ギャンブル依存症とかのブログ

確率論に言及しないギャンブル依存症対策や治療に疑問を感じます。
不許複製。

タグ:篠原菊紀



ギャンブル依存症問題の真実

昨今の世間一般の人々のギャンブル依存症の認識は、最新の調査結果などのエビデンスに基づかないステレオタイプ化された誤った認識であり、また、日本で主となるパチンコやパチスロでは、風営法を遵守する為の「遊技機には遊技結果に遊技者の技量をある程度の反映をさせなければいけない」を全く無視した研究からは最適解は見出せず、最適な対策や啓発とはなり得ない。

そこで、本稿では元パチプロの視点からギャンブル依存症問題の真実を究明する。



賭博とパチンコ・パチスロ

先ず、「遊技機には遊技結果に遊技者の技量をある程度の反映をさせなければいけない」を法的な観点から解説する。賭博とは偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪を争う事であり、日本の主となるパチンコやパチスロは刑法第百八十五条の範疇となる。


刑法
第百八十五条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。(常習賭博及び賭博場開張等図利)

第三十五条
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。(正当防衛)(*1)

しかし、パチンコ店の営業は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条四号に規定されており、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則の規制範囲内での営業については、刑法第三十五条の「法令又は正当な業務による行為」となり、刑法第百八十五条の適用を免れる事が衆議院でも答弁されている。


風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第二条
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業(*2)

衆議院議員緒方林太郎君提出風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問に対する答弁書
ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。(*4)

パチンコやパチスロにおいて、風営法施行規則第八条により著しく射幸心(偶然に財産的利益を得ようとする心)をそそるおそれのある遊技機は禁じられており、遊技機には遊技結果に遊技者の技量をある程度の反映をさせなければいけない。


風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準)*抜粋
第八条
遊技の公正を害する調整を行うことができる性能を有する遊技機であること、客の技量が遊技の結果に表れないおそれが著しい遊技機、又は遊技の結果が偶然若しくは客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機であること。(*3)

また、意図的に遊技台の出玉推移を操作する遠隔操作や、そのような調整機能を有する不正基板を使用した遊技機は、公平性を損なう遊技機や客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機となり規則違反となる。遠隔操作等は確率論の範疇であるベルヌーイ試行等を否定するものである為、風営法施行規則第八条の一部は、後述する遊技台の大当たりに関する確率論を用いた理論等を保証するものとなっている。



パチンコやパチスロの技術介入要素

風営法施行規則第八条の一部により、パチンコの遊技球の発射やその強弱を遊技者側で任意に調整する機能や、パチスロのリールを遊技者側で任意に停止させる機能が搭載されている。


風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準)*抜粋
第八条
客が直接操作していないにもかかわらず遊技球を発射させることができる遊技機であること、遊技盤上の遊技球の位置を客の技量にかかわらず調整することができない遊技機であること

回胴の回転の停止を客の技量にかかわらず調整することができない遊技機であること(*3)

これらの機能を利用し出玉の増加や節約を行う技術は、所謂、技術介入要素と呼ばれるものであり、遊技結果に影響を及ぼすものである。また、他にも遊技結果に影響を及ぼす知識や技術も存在する。本稿では便宜上、技術介入要素はこの段落で紹介する技術や知識を全て含むものとする。



国家公安委員会から遊技機試験及び型式試験の指定試験機関として指定を受けた一般財団法人保安通信協会(略称:保通協)により、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(以下、遊技機規則)に適合しているか否かの試験を行なっている。

その規則に規定された基本的な遊技機の仕様や、規則の範囲内の個々の遊技機の仕様により、遊技者間での差となり収支に大きな影響を与える知識が存在する。



他にもパチンコ店側での営業形態などにより遊技者間での差となり、収支に大きな影響を与える知識や技術が存在する。




パチプロ(専業)などの上級者の存在

技術介入要素の実行力の高い(技術介入力の高い)パチプロ(専業)などと呼ばれる上級者は、技術介入要素の技術や知識を完璧に理解、実行する。それによりその遊技台が勝てるか否かを判別し、勝てると判別した場合は長時間の遊技をし、負けると判別した場合は短時間の遊技で終了する。使用金額を最小限に抑止し、勝てる金額を最大限に引き上げる。

しかし、パチンコ店側で勝てる設定に調整した台が無ければ勝てない為、技術介入力の高さは常に勝利を保証するものでは無い。

一方で、ギャンブル依存症(以下、遊技障害を含む)の疑いの当事者には、パチンコ業界団体である公益財団法人日本遊技機工業組合社会安全研究財団(以下、社安研)の2020年のパチンコ・パチスロ遊技障害研究成果中間報告書(以下、社安研調査(2020))で判明している、「月の遊技負け額が多い」「ギャンブルやパチンコ・ パチスロのための現在の借金がある」(*5)などの強く関連している項目がある。


ギャンブル依存症当事者と上級者の比較チャート

ギャンブル依存症疑いの当事者と上級者を比較対照した項目の差異は、技術介入力の高低が問題に起因している事実を裏付けるものとなり、技術介入要素の実行力の低い(技術介入力の低い)ギャンブル依存症疑いの当事者が大幅に負け越したる要因となる。

パチンコやパチスロに精通していない方の全員が誤解していると断言しても良いが、パチンコやパチスロは如何にお金を使用せずに当たりを得られるのかのゲームであり、お金を使用し当たりを期待するゲームでは無い。




風営法による技術介入要素を無視したギャンブル依存症の定義

パチンコやパチスロの賭博性は風営法を遵守する為の遊技機の仕様や営業により阻却される為、遊技者の技量が遊技結果にある程度の反映をされる、如何にお金を使用せずに当たりを得られるのかのゲームとなり遊技となる。

しかし、ギャンブル依存症の診断基準である、DSM-5(米国精神医学会)、ICD-10(WHO)、ICD-11(WHO)、SOGS(サウスオークス財団)、20の質問(ギャンブラーズ・アノニマス、自助グループ以下、GA)、PPDS(社安研)らに共通する定義である「持続的で反復する問題賭博行動」の賭博は、偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪を争う事である。



つまり、お金を使用し当たりを期待するゲームである賭博が前提条件であり、如何にお金を使用せずに当たりを得られるのかのゲームである遊技を前提条件としていない。

また、ICD-10、ICD-11以外の診断基準には「負けた時に取り返そうとギャンブルを行う」とあるが、それではなぜ、パチンコやパチスロは遊技者の技量が遊技結果に反映される仕様であるのに、その基本的な仕様や定石である技術介入要素の知識についての設問追加を日本の精神医療が検討しないのかは疑問である。



パチプロなどの上級者にはギャンブル依存症当事者は存在しない

ギャンブル依存症の定義は賭博が前提条件であるが、パチンコやパチスロは風営法を遵守した賭博性を阻却される遊技であり、その遊技機仕様により全台で払戻率は一律では無く、パチンコ店側で試行回数が増加する程に勝てる台と、試行回数が増加する程に負ける台(払戻率)が台毎に設定でき、パチンコ店が控除した金額と遊技者の利益は遊技者間でゼロサムになる。

従って、遊技者の試行回数が増加した場合、確率論である大数の法則により偶然性が阻却される為、遊技者間で技術介入力に格差が生じていれば、必然的に技術介入力の高い上級者は利益が多くなり、技術介入力の低い初級者は損失が多くなる。



ざっくりとした図になってしまうが、技術介入力の高い上級者はパチンコでは大当たり抽選入賞口への入賞率を高く調整した台を釘を見る技術で見極め、ボーダー理論により高期待値で利益が望めるかを判断し、止め打ちやひねり打ちの技術で出玉の増加や節約をし、利益が望める場合には長時間の遊技をする。


パチスロの分布と損益分岐点

パチスロでは設定判別が可能な機種では高設定か否かを判別し、高設定で利益が望める場合には長時間の遊技をする。高度な目押し技術で出玉の増加や節約が可能な機種も存在し、最低設定でも高度な目押しの精度が高ければ、目押しができない者では負ける低設定でも勝てる機種が存在する。

上級者はヘビーユーザーである者が多いにもかかわらず、パチンコやパチスロの問題を有していない事実があり、ギャンブル依存症当事者が存在しない事から、技術介入要素や遊技機の仕様を無視した賭博が前提条件である定義の適用は誤りとなる。虚偽だというのであれば、SNSなどで「(パチンコ or パチスロ) and (期待値 or 専業 or プロ)」と検索して確認してみるのが良い。

「投資」という側面を持つパチンコやパチスロ等は、行為を直接的に制御する要因を確率論で定量化して論理的に説明する事が可能である。



風営法による技術介入要素を無視した研究

2019年の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、以下、中医協)での「ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について」では、報酬系に異常が起きる事でギャンブルで得られる報酬予測に異常をきたし、ギャンブルを止める判断に支障が生じる(*6)とされている。

ギャンブル依存症当事者の脳機能の異常
出典・ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について(総ー3「外来(その3)(かかりつけ医機能、その他)」) | 中央社会保険医療協議会(厚生労働省の諮問機関)

健常者群の内訳が判然としないが、ギャンブル依存症群特有であり、その行為によって異常をきたすのであれば、その行為への興味の有無が重要である。その理由は、ギャンブル依存症の存在しないヘビーユーザーかつ健常者群であるパチプロなどの上級者が存在するからである。比較するのであれば、その上級者とギャンブル依存症当事者との比較が適切である。

ギャンブルによって異常をきたすのであれば、ギャンブル依存症以前と以後の同一人物の縦断的調査も必要な筈である。これではその個人が元々そのような機能異常を有してしたのか、ギャンブルによって機能異常が発生したのかが判別できない。


海外の研究では、Maria Ciccarelliらの研究(2016)(*7)において、ギャンブル依存症当事者が確率論についての知識を有していてもギャンブル依存症の予防とはならないと紹介されているが、その知識をギャンブルというゲームのルールに当てはめ、活用できていなければ全く意味は無い。

