ギャンブル依存症の定義
ギャンブル依存症とは持続的で反復する問題賭博行動である。社会的に不利な状態を招き、持続して反復、増強する賭博行為である。
衝動と欲求
ギャンブルへの欲求は二点ある。一点目の欲求はストレス等の苦痛をギャンブルで自ら取り除く自己治療仮説やADHD等の衝動制御障害、背景要因の無い単純嗜癖等が要因で衝動が起こり、ギャンブルを行う欲求となる。二点目の欲求はギャンブルで勝利する欲求である。
衝動が持続的で反復する理由とは、ギャンブルを行っても勝利への欲求が満たされずに持続的であったり、勝利への欲求よりもゲーム性の高さからギャンブルを行う欲求が持続的、もしくはその両方の欲求が持続的である為、ギャンブルへの反復する衝動が起こる。
換言すれば、ギャンブルは投資で儲けたいという欲求とゲーム内の当たりを購入して楽しみたいという欲求により、ギャンブルへの反復する衝動が起こる。
勝利への欲求を満たす技術介入要素
本項から日本で主となるパチンコやパチスロを基に進行する。
パチンコやパチスロはギャンブルであると広く国民に周知されているが、パチンコやパチスロには遊技たる所以である技術介入要素が存在する。技術介入要素とはパチンコでは釘読みや止め打ち、パチスロでは極めて正確に図柄を狙ってストップボタンを押す高度な技術や設定判別等を使い、技術で玉やメダルを節約、増加させ、確率論を基に行動し、高期待値台を探索する事である。
故に技術介入要素は論理的な勝敗の判別を可能にする。
オペラント条件付け
パチンコやスロットでは技術介入要素である確率論に基づいた行動により、勝利への欲求を満たせるかを期待値で数値化し、勝利への欲求が満たせる確率が高い場合のみ遊技する。これはオペラント条件付けの正の強化となる。物理的報酬である金銭が行動の結果として提示され、その行動の増加は非常に効果の高い正の強化子になる。
反対に、達成確率が低い場合の遊技中止はオペラント条件付けの正の弱化になる。つまり、技術介入要素を利用し、勝利への欲求を制御し、遊技への欲求を抑制させる。
ギャンブル依存症重症者の存在しない上級者
上級者は期待値を高める為に確率論に基づいた行動により遊技開始や継続の可否を判別する。勝利可能な確率が高い場合には極力長時間遊技し、敗北する確率が高い場合には遊技を開始しない。もしくは極力短時間で遊技を中止する。
技術介入要素により敗北すると判定した台では勝利への欲求を満たせない為、その台での遊技への欲求が減少する。勝利への欲求を満たせるかを期待値で数値化し、達成可否を判別し制御する為、上級者にはギャンブル依存症重症者は存在しない。
ギャンブル依存症重症者の多い反復して問題ある遊技者
持続的で反復し問題ある遊技者には、勝利への欲求を満たす為に不可欠である技術介入要素の正確な知識を有し遊技する者は存在しない。技術介入要素の知識不足の為、高期待値台の発見可能性が低く、加えて、期待値を高める技術も不足しており、遊技開始や継続の可否が判別不能である。
故に期待値が欠損し敗北する確率が高い台や、損益分岐点付近の低期待値台における遊技が多く、誤った認識による偶然の勝利により金銭を獲得するのがオペラント条件付けの正の強化になる。
その結果、期待値が欠損している台や低期待値台の遊技の反復を行い、偶然の勝利により金銭を獲得しても大数の法則により負債が増加する。その負債の奪還を試みるのがギャンブル依存症の症状の一つとなる。問題ある遊技者は勝利への欲求を満たせるかを期待値で数値化できず、達成可否が判別不能な為、遊技への欲求が制御できず、興味が持続的で問題ある遊技が反復する。
確率論を実践で証明
問題ある遊技者には正確な確率論の知識を有している者は存在せず、認知の歪みにより誤った認識をしている。加えて、パチンコ台の抽選システムが確率論で論理的に説明できる事を信用しない。
問題ある遊技を減少させる為には遊技する目的が勝利であると明確に認識させる。誤った認識を解消する為、遊技データや収支データを取得させ、確率論に基づいた行動をさせ、高期待値台を探索、遊技させる。反対に期待値が欠損、もしくは低期待値と判定した場合は直ちに遊技を止めさせる。
