンブル依存症キャンペーンでは田中氏(ギャンブル依存症問題を考える会)が独立した依存症対策を推進する機関の設立を求め、その先にはギャンブル業界からの47都道府県に各1億円(47億円)を援助(*5)させようという。うつ病キャンペーンにおいては製薬会社がうつ病は脳の病気と啓発し、その先に製薬会社への天下り自粛があった。
共通点
どちらにも共通してるのは、治療に必要のない患者までも治療が必要であると促しており、「うつ病キャンペーン」の時には「SSRI」などの抗うつ薬の売上を増進させた。
翻って、「ギャンブル依存症キャンペーン」では「LOST」により患者数を安易に増大させて、「ギャンブル依存症問題は大きい」と世論を誘導して、ギャンブル依存症問題を考える会の求める「独立した依存症対策を推進する機関の設立」を達成させる。そこにギャンブル業界からの約50億円を援助させようとしてるのではないか。(*5)
これは、患者のリスクを全く考慮せずに、厚労省等が外部機関に利益をもたらすキャンペーンを図ることにより、天下り先の確保をしようとしてるのではないか。DSM-5で否定されている予防的、早期介入を促す「LOST」を容認するのも納得がいく。
はたして、田中氏はギャンブル依存症を本当に正しく啓蒙できているのだろうか?
(*1)参照・引用元・たった4問でわかる!ギャンブル依存症スクリーニングテストLOST誕生 - Japan in-depth
(*2)引用元・精神医療ダークサイド(元読売新聞東京本社医療部・佐藤光展氏著)(p177)精神科医・大野裕氏(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長を経て現在は顧問。皇后陛下・雅子さまの主治医)によるアレン・フランセス氏へのインタビュー。
(*3)参照元 - 精神医療ダークサイド(元読売新聞東京本社医療部・佐藤光展氏著)(p140~)うつ病キャンペーン
(*4)引用元・【長妻厚労相】製薬企業天下り自粛指示 - 薬事時報
(*5)参照元・たらい回し案件は誰かが真剣に何とかしようと思えば何とかなる!です - 田中紀子氏
参考・参照元 - 精神医療ダークサイド(元読売新聞東京本社医療部・佐藤光展氏著)
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