元々、カジノでは技術により払戻率が100%を超えるゲーム(ブラックジャックとポーカー=テキサスホールデムを除く)が存在せず、確率論の知識を有していても総合的には勝てない。


また、2010年の独立行政法人放射線医学総合研究所研究センター 分子神経イメージング研究グループ客員研究員・高橋英彦氏(現東京医科歯科大学精神行動医科学教授)らの研究では、大脳基底核の線条体ドーパミンD1受容体の密度が低い人ほど低確率に期待感を持ち高確率に不安感を持つ傾向があり、ドーパミンD1受容体の密度の高い人は冷静な意思決定をする傾向が判明している。この研究がギャンブル依存症の治療に繋がる期待があるとしている。(*8)



しかし、パチンコやパチスロでは風営法を遵守する為の遊技機の仕様により、論理的に遊技開始や継続可否を判別する事が技術介入要素により可能である。上級者は技術介入要素に基づいた行動により、その台が高期待値で利益を望めるか否かを論理的に判断する。

技術介入要素を認識し用いれば、報酬の予測に異常をきたす事無く論理的に止める判断もでき、低確率に期待感を持つ事も関係無く、知識が結果に反映される。ギャンブルについて研究するのであれば、「独立試行(ベルヌーイ試行)や大数の法則を認識し欠損した期待値により負ける事を認識した後にも持続的で反復する問題賭博行動を起こすのか」である。

技術介入要素を無視した医療側からだけの視点での研究では最適解は見出せず、中医協のギャンブル依存症の公的医療保険適用の決定は誤りである。



全ての依存症が同一では無い

依存症専門家である田中氏が代表を務める公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会での高知東生氏を起用した動画では、全ての「依存症が同一である」というエビデンスに基づかない啓発をしている。


「みーんな、知らない依存症(全3話)」- ギャンブル依存症問題を考える会



それを元パチプロ視点で考察した場合、パチンコやパチスロでの目的の一つである遊技(行為)を行っただけでは「勝って利益を得る」というもう一つの目的が達成されずに「負けて損失を被る」場合もあるが、薬物依存では目的の一つである飲酒や薬物摂取などの行為を行った場合に、無条件で薬理作用の獲得というもう一つの目的が達成される。

つまり、パチンコやパチスロでは行為後の目的の達成に条件が付加されるが、薬物等では行為後に無条件で目的が達成され、行為自体の構造に違いがある。


ギャンブル依存症フロー比較

また、「投資」という側面を持つパチンコやパチスロ等では、行為を直接的に制御する要因を確率論で定量化する事で論理的に説明できるのだが、「購入して消費」または単に「消費」するだけの酒や薬物、ゲーム等の行為は、情緒的に説明する事や間接的な要因を定量化する事では説明できるのだが、直接的に制御する要因を定量化する事では説明できない。両者を同列に扱うのは論理が破綻している。

持続的で反復する問題賭博行動のリスク

持続的で反復する問題賭博行動のリスクは、「向かわせる要因」である個々人の精神疾患リスクやストレス等の外的要因、「興味を持続させる要因」である当事者がゲームとして捉えた場合の興味の高さやパチンコやパチスロに対しての認知の歪み、「興味を制御させる要因」であるパチンコやパチスロに即した確率論の知識や立ち回りを数値化し、リスクの定量化が可能である。

また、2021年の「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題実態調査」報告書(以下、久里浜実態調査報告書(2021))(*13)では、過去一年で経験したギャンブルで多かったパチンコやパチスロが、ギャンブル依存症疑い当事者の過去一年で最もお金を使用したギャンブルや、ギャンブル依存症当事者での問題となっているギャンブルになっており、ギャンブル依存症リスクが高くなる事を示唆している。

対して、過去一年で最も多く経験者がおり、最も多くのお金を使用した「宝くじ等」が、ギャンブル依存症疑いの当事者での最もお金を使用したギャンブルや、ギャンブル依存症当事者の問題となっているギャンブルでは下位であった。これは、宝くじ等のギャンブル依存症リスクが低くなる事を示唆しており、この着目した二つの事実から、払い戻し率の高低やそのゲームの構造によりリスクが変動すると考察した。

作中で依存症は「特定の何かに心を奪われてやめたくてもやめられない」と紹介されているが、DSM-5、ICD-10などでの診断基準は操作的診断であり、診断基準を満たしていなければギャンブル依存症では無く、日本ではパチプロなどの上級者が存在する為、診断基準を満たしても生活に支障が生じていなければ問題が無い可能性もある。


操作的診断とは
臨床症状に依存して診断せざるを得ない精神疾患に対し、信頼性の高い診断を与えるために、明確な基準を設けた診断基準である。(*14)

高知東生氏は「依存症は誰しもがなる可能性がある」と作中で紹介しているが、久里浜実態調査報告書(2021)における調査票の設問「過去1年間で経験したギャンブル」においての選択項目である「証券の信用取引〜」の注意書きには、「仕事などの業務で行うものは除く」とある。つまり、国立である久里浜医療センターが、仕事などの業務レベルと同等の金融工学、統計学、確率論の知識を持つ者が「証券の信用取引〜」を行った場合には、ギャンブル依存症に陥らない事実を認めている事になる。

この事実が存在しながら、業務で金融工学を用いて利益を追求している者がプライベートでは情緒的な思考で莫大な損失が出るまで「投資」を行うと断言し、「依存症は誰しもがなる可能性がある」と主張するのであれば、もはや詭弁以外の何者でもない。そもそも「証券の信用取引〜」を金融工学を用いて業務として行う者が存在するのであれば、「証券の信用取引〜」はギャンブルでは無い。



依存症は同一で不可逆的に変性するという主張

田中氏は依存症は全て同一でドーパミンが関連(*18)しており、依存状態に陥ると脳内報酬系が不可逆的に変性すると主張しているが、大阪大学非常勤講師・井出草平氏のドーパミン放出量測定を取り上げた記事(*15)では、ドーパミン放出量の基準値を100%とした場合、食品で150%、ゲームで175%であり、違法薬物であるコカインは450%、覚醒剤であるアンフェタミンなどは1000%〜とされ、行為と薬物でのドーパミン放出量には顕著な差が見られる。



  • 基準値100%
  • 食品150%
  • ゲーム175%
  • セックス200%
  • コカイン450%
  • アンフェタミン1000%
  • メタンフェタミン1300%(*15)

非常に高いレベルの放出量である薬物の薬理作用は、コカインではシナプス前終末のモノアミン・トランスポーターを阻害しシナプス間隙の神経伝達物質の濃度を上昇させるが、アンフェタミン・メタンフェタミン(覚醒剤)ではコカインの作用に併せてモノアミン・トランスポーターでの物質交換によりドーパミン放出を促進、シナプス前終末のシナプス小胞に入り込み、シナプス小胞の許容量を超えた神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。これによりシナプス間隙の神経伝達物質の濃度が上昇し情報伝達が強固になる。



覚醒剤使用により脳内報酬系が不可逆的に変性するという研究(*16)によれば、覚醒剤使用経験者のセロトニン・トランスポーターの密度が健常者より低下、コカイン、覚醒剤乱用者では大脳基底核のドーパミンD2受容体が減少し、そのドーパミンD2受容体が眼窩前頭皮質での局所糖代謝率が関連して、線条体のドーパミンD2・D3受容体利用率が健常者より低下する。

日常生活の行為でのドーパミン放出量は薬物と比較すると放出量が低く、日常行為によるドーパミンが要因で脳内報酬系が不可逆的に変性するという主張は再考の余地があるのではないか。

行為依存に陥る要因として発達障害が議論の俎上に載せられるが、発達障害では脳内報酬系の機能障害として、シナプス前終末のモノアミン・トランスポーターが過剰に働く事や、シナプス後細胞のドーパミン受容体が機能不全で神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン等)の情報伝達がされにくい状態である事(*17)が判明している。





公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授・篠原菊紀氏の指摘

脳科学者でありギャンブル依存症研究者である公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授・篠原菊紀氏(以下、篠原教授)は「やる気」でもドーパミンが関わり、薬物依存と行為依存にはドーパミン関連の報酬系が共通して関わるが両者を同一視してはならないと指摘している。



これは私の仮説になるが、その行為が興味の対象であった場合にドーパミンが放出され、他の行為より神経伝達が強固になる事が依存の要因の一つになるのではないか。

つまり、行為依存は報酬系が不可逆的に変性したのではなく元来からの機能障害(発達障害)が関連している可能性がある。田中氏は自身のブログで依存対象行為以外ではドーパミン(神経伝達物質)が放出されづらくなる(*18)と主張するが、行為依存当事者は元来の機能障害(発達障害)により神経伝達物質の情報伝達がされづらい者であり、薬物依存当事者の場合には薬理作用により機能障害が発生し、神経伝達物質の情報伝達がされづらくなる者である。

また、薬物依存者には元来の機能障害(発達障害)の者も存在(*19)するが、両者において薬物依存になった場合に機能障害(発達障害)が進行し、以前と同一量の薬物を摂取しても効果が得られず薬物の量が増加する。

一方で、行為依存であるギャンブルにおいてカジノなどで賭け金が増加する根拠は、以前と同一レベルでの賭け金では馴化により興味が失われる。脳科学的には前頭葉から小脳線条体へ処理が移行し、報酬予測が低下、飽きが加速し、ドーパミンが放出されなくなる事により賭け金が増加する。このような薬物依存と行為依存の違いがあると考察した。(*20)

また、前述の動画においてはギャンブル依存症を単一疾患、一次障害としているが、その背景にはアルコール等と同様に質的にしか捉えない臨床心理学の研究がベースになっている事が挙げられる。篠原教授はギャンブル依存症などの行為依存において、発達障害などの併存障害問題の存在は明白であると指摘し、ギャンブル依存症を単一疾患と捉える事を否定している。