当初は意思を制御不能な場合も有り、遊技している台が論理的に勝利可能か敗北するかを認識させ、理論値と実践値を比較させるのが重要である。確率論の知識のみを教授しても理解できない場合も有り、自身の遊技に反映できない場合が多い。
確率論に対しての理解力が低い者も存在する為、パチンコやパチスロの技術介入要素や確率論の知識を基に行動する方法を単純明快に説明する必要がある。その方法を理解してもパチンコ店で実践した場合に、今迄の誤った認識を直ちに一般化する者も居り、定期的な行動確認等の管理が必要である。
加えて、対象者の管理がし易くデータ取得の速度も上がる為、一人より大人数での実践が効果的である。
認知の歪みが弱い者
認知の歪みが弱い者は、数回の行動で自らの誤った認識よりも確率論に基づいた行動を一般化して、遊技への反復する衝動が減少される。また、説明のみで衝動が減少される者もいる。
認知の歪みが強い者
認知の歪みが強い者は、確率論に基づいた行動の説明を行なっても感情の理由づけによる誤った認識の予想が的中した場合、それを直ちに一般化し問題ある遊技が反復する。
若干の者には、勝利への欲求が満たせないと認識しつつも遊技する欲求が抑えられず、心の葛藤が生まれ、一時的に放縦に遊技する場合もある。
だが、正確な技術介入要素を認識し、期待値の高低により論理的な勝敗を判別し、反復したデータ取得により確率論を自ら証明した結果、勝利への欲求が満たせない場合には遊技への衝動が減少し、問題ある遊技が減少する。
自らの認識が誤認であったと容認しても、それでは負債が奪還できないと考える者では、確率論を全く考慮しない勝利方法を模索する場合もあるが、負債が増加し、データが蓄積され、確率論の証明がより強固になると、存在しない勝利方法の模索や負債の奪還を諦め、全面的に容認する。
その際に仕事で労働をした場合の時給とパチンコやパチスロに消費している時間を時給換算させ、仕事で労働した場合の方が時給が高いと誘導するのが負債の奪還を諦めさせる為には効果的である。
高いゲーム性への欲求が強い者
確率論の知識により勝利への欲求が制御できても、ゲーム性の高さからパチンコやパチスロを行う欲求を制御できない場合には、低貸し等でいかに費用を抑制し遊技できるかや代替行為の提案が必要である。
持続的で反復する衝動の定量化
持続的で反復する問題賭博行動のリスクは、個々人の精神疾患リスクやストレス等の外的要因、当事者がゲームとして捉えた場合の興味の高さやパチンコやパチスロに対しての認知の歪み、パチンコやパチスロに即した確率論の知識や立ち回りを数値化し、リスクの定量化が可能である。
自助グループ等で強制的に止めさせて当事者のストレス負荷を高めるよりも、低リスク数値を目標に支援する事で当事者のストレス負荷軽減が可能である。また、介入の可否をより明確にできる。
ハームリダクション ・ギャンブル
依存症におけるストレス等の苦痛を取り除く為の自己治療仮説やADHD等の精神障害や疾患は、精神医療で寛解、回復を目指し、パチンコやパチスロにおける興味を持続し得る認知の歪みは、技術介入要素を基に高期待値台の探索や遊技を行い、負債を軽減し、勝利と敗北の論理的な証明を行い解消する。
これにより勝利可能な台が極端に少ない事実を論理的に認識し、徐々に遊技機会が減少、もしくは趣味としての制御された遊技となる。即ち、これはハームリダクション ・ギャンブルとなる。
*2020年8月25日加筆(段落「確率論を実践で証明」「勝利への欲求を満たす技術介入要素」への加筆と全文を読みやすくしました。)
*2020年8月28日加筆(段落「衝動と欲求」に加筆しました。)
*2022年8月19日加筆(段落「衝動と欲求」「認知の歪みが強い者」に加筆と、段落「高いゲーム性への欲求が強い者」を追加、全文を若干修正しました。)
*2022年8月20日加筆(段落「持続的で反復する衝動の定量化」を追加しました。)
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