ビギナーズラック
ギャンブル依存症のゲートウエイ、入り口となりえる『ビギナーズラック』において、気づいた点についてのエントリーです。
ギャンブルで『ビギナーズラック』と言えば
- 初めて行ったパチンコで10万コース。
- 数回目のスロットで訳もわからず万枚。
- 初めて行ったパチンコ、スロットから「やれば出る」が続く。
- 初めて行ったカジノのスロットでジャックポット。
- 初めて行った競艇で万舟券。
- 数回目の競馬で万馬券。
- 数回目の競輪やオートレースで万車券。
- 初めてから数回目の半荘で役満。などなど・・・
『ビギナーズラック』は、初心者がギャンブルなどの賭け事で幸運で勝ってしまう事、即ち、確率的に低い当たりを引く事を言います。上記のような例が考えられますが、不思議と私の周りでは、そのような話を聞いた事がありません。ちなみに、私には『ビギナーズラック』は無く、むしろ、初めは全く勝てませんでした。
オペラント条件付けの正の強化
正の強化(Positive reinforcement)は、好ましい事象・刺激が行動の結果として提示され、それによって、その行動が増加する場合に起こる。正の強化子は、動物がそれを獲得するために働く刺激事象である。 言葉および物理的報酬は、非常に効果のある正の強化子である。
例:企業はインセンティブ・プログラムを実施し、従業員は販売された品目の数に応じて賞を獲得するとする。従業員が受け取った賞は、これにより売上が増加した場合は正の強化子とみなされる。
引用元・オペラント条件付けの正の強化 - ウィキペディア(Wikipedia)
『オペラント条件付けの正の強化』。これを念頭に置くと、『ビギナーズラック』でギャンブルに勝ち、お金を得る事が、非常に効果のある正の強化子になり、ギャンブルの回数が増える事になります。
しかし、『ビギナーズラック』も長くは続かず、期待値がマイナスのギャンブルをしていれば、理論値通りに負債が増えていきます。そして、その負債を取り返そうとするのがギャンブル依存症の症状の一つになるのではないでしょうか。
負けを取り戻す為にギャンブルをしていませんか
- 借金を返さなくては。
- 負けを取り返さなくては。
- その為には借金しなくては。
ギャンブル依存症の症状の中に上記のようなものがあり、また、各省庁のギャンブル依存症関連のPDFにもこのような表記があります。(*1)そして、ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」にも下記のチェック項目があります。
「ギャンブル に負けた時にすぐに取り返したいと思う」(*2)
更には、ギャンブル依存症ポータルサイト「カケルとキョーコ」にも下記の表記があります。つまり、「金を取り戻そう」と思ってギャンブルをやり始めたら、精神科や自助グループ、支援機関に相談しましょうという事なのです。
「お金を取り戻したいからやる。」「お金を取り戻さないとやめられないよ。」(*3)
しかし、ギャンブルの根幹であり、勝敗(お金を取り戻せるか否か)の重要なファクターである「確率論の知識を有しているのか」「その知識を基にギャンブル に対して行動しているのか」を確認せずに、「ギャンブル依存症だ!」では、少々、強引すぎるのではないでしょうか。
これでは、交通ルールを知らない運転者が、なんら瑕疵の無い車で暴走して事故を起こしても、車の責任にするようなものです。
然すれば、「ギャンブル依存症」と精神科や自助グループ、支援機関に相談や治療などの前に、まずは、ギャンブルの根幹である確率論(独立試行、期待値など)の知識と、その知識を基にした、ギャンブル に対しての行動を身につけるのが先なのではないでしょうか。
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ギャンブル依存症の予防的、早期介入
ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」や、ギャンブル依存症ポータルサイト「カケルとキョーコ」は、ギャンブル依存症の早期介入ツールです。
しかし、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル:アメリカ精神医学会)では、予防的、早期介入を促す「精神病リスク症候群(弱性精神病症候群)」の診断カテゴリーを導入する提案がありましたが、米国心理学会やDSM-IV作成委員長のデューク大学名誉教授アレン・フランシス氏が強く反対して提案は破棄されました。
その理由として、精神科医・大野裕氏(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長を経て現在は顧問。皇后陛下・雅子さまの主治医)のインタビューにおいて、アレン・フランシス氏は下記の回答をしています。
精神病になると言われていた10人中9人が精神病にそうならないのです。精神疾患の予防法として立証されたものはありません。(*4)
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強迫的ギャンブルへのインビテーション
ギャンブル依存症の早期介入ツールで自己診断をして、精神科などでカウンセリングを受けてしまうと、自助グループや回復施設で12ステップをする可能性が高くなると思います。
そして、「強迫的ギャンブラー」を自認する可能性が高くなり、「絶対にギャンブルをしてはいけない」「自分の意思ではやめる事はできない」「進行性の病気で完治する事は無い」と強迫される事を拒否できず、また、スリップ(リラプス)を繰り返す可能性も否定できません。
クオリティオブライフ
しかし、人生は我慢大会ではありません。確率論の知識を得て、勝てる勝負が圧倒的に少ない事を論理的に理解、紐付けして、ハームリダクション的に徐々に抑制していくのと、「全てのギャンブルを絶対にしてはいけない」と強迫的に我慢するのとでは、心理的負担と効果の差は明らかなのではないでしょうか。
例えば、会社などで新人にレクチャーする時にも、合理的な理由を紐付けしてあげれば、理解度がより高まりますよね。
あくまで主観ですが、人生とは「やりたい事をやる」のが人生であると考えます。クオリティオブライフという観点で捉えると、苦しい思いをしてコントロールするのと、段階的にコントロールするのとでは、有限である人生の充実度が変わってくるのではないかと考えます。
最後に
ギャンブル依存症問題を考えるー
— ギャンブル依存症だった人 (@a11kll) February 17, 2019
独立試行、期待値などのギャンブルの仕組みに言及しないギャンブル依存症カウンセラーを全否定したい。金払う前に博打の正確な知識をネットで無料で得る方が効果的。#パチンコ #パチスロ #カジノ #競馬 #競艇 #競輪 #オートレース #ギャンブル等依存症対策推進本部
なぜ、このような挑発的なツイートをしたのかの理由はご理解頂けましたでしょうか。私は、「ギャンブル依存症」は医療側からの観点に偏りすぎていると感じます。すこしだけ、ギャンブル側からの観点を持てば、ずっと楽に、ギャンブルを抑制できるではないでしょうか。
間違いがあれば、ご指摘お願い致します。
関連のエントリー
(*1)Google検索結果・『ギャンブル 負けを取り戻そう pdf』
(*2)引用元・ギャンブル依存症自己診断ツール『LOST』
(*3)引用元・ギャンブル依存症ポータルサイト「カケルとキョーコ」
(*4)引用元・精神医療ダークサイド(元読売新聞東京本社医療部・佐藤光展氏著)(p177)
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