田中氏は依存症は全て同一であると主張する、その科学的エビデンスを提示して頂きたい。



海外調査では併存障害についても報告されており、Dowling NA et al.(2015)では併存障害が発達障害などを含めて74.8%以上、National Center for responsible gambling (2017)では、三つ以上の精神疾患の併存が64%、二つ以上併存が22%、一つが10%、併存障害無しは3.7%という調査結果がある。 (*21)

加えて、カナダ・マニトバ大学Jennifer TheuleらのADHDとギャンブル依存症の重症度の調査(2016)、では、ADHDとギャンブル依存症の重症度に有意な関連性があり、年齢上昇で関連が強まる事が判明している。(*22)

日本のデータでは、2019年のパチンコ依存問題相談機関リカバリーサポートネットワーク(以下、RSN)への相談が延べ5222件(初回相談は3203件)あったが、その初回相談の中で相談者が当事者だった2662件中、パチンコやパチスロ以外の関連問題の有無を1648件で確認できたが、関連問題を有していたのは607件(37%)だった。

関連問題の内訳(複数回答も含む)は、狭義の精神障害(**1*)が369件(61%)。精神障害その他(**2*)が206件(34%)。アルコール問題が35件(6%)だった。(*19)



2021年の社安研のパチンコ・パチスロ遊技障害研究成果最終報告書(以下、社安研調査(2021))での縦断的調査においても、遊技障害(ギャンブル依存症)促進要因として、最も強く長期的に影響を及ぼしている要因は神経症傾向であると判明している。

また、篠原教授は自身のブログで、「Burmeister Mら(2008)の研究では主要な精神疾患の遺伝率が判明しており、統合失調症が70%~80%、双極性障害60~85%、うつ病が40%、自閉症が90%、ADHDが60%~90%、パニック障害が40~50%、強迫性障害が60%~70%である」と研究結果を引用しており、個々人の精神疾患は遺伝的影響の傾向が強い事が判明している。(*23)

発達障害の二次障害には、希死念慮、うつ症、適応障害、PTSD、感情障害、不安障害、嗜癖行動等がある。あくまでも推論になるが、不安障害等の併存障害等は発達障害の診断が確定した者の実数が少数でも、一次障害である発達障害の傾向のあるグレーゾーンの者が多く存在する可能性が高い。(*24)

私がパチンコやパチスロを指導していた当時(**3*) に、遊技を制御する迄に時間を要した者に精神科通院歴の有無を聞き取りしたが、全員がギャンブル依存症と診断され、発達障害、もしくは発達障害グレーゾーンが併存する者であり、パチンコやパチスロを始める以前の若い頃に発達障害と診断されていた者が多数存在した。この事実から、ギャンブル依存症と発達障害や発達障害グレーゾーンは相関しており、重症化は因果関係であると考察した。



田中氏は世界各国の調査結果から発達障害などの併存障害が指摘され、最新のICD-11(WHO)でも併存障害の存在が明記されているにも関わらず、その点に全く言及せず、ギャンブル依存症を単一疾患と捉えていると考えられる。


学会で一番納得したのは、2組のチームで「ギャンブル依存症と重複障害」について、発表されていたのですが、どちらもおよそ7割前後については「重複障害なし」との結果だったんですね。

「ギャンブル依存症の殆どは自然治癒し、治癒しない重症者はその人自体になんらかの問題がある」という主張です。その何らかの問題としてあげられているのが「ギャンブル依存症=発達障害」と言われるものです。「ギャンブル依存症は全部発達障害だ!」という暴論と、これまでも我々闘って参りました(*25)

また、現代ビジネスの記事においても田中氏は、自身のギャンブル依存症は家庭環境に原因があると考察しているが、篠原教授のブログ記事を参照させて頂くと、Wendy S. Slutskeら(2010)のギャンブル依存症の遺伝的影響や環境的影響に関しての双生児研究では、遺伝的影響が49.2%で男女差が無く、残り約50%が環境要因であり、その比率は非共有環境(家庭以外の環境)がほとんどを占めており、共有環境(家庭環境)の影響はほぼ0%である、としている。(*26)

この調査結果は、田中氏のギャンブル依存症は家庭環境に原因があるという考察を否定している。

私は結局、ギャンブルの影響を大きく受けて育ち、祖父、父、私と"3代続くギャンブラー家系"になってしまいました。(*27)

篠原教授は田中氏が唯一推奨するギャンブラーズ・アノニマス(自助グループ、以下GA)の診断基準である20の質問においても、DSM-5(米国精神医学会)、ICD-11やICD-10(WHO)、SOGS(サウスオークス財団)、PPDS(社安研)等と相対化なされていないと指摘しており、医療機関においてギャンブル依存症が過剰診断になっている可能性を示唆している。


*EGM = スロットマシン




自己治療仮説とシナプス可塑性



田中氏はギャンブル依存症では依存症以前より心理的な苦痛を感じており、その嫌な気持ちや溜まったストレスを解消する為の方法が無く、自己治療仮説によってパチンコを遊技し解消するとしている。



しかし、ICD-10、ICD-11以外の診断基準には「負けた時に取り返そうとギャンブルを行う」とあり、結果に関係無く苦痛を取り除く為に行為に向かわせるのは自己治療仮説だが、結果を求めるギャンブル依存症の診断基準とは矛盾する。

社安研調査(2020)では、単純な因果論では説明が難しく、ギャンブル依存症には同一の対象に対しての相反する感情を有する両価性があると指摘している。(*5)


  • 目的の並立
  • 目的はその時どきで変化している
  • 目的は勝つためでもあるし、負けるためでもある(*5)

また、2013年の病的ギャンブリング(いわゆるギャンブル依存)の概念の検討と各関連機関の適切な連携に関する研究(厚労科研調査)では、ギャンブル依存症は3タイプに分類しており、特に背景要因の無い単純嗜癖型、他の精神障害先行型、パーソナリティー障害などの問題型に分類している。全てが自己治療仮説では無い。(*28)

私見になるが、田中氏は「一度たくあんになった脳は二度と大根には戻らない」「慢性疾患で症状が悪化する」「回復はするが完治は無い」と主張するが、それは発達障害などでシナプスのドーパミン受容体やモノアミン・トランスポーターが機能障害の状態であり、つまり、元々が「たくあん」の状態であった為に重症化や反復をしやすいと考察できる。



一方で、ギャンブル依存症等調査における2017年の独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターのギャンブル依存症全国調査(以下、久里浜調査)や2018年のパチンコ・パチスロ遊技障害全国調査(以下、社安研調査(2018))の回復率の高さ(約80%)は、その体験などからシナプス可塑性により脳が柔軟に対応した結果であり「回復はするが完治は無い」は誤りである可能性が高い。


シナプス可塑性
新しい経験や体験などによって脳が活性化され、シナプスの通りが良くなれば伝達物質の放出量が増え、数が増えれば接点が増える分、情報をたくさん伝えられる・受け取れるという効果がみられます。こうした人の経験や体験によって変化する柔軟性の実態が、『シナプスの可塑性』だと考えられています。(*30)

その根拠として、私は10年程前にパチンコやパチスロを指導していた経験があり、指導していた者の中で精神科でギャンブル依存症と診断された者が多数いたが、技術介入要素の技術や知識を理解した後に、持続的で反復する問題賭博行動を起こす者は一人もいなかったからである。

最新版のICD-11(WHO)において「危険なギャンブリング」というギャンブリング障害とはならない診断項目が追加されたが、これは一定期間に渡り診断基準を満たしていても、回復率が高い事から新設されたのではないだろうか。



ギャンブル依存症診断ツール「LOST」

田中氏はギャンブル依存症が「進行性で不可逆的」として、自記式4問の簡易診断手法である「LOST」での早期介入を主張し啓発しているが、回復率が約80%であるギャンブル依存症では、依存リスクの全く無い技術介入力の高い遊技者や健全遊技者でも過剰診断となる可能性が非常に高い。

DSM-5では予防や早期介入を促す「精神病リスク症候群(弱性精神病症候群)」の診断カテゴリーを導入する提案があったが、米国心理学会やDSM-IV作成委員長のデューク大学名誉教授アレン・フランシス氏が精神医療における早期介入の危険性を指摘し、強く反対して提案は破棄された。

その理由として、アレン・フランシス氏は精神科医・大野裕氏(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長を経て現在は顧問。皇后雅子さまの主治医)によるインタビューでこのように回答している。


精神病になると言われていた10人中9人が精神病にそうならないのです。精神疾患の予防法として立証されたものはありません。(*31)

これは社安研調査(2018)での、遊技に伴ってPPDSの因子に準じた内容の問題を1つ以上生じた経験を有する者の全体の2割のうち、82%が現在は一つも問題が無いと回答している調査結果と近い数値であり、久里浜調査(2017)での「生涯でギャンブル依存症が疑われる者の推計値が約320万人」と「過去1年以内にギャンブル依存症が疑われる者約70万人」を比較した際の数値である約80%とも近い数値である。

また、LOSTでの過剰診断により精神科を受診する費用や無駄に費やした人生の貴重な時間は誰が補填するのか。

受診する側からは医師が誠実か否かを判断する指標が全く無く、不誠実な精神科医を受診し、安易にギャンブル依存症や他の精神疾患と診断される可能性を否定できず、全く治療の必要の無いギャンブル依存症当事者が増加する懸念がある。



タフラブのリスク

田中氏は当事者が自ら抱えた問題に極限まで追い込まれ改心するまで見放す、「タフラブ」というアルコール使用障害者への対応方法を推奨しているが、専門家が介入せずに動画に啓発され、知識の無い素人である一般人のみで実行した場合、ギャンブル依存症では負債増加で極限まで追い込まれ、その問題に対応できなくなり自殺する可能性もある。


「タフラブアニメ Vol.1 ショック! 夫が借金を隠していた」- タフラブキャンペーン公式チャンネル



ギャンブル依存症の回復

ギャンブル依存症当事者はパチンコやパチスロの仕様や技術気介入要素の正確な知識を有しておらず、それが要因で認知の歪みを有している場合も有る。その為、ギャンブル依存症当事者は非論理的な判断により勝てるか否かを判断しており、持続的で反復する問題賭博行動を行い負債を増加させる。このような理由がありながら、なぜ、負債で極限まで追い込まれる「タフラブ」を敢えて実行する必要性があるのだろうか。


認知の歪み
その個人に現実を不正確に認識させ、ネガティブな思考や感情を再強化させうるとされている。(*32)

回復する為には技術介入力を向上させる指導により論理的な判断に転換し、利益獲得行動を増加させるのがオペラント条件付けの正の強化となり、ギャンブルを適切に管理する為の効果の高い認知行動療法になる。これは直ちに止められない場合にはギャンブルによる負債を抑制するハームリダクションとなる。


オペラント条件付けの正の強化
条件づけの対象とする自発反応をオペラント反応またはオペラント行動、その直後に与える報酬などの刺激を強化子(reinforcer)、強化子を与える操作を強化(reinforcement)と呼ぶ。オペラント条件づけの基本は、オペラント反応-強化子の関係(強化随伴性contingency of reinforcement)を設定し操作することである。報酬のように、与えることで反応の生起頻度を増大させる強化子を正の強化子(positive reinforcer)、嫌悪性の刺激(嫌な匂いや暗闇など)のように、それを取り去ることで反応の生起頻度を増大させる強化子を負の強化子(negative reinforcer)と呼ぶ。(*33)

認知行動療法
認知療法は物事の捉え方の偏り(認知の歪み)に着目し、その認知を修正、改善させる。行動療法は適切では無い行動をオペラント条件付けで適切な行動へ改善させる。この両者を合わせたのが認知行動療法である。(*34)

ハームリダクション
ハームリダクション(英語: harm reduction)とは、今日では、個人が、健康被害や危険をもたらす行動習慣(合法・違法を問わない)をただちにやめることができないとき、その行動にともなう害や危険をできるかぎり少なくすること(*35)

勝てるか否かの非論理的な判断(予想)は興味(面白さ・楽しみ)になるが、その興味を技術介入要素による論理的な判断により作業に転換し、遊技自体への興味を消費する事で持続的で反復する問題賭博行動を抑制する。


ギャンブル依存症フロー



12ステップの回復率は低い

他の認知行動療法などやギャンブラーズ・アノニマス(自助グループ、以下、GA)の強迫的ギャンブル(強迫的ギャンブル≒病敵賭博≒日本でのギャンブル依存症)のように「絶対にやめなければいけない」という定義で、回復(治療)療法である12ステップを実行しただけではその療法がその行為の代替とされただけであり、対象である行為への興味が持続的であり消費されない場合がある。それが回復率の低さや再発に繋がるのではないか。


強迫的ギャンブルとGA*抜粋
問題あるギャンブラーにとって、ささいな賭けに手を出すということは、アルコール依存症者が「最初の一杯」に手を出すのと同じことである。遅かれ早かれ、かつての破壊的なパターンに戻ることになる。

GAメンバーは、たとえコーヒー一杯だけのささいなものであろうと賭けに手を出すがことを避けなければならないのだということに気がついている。

正直であれば、ほとんどの人が、自分の力では解決できないこともあるのだということを認めるだろう。(*36)

また、社安研調査(2021)では、12ステップでの「自分の力で解決できない≒自分で止める事ができない」という認知が発症や進行に強い影響がある事(*37)が判明しており、加えて、篠原教授は過去の資料から「回復率は1年後は8%、2年後は7%」であったと指摘している。



回復施設であるギャンブル依存支援施設ワンデーポート(2000年設立)では、田中氏が唯一推奨する12ステップを、当初は全員にGAで行う事を指導していたが、12ステップでは80%以上が離脱し、また、それを行う事によって弊害が発生する事から2008年頃から12ステップを取り止めており、個々人への対応を重視する方針へ切り替えている。(*38)



最新版のICD-11(WHO)では強迫的ギャンブルによるギャンブルはICD-11の定義するギャンブリング障害の行為ではないと明記された事や、12ステップに参加する事が重症化に強い影響を与える可能性が高い事が判明しているにも関わらず、田中氏は80%〜90%強が離脱する12ステップのみを推奨しているが、明確な理由を明示できなければ、それを遂行できる数%の者だけの利益になり、大多数の者の不利益となる可能性が高い。これは不特定多数の者の利益とはならず、公益性のある啓発とはならない。



公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会田中紀子氏の誤り

田中氏は「ギャンブル依存症の罹患者=病気になった者」とブログやツイッターなどのメディアで拡散するが、あくまで「ギャンブル依存症が疑われる者の推計値」であり、全くの誤りである。なぜ誇大な表現をするのかが疑問である。



チャンネル登録者数270万人の海外メディアの取材に対しても、久里浜調査(2017)で「生涯でギャンブル依存症が疑われる者の推計値が約320万人」と発表されているものを、「320万人がギャンブル依存症と闘っている」という誤った認識を世界に向けて拡散している。このような行為は日本人に対しての誤った印象を全世界に植え付ける行為である。なぜ、日本人であり公益法人代表である田中氏が慰安婦問題のような手法を用いているのかは甚だ疑問である。


「This Ex-Gambling Addict Helps People With Gambling Addiction In Japan | EVERYDAY BOSSES #34」



前述の久里浜調査(2017)での「生涯でギャンブル依存症が疑われる者の推計値が約320万人」は、生涯のいずれかの期間で診断基準を満たした状態が連続12ヶ月継続した状態であるが、現在は回復している者を考慮すると「過去1年以内にギャンブル依存症が疑われる者約70万人」が現状を把握する数値である。しかし、あくまでも疑いの数値であり実数ではない。つまり、田中氏が用いる「320万人」という数値は現状に即していない数値となる。


ギャンブル等依存症調査比較

また、久里浜調査(2017)で使用された診断基準SOGSでは統計手法であるWilliamsの補正が必要であると篠原教授は指摘している。



篠原教授はマスコミ報道や体験談などの高額な借金(久里浜医療センター総額中央値400万円)はギャンブル依存症と診断された者の話であり、全国調査による依存症疑いと混同してはいけないと指摘している。社安研調査(2018)では借金400万円以上は0人(2万人以下)であり、久里浜調査(2017)の依存症疑い生涯320万人や直近1年の依存症疑い70万人の全ての者が、マスコミ報道のような高額な借金をしていないという事実に留意すべきである。



社安研の全国調査では最大でも2万人以下の規模であり、2017年の久里浜医療センターでのギャンブル依存症での外来人数は3499人、入院が280人(*40)である。マスコミ報道や体験談などの借金をする者の実数はかなり低いと考察できる。しかし、田中氏はこのような実数の少なさにも拘らず、過去には47都道府県に各1億円(47億円)の支援が必要だと主張しているが、それが適切かは疑問である。(*41)


今の日本の実情考えたら、各県に1億円位の予算はいるでしょうよ。(*41)

田中氏はコロナ禍において自粛要請中に開店前に並んでいる者や遊技する者に対してもギャンブル依存症と断定してツイートしている。その当事者を診断をした訳でも無く、如何なるエビデンスで依存症と断定しているかは全く不明である。



報道で使途の一つがギャンブルと記述してあれば、全てをギャンブル依存症に結びつけ、また、著書でも使途の一つがギャンブルだっただけで依存症か否か真相不明の事件のリストを纏めている。



被疑者がギャンブル依存症と判明していない事件において、被疑者がギャンブル依存症だと断定する田中氏の一連のツイートは、ギャンブル依存症当事者や健全な遊技者が犯罪者やその予備軍であるというスティグマになる。いわば、田中氏は差別を助長する行為を行っているのである。

また、当事者の病状を判断する診断は、医師法第17条では医師による医学的判断と解釈されており、医師以外では法令違反であることから、無資格である田中氏の一連のツイートは医師法第17条に違反している恐れがある。(*42)


医師法 *抜粋
第五章 業務
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

第八章 罰則
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第十七条の規定に違反した者(*43)

公益法人代表の権威を利用した田中氏の主張は全てをギャンブルの責任に誘導するものである。

ギャンブル依存症をパチンコ業界など(パチンコメーカーには一部上場企業もある)や遊技者などに無根拠に結びつける誇大な表現や捏造は、国民に否定的なレッテル貼りを促す行為であり、ギャンブル依存症で利益を得られる特定の者の利益にはなるが、特定の者の利益は喪失する。

また、田中氏は薬物依存症での過剰な報道や、「ダメ。ゼッタイ。」運動を批判して止めさせようとするが、使途がギャンブルの事件や誤った認識をツイートするのは、「ギャンブル。ダメ。ゼッタイ。」運動を実行しているのと変わらず、ダブルスタンダードと言わざるを得ない。

田中氏がこのような「ギャンブル。ダメ。ゼッタイ。」運動を展開する理由は、パチンコ関連業界団体に「振り込めばマスコミ等に業界の依存対策貢献を広める」として、寄付を要求していたが、全て断られたからではないだろうか。





田中氏の陳情の責任



田中氏の陳情により、2016年3月1日に高井宗志衆議院議員より衆議院に「ぱちんこ遊技機の射幸性管理に係る規制の在り方とのめりこみ・ギャンブル依存症問題の関係に関する質問主意書」が提出された。


このようなパチンコ業界に蔓延する不正改造がパチンコ産業のヘビーユーザー化を加速し、いわゆる「のめりこみ・ギャンブル依存症」の罹患者及びその家族の家庭環境・経済環境に深刻な影響を与えていることが懸念される。そこで「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風適法」という)における射幸性の管理の在り方について以下の諸点に関して質問する。(*44)

この質問主意書で重要な点を要約すれば、「遊技機の射幸性を向上させる不正改造がギャンブル依存症に深刻な影響を与えている懸念がある」である。しかし、篠原教授は「アミューズメントジャパン」の記事上で「エビデンスベースでは現時点では分からない(2017年12月8日時点:質問主意書は2016年3月1日)」と明言している。


──そもそも出玉率(射幸性)と遊技障害者の人数に因果関係はあるんでしょうか?
篠原 エビデンスベースで話すなら、「現時点では分からない」というのが正確な答えになります。今回初めて、日本の「直近一年」の推計値が分かったわけです。依存対策としての効果を測るなら、規制後にこの数がどう変わるか、規制と依存の人数の変化に因果関係があるのかを調べなくてはなりません。 (*45)

この陳情の前後から不正改造をした遊技機が撤去されたが、射幸性を低下させたにも関わらず、久里浜調査(2017)と横浜市都市整備局(2020)の調査を比較しても大きな増減は確認できない。

つまり、田中氏は射幸性とギャンブル依存症リスクの関連性のエビデンスの有無を確認せずに陳情をしたという事になる。また、最新のパネル調査(縦断的調査)、「パチンコの出玉性能とパチンコ・パチスロ遊技障害の因果関係ーパネル調査による研究ー 」IRゲーミング学研究 (18)2-12,2022年3月(堀内由樹子,秋山久美子,坂元章,篠原菊紀,河本泰信,小口久雄,岡林克彦)でも、射幸性とギャンブル依存症リスクとの因果関係は無かった事が判明している。下記は篠原教授のツイートである。



この質問主意書の直前より一連の違法改造問題で約290万台が撤去されたが、パチンコ機1台の価格が約40万円前後とすると機械代だけで1兆円強の規模であり、入れ替え費用などを含めるとそれ以上の費用が発生している。段階的な入れ替えはパチンコ店の負担を考慮していたと考えられる。

しかし、田中氏のエビデンスに欠ける陳情により、河野太郎国家公安委員長(現内閣府特命担当大臣)が「最大限の速やかな撤去」を明言し、パチンコ店の負担を考慮し段階的な入れ替え予定だったものが、それを考慮せずに「最大限の速やかな撤去」がなされた。(*46)


○河野国務大臣 違法な機械が大量に出回っていたわけでございますから、かなりの量があるというふうに承知をしておりますので、一遍にというわけにはいきませんが、これは最大限速やかに撤去するというのは当然のことだと思います(*46)

急激で甚大な費用の発生はパチンコ店経営を圧迫した要因の一つであり、田中氏のエビデンスに欠ける陳情は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十七条や民法第六百四十四条に抵触している可能性がある。


一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第百十七条
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(*47)

民法
第六百四十四条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。(*48)

最終的に1兆円強の入れ替え費用を負担したのはエンドユーザーである全国の遊技者である。パチンコやパチスロは技術介入力の高低で収支に差が生じるのであり、技術介入力の高い上級者は利益が多くなり、ギャンブル依存症当事者の多い技術介入力の低い者は損失が多くなる。

つまり、1兆円強の費用の大部分を負担したのは技術介入力の低いギャンブル依存症当事者らであり、依存リスクに負け額などの金銭問題が強く関連しているのであれば、巨額の費用で依存リスクを増大させた田中氏のエビデンスに欠ける陳情は本末転倒である。



田中氏のインターベンション(当事者への介入)に対しての告発

田中氏の経験を基に作成されていると考えられるツイッター動画の第1話では、青木さやか氏扮する「アヤメ」はインタベンショニストとしか名乗っておらず、医師等の何らかの資格を有しているという発言は無い。



第9話で「アヤメ」は当事者(高知東生氏)に対して「あなたは立派なギャンブル依存症です。」と告知しているが、当事者の病状を判断する診断は医師法第17条では医師による医学的判断と解釈されており、医師では無いアヤメの当事者への診断は医師法第17条に違反している。(*42)



また、「アヤメ」は「ギャンブル依存症が重い癌と脳梗塞と一緒で入院治療が必要」と発言しているが、作中での当事者(高知東生氏)は元気に仕事もしており、重い癌や脳梗塞と同様に直ちに入院や治療、状況次第では緊急手術が必要な病気と同一だとは全く考えらない。



DSM-5で重度の診断をされても直ちに入院が必要なのかは疑問である。合理的な説明をできなければ、消費者契約法第4条1項第1号不実告知である。


消費者契約法
第四条 1
消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

第四条 2
消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。(*51)

また、「回復施設に1年半ぐらいそこで過ごし治療プログラムを受ける」と勧めているが、調査からは併存障害などが多く単一疾患と捉えるには無理があり、個々人に合わせた対応が必要であるのは明白である。その断定するエビデンスを明示できなければ、消費者契約法第4条1項第2号断定的判断の提供に該当する。

更に、「帰ってくれ」は合意しておらず拒否している事実である。契約を締結しない旨の意思を明示していれば、特定商取引法第3条2の再勧誘の禁止に該当する。


特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針 - 消費者庁
勧誘を拒絶することが困難な者について、いったん事業者の勧誘が始まってしまうと、明確に断ることが困難である場合が多く、言葉巧みな話術に乗せられたり、数時間にわたりねばられた結果、最終的な契約にこぎつけられてしまうケースが多発している状況にある。

契約を締結するつもりのない意思表示をしている相手方について、その場での勧誘の継続や再度の来訪による勧誘を禁止(*52)


ギャンブル依存症回復施設の費用

田中氏がインタベショニストとして業務提携しているギャンブル依存症専門回復施設一般社団法人グレイス・ロードでは、前述の動画の入寮1年半の費用は290万円であり医療費等は別途発生(*53)する。しかし、寛解までの速度は一律では無く、その精神疾患傾向により個人差があるのは自明であり、事前に入寮期間を定めての契約が適正なのかは疑わしい。

グレイス・ロードでは回復療法に12ステップを取り入れているが、その適性には個人差があり、前述のワンデーポートでは80%以上が離脱した為に12ステップ自体を取り止めている事実がある。しかし、12ステップへの適性や離脱率に対しての言及がグレイス・ロードのウェブサイトでは明示されていない。これは消費者契約法第四条2「不利益事実の不告知」に該当する可能性がある。

また、久里浜医療センター外来受診者でギャンブル依存症と診断された者への調査(*40)や、社安研(2020)の調査で借金がある事が強く関連しているにもかかわらず、当事者が12ステップの適性が無い場合でも自己都合での中途退寮になり、入寮後の返金は認めていない可能性がある。

契約についても、前述の動画では当事者の自宅で契約を締結している描写は無いが、当事者宅に赴きながらその場で契約せずに施設で契約をするのであれば、クーリング・オフを回避する為ではないかとの疑惑が生じる。


自分で車をかっとばし、夜中12時すぎに無事着いたものの、着いたらやっぱり帰ると揉め、そこからまたなんだかんだと押し問答の末、やっとこさっとこ入寮させて、自宅に帰ったのが午前3時というハードな一日でした。

その際に、車の鍵を私が預かっておいたこと、これが勝因ですね。彼は、施設まで来て「帰る!」となっても、帰れる手段がなかったんですよね。(*54)

上記は薬物依存症が疑われる者へのインターベンションにおいての田中氏の記事だが、当事者が「やっぱり帰る」と拒否しているにも関わらず、車の鍵を預かり翻意しても退去不能にさせる行為は、特定商取引法第3条2の再勧誘の禁止や、可能的な自由を奪う刑法二百二十条逮捕及び監禁の罪に該当する可能性がある。


刑法
第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。(逮捕等致死傷) (*1)

12ステップを回復療法に取り入れている回復施設などに、回復率に言及している施設はワンデーポート以外は見受けられないが、これは12ステップの回復率についての当事者や家族への説明が不十分であり、インフォームド・コンセントたる医療法第一条の四・2が適切に運用されておらず、当事者や家族の知る権利や、当事者本人の自己決定権を侵害している可能性がある。


医療法
第一条の四
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。(*55)

田中氏は前述の手法で施設入寮を勧誘しているが、果たして適法な勧誘なのであろうか。反復する問題賭博行動は「ギャンブルを行ったから」と単一疾患として他責にし、「高額な回復施設の入所などは自己責任」では不誠実すぎるのではないだろうか。



このような法的な問題点や12ステップにおける問題点が存在しながら、12ステップでの「ハイヤーパワーに助けられなければ回復しない」として他の選択肢を提示せず、高額な回復施設への勧誘を行う行為は霊感商法と類似した商法の可能性がある。




公益法人の役員としての責任

公益法人のガバナンスにおける留意事項には、公益法人は税制優遇を受けて活動する法人であり、国民の信頼がなくては成り立たず、役員等が自覚を持つ事が重要であると記載されている。(*56)

公益法人のガバナンスにおける留意事項
出典・公益法人の各機関の役割と責任 - 内閣府

しかし、田中氏の政治的な対立軸を生み出す批判的なツイートや、芸能人や特定の識者を批判する情緒的な言説、全てをギャンブルの責任に誘導する一連の言説は、批判されている者やそれを支持する国民に不信感を抱かせる。公益法人の責任である国民の信頼の確保が可能であるのかが疑問である。



田中氏に批判されている側の国民も納税者たる国民であり、田中氏に対しての批判は田中氏が代表を務める団体を信頼していない証左でもある。そのツイートや言説にエビデンスがあり正当性があるのなら、国民の信頼を確保する為に明確で合理的な説明をしなければならない。



この山口敬之氏に対してのツイートなどは批判の枠を逸脱しており、山口氏自身の人格を攻撃するものであり名誉毀損になり得るのではないか。田中氏は自身の他者への情緒的な誹謗中傷は肯定するが、マスコミやツイッターなどの当事者への批判は否定する。これはまさしくダブルスタンダードである。



公益法人のガバナンスにおける留意事項においての「不特定かつ多数の者」とは国民全般を指し、また、公益法人の財産は税制優遇で形成された「国民から託された財産」とされている。その為、公益法人に求められる在り方は公務員に近くなり、留意事項における「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません」は、日本国憲法第十五条第二項の「全体の奉仕者であり一部の奉仕者ではない」と解釈が可能である。


日本国憲法
第十五条
○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。(*57)

公益法人代表には、公務員とほぼ同様の「公益」「公平」「中立」などの公務員倫理の遵守や、高い職業倫理が求められ、田中氏にも全体の奉仕者としての自覚や倫理観、つまり、国民に模範を示せるロールモデルとなる事が求められる。



しかし、上記ツイートからは特定の者との信頼関係の確保を優先し、その批判者も国民であるにも関わらず「敵意むき出しの人を相手にするのはバカバカしい」と言い放ち、公益法人の責任である国民との信頼関係の確保を放棄している事実が確認できる。これは自身が代表を務める公益法人ギャンブル依存症問題を考える会を私的に利用している証左と言っても過言ではない。

このような田中氏が代表を務める団体には厚生労働省や文部科学省から業務委託(*58)がなされ、2017~2021年で総計2,000万円が税金で支出されているが、一連の無根拠、誇大、捏造ツイートをする田中氏の団体に、税金の支出により業務を委託される資格はあるのだろうか。



2018年のギャンブル依存症対策とした規制

2018年に風営法施行規則と遊技機規則の一部がギャンブル依存症対策として改正され、出玉規制が強化された。これは技術介入力が低く依存リスクの高い遊技者を前提にした規制であるが、健全遊技を守れずに依存リスクの高い遊技者が出玉規制により遊技を制御可能であるかは疑問である。

パチンコやパチスロは技術介入力の高低で収支に差が生じるのであり、その部分を無視した場合に、ギャンブル依存症に関連している項目である金銭的問題は抑制できない。

その例として、2020年に導入された、大当たりがある一定の期間に得られなかった場合の救済機能であるパチンコの遊タイム(ほぼ大当たりを得られる)がある。これは大当たりまでの使用金額の上限があるので、使用金額の目安を把握し易くするのが目的である。

しかし、欠損している期待値の額(負ける見込み金額)は店側の調整により変わらない為、技術介入力の低い初級者は利益を望めるか否かの論理的な判断が出来ず、依存リスクの軽減ができない可能性が高い。また、パチスロにおいて出玉性能を抑制しても技術介入要素により論理的な判断が出来なければ同様である。

依存リスクが高く技術介入力の低い初級者がリスクを軽減できる可能性があるとすれば、技術介入力の高い遊技者が、期待値があり利益が望める回転数から遊タイムを狙って確実に大当たりを得ている事実を頻繁に目撃し、知識を有していないと絶対に勝てない事実を技術介入力の低い遊技者が一般化した場合である。



技術介入力の向上が根本解決への道

風営法では技術介入要素の技量を結果に反映させる事で射幸心を抑制し、遊技を認可しているにもかかわらず、今回のギャンブル依存症対策である出玉規制は技術介入力の向上を促すものでは無く、遊技機の出玉性能を下げる事で、遊技が賭博化している技術介入力の低い遊技者の射幸心の抑制を目的としたものである。

しかし、技術介入力の高さにより論理的に射幸心を制御できる上級者にはギャンブル依存症当事者は存在せず、依存リスクの高い遊技者は技術介入力が低く論理的に射幸心が制御できない事実がある。

それはギャンブル等依存症の治療・家族支援に関する研究令和元年ー令和3年総合研究報告書(以下、家族支援研究報告書2022)(*59)においてのギャンブル依存症当事者の非合理的な考えを測定する尺度であるGRCSでのスコアと、DSM-5での重症度は相関している事実からも証明されている。

つまり、遊技者の技術介入力の高低により射幸心が可変している為、遊技機の出玉性能を下げても、技術介入力の低い射幸心を制御できない遊技者への効果は限定的であり、根本的な問題の解決にはならないと考察した。

私が指導していた者の中で遊技を制御する迄に時間を要した者は、期待値などの未来の結果を認識するのが不得手な傾向があった為、結果を想像させて射幸心を抑制する規制改正では無く、技術介入力の高低が収支に影響を与える度合が現在よりも大きく、技術介入力を向上させなければ全く勝てない遊技台への規制改正が最適であり、風営法の目的と合致すると考察した。


余談になるが、出玉調整たる釘調整禁止(風営法第九条違反)での技術介入要素(釘見)を否定した賭博化は、風営法の技術介入要素の技量が結果に反映される遊技を否定するおそれがある。


風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第九条
風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない。(*2)

また、店舗毎のルールでパチンコにおいての技術介入力の高い者(止め打ちやひねり打ちで出玉を増加、節約する技術が高い者や釘見能力の高い者)を出入り禁止などで排除し、遊技者の技量を遊技結果にある程度の反映をさせず、著しく射幸心をそそるおそれのある営業は、刑法第百八十五条の適用が免れないのではないか。



パチンコ業界の規制への反応

昨今のパチンコ業界人などのツイッターでは、パチンコやパチスロの設置期限を守ろうというツイートや設置期限を守っていないパチンコ店を告発するツイートが見受けられ、また、業界団体が設置期限を守らない店舗に対して罰則を設けている。これは業界の将来の為であるとの主張が多い。

法に定められた設置期限は守られるべき問題ではあるが、「業界の将来の為である」との主張は規制緩和の為に警察への体裁を整えているだけだと推測される。その推測する根拠として、パチンコ業界の規制の歴史は規制強化と規制緩和を繰り返しており、その本質であるギャンブル依存症問題が解決しない堂々巡りを、1980年代から30年以上繰り返しているからである。

その本質であるギャンブル依存症問題が解決できない要因とは、本来ならば、ギャンブル依存症の診断基準や研究は、風営法に規定された技術介入力の高低で収支に差が生じ、如何にお金を使用せずに当たりを得られるのかの遊技を前提条件しなければいけないが、実際のギャンブル依存症の診断基準や研究は、お金を使用し当たりを期待する賭博という誤った前提条件であり、前提条件が誤りであれば結論が間違った方向に向かうのは明々白々である。


パチンコ業界は技術介入力の高い上級者の存在と技術介入力の低い初級者の存在を認識していながら、なぜ、この問題にパチンコ業界が誰一人として言及しないのかが疑問である。遊技者の技術介入力が向上すれば、設置期限の問題や出玉規制の問題は一切関係が無くなるのだが、仮にそれに言及しない理由が、全ての遊技者が上級者になった場合に大幅な売上減少の懸念があるからであれば、それは欺瞞であり、誰一人として気付かないのであれば怠慢である。



パチンコ業界のギャンブル依存症対策

パチンコ・パチスロ業界団体の提唱する「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです」は健全遊技であるが、健全遊技を守れない事実が依存リスクを高めるのであれば、精神疾患や精神疾患傾向のある衝動を抑制できない遊技者に対しての予防効果は低い。



衝動を抑制できずに健全遊技を守れず、負け額などの金銭問題が関連しているのであれば、それは技術介入要素を無視した持続的で反復する問題賭博行動である可能性が高い。

パチンコやパチスロは風営法を遵守する為の遊技機の仕様により技術介入力の高低で収支に差が生じるのだが、その点に全く言及しないパチンコ業界側の賭博を前提とした自己申告プログラムや家族プログラムでは、全ての者のギャンブル依存症の予防はできない。

パチンコ業界は当事者が借金などで問題が発生してから入店制限などをするのでは無く、事前に予防策を講じるべきである。



元パチプロのギャンブル依存症対策

私は管理遊技機を承知していなかったが、それと重複する点が大分あるが述べていく。(*60)

私がパチンコやパチスロを指導した経験から、ギャンブル依存症当事者は技術介入力が低い初級者が多く、技術介入要素を認識していない者や見聞きした事実があっても信用できないと回答する者が大多数であり、その為、パチンコやパチスロの抽選方式を理解、信用しておらず、大多数の者が当たりの好不調などを情緒的な思考で予測していた。

精神疾患や精神疾患傾向を持つ者や確率論に対しての認知の歪みを有している者もおり、それが技術介入力を高めた行動を妨げ、また、確率論に対しての認知の歪みが容易に解消できない場合には、技術介入要素を理解する迄にある程度の時間を要した。

パチンコやパチスロは技術介入要素を理解し、遊技台の選択時や止め時の判断ができれば、勝てる台の遊技を回避せずに負ける台の遊技を極力回避できるが、確率論の知識を座学などで教えただけでは全く意味が無い場合が多く、パチンコやパチスロのゲーム性である技術介入要素を実践しながら指導した方が理解度は速い。

また、確率論に対する認知の歪みを解消する為には、その信用していない技術介入要素の知識を一般化させなければならず、技術介入要素を実践し遊技データを取得させ、それを実践しなければ負債が多くなる事実を実証させる。

知人などに上級者が存在しない場合には、SNSなどで「(パチンコ or パチスロ) and 打ち子」と検索し、パチプロなどの上級者に雇われ日当を受け取り、技術介入要素を教わりながら遊技する方法もある。タフラブで負債を増加させるリスクを負う必要や回復施設で高額な料金を支払う必要は一切無い。

また、精神疾患や精神疾患的傾向を治療する必要性があれば医療側で治療をし、ギャンブルに対しての興味を持続させる認知の歪みは、技術介入力を向上させる認知行動療法でギャンブルを適切に管理し解消する。その認知行動療法はギャンブルに対しての思考(認知の歪み)の底つきを促し、負債を抑制するハームリダクション・ギャンブルとなる。



遊技データ取得の自動化・遊技免許制度

前述の通り、技術介入要素が論理的に正しいという実証を遊技データの取得で行う必要があるが、私が指導していた当時の者にはデータ取得を煩わしく捉える者が多かった。その当時にも実機連動でデータ取得を容易にするシステムや類似アプリは存在したが、それは任意である為、遊技データや収支データを縦断的に自動で蓄積するシステムの構築が必要である。

問題の要因に技術介入要素の知識の低さが関わるのであれば、初めての遊技以前より基本的な知識として技術介入要素の知識を学習し、自動データ蓄積システムが構築されていれば、ギャンブル依存症の予防が可能である。また、技術介入要素を理解できない者も想定すれば、遊技免許制を導入し、低貸し限定免許や穏やかな台限定免許などにより、ギャンブル依存症リスクの軽減が可能である。



マイナンバーカードを利用

政府がマイナンバーカードの普及を図っているが、それに紐付けしたシステムの構築にも利点がある。マイナンバーと電子マネーを紐付け、 現在は現金で行う貸し玉と換金を電子マネーで管理し、入場規制、遊技規制をする。不正使用防止の為に実用化できるのであれば、顔認証も導入する。

これにより18歳未満の入場禁止の強化や、ゴト師や設定漏洩などの不正対策、脱税対策になり、縦断的な遊技データ蓄積も紐付けすれば、包括的なギャンブル依存症対策にもなる。スマートフォンに対応できればより一層利便性が高まる。





元パチプロの依存リスクを下げる遊技機の仕様

パチンコでは上級者と初級者の遊技以前での決定的な収支差を無くす為、当たり抽選に関わる入賞口の釘調整を無くし設定機能を搭載する。

大当たり確率を各設定毎に共通とし、各設定毎に設定された当たり抽選に関わる入賞口への入賞率を電動チューリップのサポートにより調整し出玉率を調整する仕様や、当たり抽選に関わる入賞口への入賞率を各設定毎に共通とし、当たり確率の設定差により出玉率を調整する仕様などが考えられる。

パチスロでは、現在でも小役の出現率や液晶の確定演出などにより設定推測が可能である機種が存在するが、それが難しい機種も存在する為、ある一定の区間を遊技した後に設定のおおまかな高低の判別可能な仕様が考えられる。

パチンコでは千円当たりの回転数や高設定確定演出などの設定推測する判断要素を遊技者側に事前に告知し、また、パチスロにおいても設定推測する判断要素を遊技者側に事前に告知し、継続すべきか止めるべきかの判断をユーザー側に促す。

つまり、賭博と捉えている技術介入力の低い者の技術介入力の底上げを促し、技術介入要素による止め時を明確にする必要がある。これによりギャンブル依存症を消滅させれば射幸性の問題は無くなる。



パチンコ業界の社会貢献と早期予防

現在、小学校ではプログラミング教育で論理的思考を育成しているが、その題材として簡単なパチンコやパチスロのプログラミングで確率論(期待値、独立試行(ベルヌーイ試行)、大数の法則)などを学んでも論理的な思考を育成可能である。

パチンコやパチスロの遊技以前に期待値などの確率論を認識しているのであれば、技術介入要素の理解度を速め、ギャンブル依存症の予防に役立つ。遊技機メーカーなどの積極的な支援があれば将来の人材を確保できる可能性もある。



精神医療の利権

パチンコやパチスロの仕様や技術介入要素を認識していない射幸心を制御できない者に対し、それを教えずに「回復はするが完治はしない」とギャンブル依存症と診断し、生涯その問題と付き合わせるQOL(クオリティオブライフ)を低下させる行為は倫理的な問題である。


クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life, QOL)とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた『生活の質』のことを指し、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、生きがい、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。またQOLには、国家の発展、個人の人権・自由が保障されている度合い、居住の快適さとの関連性も指摘される。 (*61)

また、その問題をパチンコやパチスロの射幸性や射幸心を煽る営業の責任にされているが、最新の調査では射幸性とギャンブル依存症のリスクとは関連していない事が判明している。



前述の調査やRSNの報告、私の指導経験などから考察した結果、元来の精神疾患や精神疾患的傾向、技術介入要素の認識不足などの個々人の問題により、パチンコやパチスロの遊技に対しての障害が発生、重症化するのであれば、ギャンブル障害やギャンブリング障害であり、単一疾患と捉えた「ギャンブルを行ったからギャンブル依存症になった」では無い。パチンコやパチスロは偶然にも興味の対象になっただけである。

私の指導していた経験からは、精神疾患や精神疾患的傾向に関係無く技術介入要素の認識不足の問題のみで解決しているので、ギャンブル依存症そのものが精神医療の為に作られた病であると考察した。

その技術介入要素の情報は、1990年代前半、約30年前にはパチンコ情報誌に掲載されている情報であり、インターネットの発達した現代では情報の共有が進み、技術介入力の高い遊技者が明らかに増加した。それが久里浜調査(2017)や社安研調査(2018)の回復率の高さ(約80%)に繋がっていると推測され、社安研調査(2020)では回復者の65%が自ら回復方法を考察している。(*5)

パチンコやパチスロの仕様や技術介入要素の知識の有無を確認せずに、田中氏は「再発が多い」「回復はするが完治は無い」「進行性で不可逆的」と主張するのであれば、なぜその約30年前からある、パチンコやパチスロを適切に管理する為の認知行動療法となる技術介入要素を教えないのかが疑問である。



これは、それを教えてしまうと「パチンコやパチスロをやったから依存症」では無く、「パチンコやパチスロが下手だから依存症」となり、技術介入力の低さが要因でパチンコやパチスロの遊技に障害が発生してしまう事になる。これでは精神医療や回復施設の利権であるギャンブル依存症が消滅する可能性がある。

ギャンブル依存症を消滅させない為ではないかと疑わざるを得ない点が、家族支援研究報告書2022でのGRCSの設問項目である「誤った統計的予測」や「かたよった解釈」にもある。下記の設問項目では質的な設問により量的な統計に対しての認知の歪みに言及しているのだが、確率論の範疇である期待値等に対しての認知の歪みに如何にして係るのかまでは言及していない。

ギャンブルは「投資」としての側面を持つのであれば、質的な認知の歪みの解消方法に精神医療は向かうのでは無く、期待値等の確率論を認識させる量的な手法を用いて、認知の歪みを解消する方向へ向かうべきである。


誤った統計的予測
(A)ギャンブルで負けが続いても、必ず当たると思う
(B)負け続けることは、今後の勝ちにつながる経験となる
(C)ギャンブルで一回当たると、また当たると考える
(D)運がいいと感じる時があり、そういう時しかギャンブルをしない
(E)私はギャンブルで当たることを、ある程度予測することができる
(F)もしも選ぶ数字を変え続けると、毎回同じ数字にする時よりも勝つチャンスが少なくなる

かたよった解釈
(F)自分の力や自分なりの方法によって勝てたと考えてしまうので、ギャンブルが続く
(G)ギャンブルでの負けを運や環境が悪かったと考えてしまうので、ギャンブルが続く
(H)ギャンブルでの負けを確率のせいだと考えてしまうので、ギャンブルが続く
(I)最後にいくら勝ったかを思い出してしまうので、ギャンブルが続く
(*62)

また、設問項目の(B)(D)(F)は確率論に対しての設問項目としては正しいが、(A)(C)は当たりの試行がベルヌーイ試行により継続していれば、必然的に再び当たるのは正しく、設問項目としては間違いではあり、(F)(G)(H)では、日本で主となるパチンコやパチスロについての技術介入要素の知識があった場合には正しい場合もある。

ギャンブル依存症に携わる精神科医や研究者らのおおよその人数は把握していないが、数人である訳が無く、この約30年前からある技術介入要素の情報やギャンブルにおいての確率論に誰一人として意図的に言及しないのであれば欺瞞であり、誰一人として気付かないのであれば怠慢である。

そして、私が2010年頃に指導していた内の2人が別々の精神科に通院していたが、通院先の別々の精神科医に「技術介入要素を広めるのは止めて」と要望された。これを利権と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。



ギャンブル依存症ビジネス

田中氏のエビデンスに欠ける陳情やギャンブルに責任を押し付けるツイートなどは全てこの記事に繋がる。2014年6月22日の産経新聞の「政府・自民党内で「景品交換所を公益法人に委託された業者に」という案が検討されていた」という記事であるが、田中氏は依存症対策の推進を名目に、「景品交換所から手数料を取る公益法人」を目標としていたのではないか。


風営法は現金又は有価証券を賞品として提供することを禁じており、パチンコ店では、利用者は一度景品を受け取り、景品問屋や景品交換所に販売して現金を受け取る方式が取られている。これを改め「換金免許制度」を創設。店での換金を認め、店が一定割合を地方税として納める形式のほか、景品交換所などを公益法人に委託された業者と位置付け、一定割合の手数料を取って国または地方自治体が徴収する案が検討されている。(*63)

その目的は田中氏自身の安定した役員報酬の確保や、「景品交換所を業者に委託する公益法人」などのパチンコ業界への厚労省官僚らの天下り先構築が目的である可能性があり、ギャンブル依存症問題の消滅や矮小化はその目的の達成が困難になる事から、これらが病気喧伝の目的である可能性が高い。


病気喧伝(びょうきけんでん、英語: Disease mongering)とは、製薬会社や精神科医、また他の専門家あるいは消費者団体などが、市場を拡大するために、販売したり治療法を伝える目的で、病気の診断に用いる境界を拡大したり、そのような啓発を市民に宣伝することに対する、蔑称である。(*64)

技術介入力を向上させる指導でパチンコに関する問題が解決された場合、ギャンブル依存症の研究費や精神医療の診察費、回復施設の利益が無くなり、利権獲得も危うくなる。また、パチンコ業界も全ての遊技者が上級者になった場合には売上が著しく減少する。

つまり、ゲームである遊技の知識や定石である技術介入要素を教えずに、持続的で反復する問題賭博行動をギャンブル依存症とする事で、それが利権や利益を生むギャンブル依存症ビジネスとなる。

そのギャンブル依存症ビジネスにより、技術介入要素を考慮しない研究や非業界団体の依存症アドバイザー育成への助成、依存症団体に対しての税制優遇や業務委託などにより費用が発生し、それが税金により支出されている。また、国民の高齢化により医療費が増大している中で、誤ったギャンブル依存症の公的医療保険適用により医療費をも圧迫している。

これが、殆どの国民が気づかないギャンブル依存症問題の真実であり、これにより被害を受けるのは、税金を無駄に使用されている国民や、その為に利用されているギャンブル依存症と診断された者である。

続きを読む
このエントリーをはてなブックマークに追加


パチンコ業界の対策

メディアではあまり見ないパチンコ業界の依存症対応ですが、「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」「と「対応運営マニュアル」があります。

「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」「と「対応運営マニュアル」


また、諏訪東京理科大学教授篠原菊紀氏の「パチンコ・パチスロのめりこみ対策私案」があります。

篠原菊紀氏(諏訪東京理科大学教授)のパチンコ・パチスロのめりこみ対策私案

*以下引用

概要

1)調査研究のさらなる充実、「実態・要因調査→対策→評価・調査→対策・・・」のサイクル作り、および、総論
2)パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)を使ったホールでの調査、対策の実施(メーカーメンバーサイトも利用)
3)タスポ的システムの導入による縦断的な遊技障害予防システムの構築
4)のめりこみ対策ガイドラインの改定と実効的施行の管理体制の構築
5)リカバリーサポートネット(RSN)への支援強化および追跡調査
6)回復支援施設への助成および予後調査
7)全国ホールの健康支援施設化”

”衝動性、不安、認知のゆがみなど、従来のギャンブリング障害研究で指摘されてきた要因のほか、両価性(相反する感情を同時に持つ)、遊技環境、安全な遊技スキルの持ち合わせ、確率的知識などが、増悪要因や改善要因となりうるかが検討される。さらに、遊技障害の背景要因として回復支援の現場などから指摘されつつある、発達の問題、もともとの生活上の問題、行動傾向、暮らしの現状、認知の凸凹(などとの関連も検討”

”ギャンブリング障害対策(予防や治療)が、誰に対しても一律であるはずがなく、個々人の素因等に応じた個別的なものにならざるを得ないことが予測される。”

”共通サーバーにPPDS、各ホールのPPDS上昇要因仮説関係アンケートをアップできる仕組みを作り、各ホールが会員に配信、会員が任意に回答し、ホールがデータを検討、対策を打つ、といった一連の流れを構築するのが、実効性を高める上でも重要であろういわゆる依存(のめり込み)ガイドラインの改定と実効的施行の管理体制の構築”

ギャンブリングの問題の背景にあるもの」「人生の安定に必要なこと」は、日本で初めてギャンブリング問題の回復支援を始めたワンデーポート関係者の意見であるが、かれらは「ギャンブル依存は病気」「底つき、プロプラグの徹底がだいじ」というやり方では落ちこぼれる人を多数発見し、現在の個別アセスメントを重視する方法に切り替えている。”

*引用終わり

タスポ的な識別ICカードを使うのであれば、FeliCaの使用による認証も導入したい。共通サーバーに遊技データをアップロードするのであれば、PC、スマホのアプリと連動して、収支の詳細を明確化したい。更にアプリには、パチンコ、スロットに関して負けない為の知識(抽選方法と確率論と期待値等の知識、台情報、期待値計算ソフト、パチンコの損益分岐点となるボーダーデジタル回転数、スロット設定判別、釘の見方等の情報)を掲載したい。また、ホールでも無料ターミナルで自分のデータを閲覧できるようにする。


業界の健全化

業界の健全化を図るなら、遊技機の保安通信協会の形式試験通過時の解析情報を公表したい。釘問題は、昔のギガ(ミズホ)みたいなチューリップでベース管理するスタート入賞口、一般入賞口にして当たり確率を多段階設定にする。釘を玉からの衝撃に耐えられ、改変できないような素材のものにして、釘調整を無くす。

私は「ギャンブリング障害」の原因の多くはギャンブルの知識の無さだと思います。どうしたら勝てるのか?どうしたら負けるのか?が判れば、自然と節度のあるギャンブルが楽しめると思います。


合わせて読みたい「パチンコ遠隔操作疑惑」


『ギャンブル依存症問題を考える会』①
このエントリーをはてなブックマークに追加


ギャンブル依存症患者が推計536万人の信頼度(*2)

ギャンブル依存症患者推計536万人の結果を出したSOGS(サウスオークス・ギャンブリング・スクリーン)とはギャンブル依存症の診断のための自記式調査方法の質問票です。

この調査は「スクリーニングテスト(事前調査)」なので、診断による実数ではない。報道にでている「ギャンブル依存症患者が推計536万人がいる」ではなく、「ギャンブル依存症患者の疑いのある人が推計536万人」が正しい。また、この調査方法はスクリーニングテストとしては優れておらず、期間を設けない設問であり、週一回パチンコを打つユーザーの98%が「依存の疑い(陽性)」になるようなテストである。これでは判別がつかず、偽陽性率の高いスクリーニングテストです。この調査では10年以上前によくパチンコを打っていた私もギャンブル依存症です。

(*2)参考・参照元「ギャンブル依存、国内540万人」・・・諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀


パチンコ・パチスロの費用の誤解(*1)

1995年は年間約100万円、2015年は年間約200万円を消費していますが、還元率(約85%)を加味していません。還元率を加味すると、1995年で年間約15万円、2015年で年間約30万円。1ヶ月にすると、1995年で1万2500円。2015年で2万5000円。1995年は爆裂CR機(1/3継続2回)
、権利モノ(第三種)もあるし、普通に10万円ぐらい使ってもおかしくない機種があったはず。年間約100万円は少ない印象。

(*1)参考・参照元「パチンコ・パチスロ遊技障害の規模について」・・・諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀


パチンコ・パチスロの売上規模の誤解(*3)

パチンコ業界の23兆円の売上はユーザーの換金を加味していません。還元率85%として粗利は3.5兆円です。比較されがちな海外のカジノの売上は粗利です。マカオは2.7兆円、ラスベガスは5.3億円です。圧倒的な差はないと思われます。

(*3)参考・参照元 売上規模と粗利規模の推移 | パチンコ業界WEB資料室 ダイコク電機株式会社


ギャンブル依存症(ギャンブリング障害)の誤解(*2)

DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)最新版は「病的賭博」から「ギャンブリング障害」と変更。「ギャンブリング障害」は進行性で不可逆的ではない事例があり、「ギャンブリング障害」を病気と線引きするのが難しい。

WHOの「ギャンブリング障害」の診断基準には、「賭博および賭け事(興奮を求めての、あるいは金を儲けようとしての頻回の賭博。このカテゴリーの人々はひどい損失、あるいは他の不利な結果に直面すると、おそらくその習慣を抑制するであろう)」と記載されており、「ギャンブリング障害」の診断項目に合致しても衝動を抑制できる人はいるそうです。

「ギャンブリング障害」は12ステップ、認知行動療法でないと回復しない訳ではない。治療しようと思ったり、治療の勧誘を受けただけでも衝動を抑制できる場合もあり、自然回復もDSM-5に明記されている。パチンコでは事例自然回復が4~9割(諏訪東京理科大学教授篠原菊紀氏のツイート)と多い。また、回復に底つき体験(生活の全てを失う体験)は必ずしも必要ではなく、自助グループ等のミーティングが合わない人もいる。重症化した場合には、重症化する要因(発達障害、うつ、アダルトチルドレン等が背景にある事が多い)に合わせた治療が必要。

何かに夢中になる時には「行為」も「薬物」も全て同じ報酬系(ドーパミン系)が関与しているが、その全ての「行為」が「薬物」のような強力な依存性がある訳ではない。重症になった「ギャンブリング障害」が薬物依存に似た特徴あるが、薬物依存と同等に危険ではない。また、ギャンブリング障害者と健常者の差は何かに夢中になった人の一般的に起こる脳の変化に過ぎない。

(*2)参考・参照元「ギャンブル依存、国内540万人」・・・諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀



ギャンブル依存症対策について⑦
このエントリーをはてなブックマークに追加


ギャンブル依存症の治療方法

さて、ネットでギャンブル依存症の治療方法を調べるとこれで治るのかと疑問符がつきます。ギャンブルする事を完全に遮断する方法をよく見かけますが、それだと一旦治っても何かしらのきっかけから、再びギャンブル、もしくは他の事にハマって散財、生活破綻する可能性があるのではないかと。

それよりも「どうして負けるのか?」という論理的な説明をして、感情的な思考(ギャンブルをしたい衝動)を制御する方向に向かわせた方が良いのではないかと考えます。この方がすごい我慢(ギャンブルを完全に遮断)してストレスを貯めるよりもいいですし、趣味としてギャンブルを楽しめます。また、他の事でハマって散財しそうになっても、感情を論理的な思考(理屈)で制御出来るようになると考えます。


実体験

自分の経験から依存症について考えると、感情の制御があまり得意ではない父親と兄弟の元で育ち、自分も感情の制御が得意ではなかったので、感情の制御が甘いのは脳自体の遺伝とか生活環境によるのではないかと考えていたら、納得するような下記のような記事を見つけました。

*以下引用(*1)

篠原 原因としては、遺伝子、育ち方、環境ホルモンの3つが考えられます。

──ほほう。では、順番にお伺いします。まず、「遺伝子が原因」というのは、キレやすい遺伝子があるということですか?

篠原 「キレやすい」ものだけではありません。例えば、「内向的」「はまりやすい」「優柔不断」「やたらと元気」…といった特性がありますが、これはいってみれば『脳の癖』です。私達の脳には、もともとこうした癖を持った遺伝子が存在しているんです。もちろん、人によって持っている遺伝子は違いますけれども。

──脳の癖の何割が遺伝子によるものなんですか?

篠原 約6割です。ですから、脳の問題は、まずは遺伝子の問題として捉えて、その後で人間関係や社会に原因を探っていくべきものなのです。

つまり、自分は遺伝的に制御が甘いのに加え、制御が甘くなる脳を醸成する環境で育った為に、ハマりやすい体質(制御が甘い)になったのではないかと考えます。

(*1)引用サイト・・・脳内物質と心の変化 篠原菊紀



ギャンブル依存症対策について④
このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