ギャンブル依存症とかのブログ

確率論に言及しないギャンブル依存症対策や治療に疑問を感じます。
不許複製。

タグ:タフラブ



公益法人代表としての資質

昨今、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(以下、同会)田中紀子氏は、明確なエビデンス無しに新型コロナに乗じて、新型コロナ流行時にパチンコを遊技するのはギャンブル依存症などとこじつけ、また、政権批判を行う等などのイデオロギー的で極端な発言が目につく。

そこで本稿では、田中氏の「公益法人の代表としての発言は適切なのか」を検証する。



思想・良心の自由の保証

田中氏には日本国憲法第十九条により、思想・良心の自由が保証されている。これは表現の自由や言論の自由に繋がる自由権である。私は田中氏の自由権を侵害する考えは全く無い。


日本国憲法
第十九条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(*1)


公益法人の各機関の役割と責任

下記の表は、内閣府が作成した「公益法人の各機関の役割と責任」における「公益法人のガバナンスにおける留意事項」と公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(法人コードA024871)の法人基本情報である。


法人基本情報
公益目的事業を「ギャンブル依存症に係る啓発・情報提供事業」並びに「ギャンブル依存症に係る予防教育事業」を行いもって社会に貢献する (*2)

公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(法人コードA024871)の法人基本情報
出典・国/都道府県公式公益法人行政総合情報サイト 公益法人information

田中氏のツイッターアカウントのプロフィールには、「公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表田中紀子」と記載されているので、ギャンブルに関わるツイートや記事は全て「ギャンブル依存症に係る啓発・情報提供事業」や「ギャンブル依存症に係る予防教育事業」の一環である。

その他のツイートや記事など、事前に個人的意見と断りを入れたとしても、「公益法人代表田中紀子」の意見である。



公益法人のガバナンスにおける留意事項

2020年12月の、公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議における「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために - 最終とりまとめ」では、 下記のように結論づけている。


「公益法人は、税制上の優遇措置や国民からの寄附を受け、不特定かつ多数の人々の利益のために公益目的事業を実施する存在であり、社会的な信頼確保が特に重要である。そのため、各法人が自らの活動について国民全体に向けて積極的に説明や情報開示を行うことで透明性を確保することや、「公益法人としてのガバナンス」を確保することが求められている」(*3)

また、公益法人のガバナンスにおける留意事項には、公益法人は税制優遇を受けて活動する法人であり、国民の信頼を確保されるよう務める義務があると記載されている。


公益法人のガバナンスにおける留意事項
出典・公益法人の各機関の役割と責任 - 内閣府


公益法人のガバナンスにおける留意事項

国民の信頼あっての公益法人
公益法人についても、ガバナンスに関するルールは主に一般法人法に定められており、基本的には一般法人と共通です。しかし、公益法人は税制優遇を受けて活動する法人であり、国民の信頼なくしては成り立ちません。このことについて、役員等の関係者が自覚を持っていただくことが重要です。(*4)

公益法人の公益目的事業は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません。(*4)

理事・監事には、事業・財産管理の義務や責任がある理事や監事は、報酬の有無にかかわらず、公益法人に対する国民の信頼が確保されるよう、事業や財産の管理を適切に行う必要があります。これは法律上の義務でもあり、これを怠ったことにより法人に損害が発生した場合には、損害賠償などの責任を問われることになります。(*4)



ギャンブル依存症の誇大表現や捏造



田中氏は、上記ツイートでギャンブル依存症は相当数が存在しているとしているが、直近の横浜市都市整備局(令和2年3月23日)の「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」では、過去1年以内でギャンブル依存症が疑われる者の推計値が0.5%であり、生涯ではギャンブル依存症の疑われる者の推計値が2.2%だった。


ギャンブル等依存症調査比較

これは、厚生労働省の2017年のギャンブル依存症の調査(直近1年以内疑い約0.8%生涯疑い約3.6%)よりも、やや低い数値である。あくまでもスクリーニングテストであり「ギャンブル依存症推計320万人」は「疑い」であるにも関わらず、田中氏は公益法人の代表でありながら「ギャンブル依存症推計320万人」と「断定」し、エビデンスに基づかない発言をしている。

また、調査に使用されたスクリーニングテストであるSOGSのカットオフ値は過剰診断の問題点が指摘されており、5点以上では無く、7~8点以上が適切である点にも留意が必要である。



全世界にデマを拡散

こちらの動画では、全世界に対して「日本では320万人以上の人がギャンブル依存症と闘っている」とデマを拡散している。

海外メディア(チャンネル登録者数270万人)の取材に対して2017年の調査で、あくまで「生涯でギャンブル依存症が疑われる者の推計値が約320万人」と発表されているものを、「320万人がギャンブル依存症と闘っている」という誤った認識を世界に向け発信している。これは日本人への「スティグマ」そのものであり、なぜ、日本人であり公益法人代表である田中氏が慰安婦問題のような手法を用いるのだろうか。


and as a result, over 3.2 million people in japan are fighting against their gambling addiction.






NHKクローズアップ現代(2022/12/14)でのデマ

NHKクローズアップ現代「やめたくてもやめられない。広がるオンラインカジノの闇」に出演した田中氏は、2017年の久里浜医療センター調査結果の数値である「ギャンブル依存症320万人が罹患」(*5)と発言したが、この調査で使用されたスクリーニングテストである「SOGS」は、あくまでも診断基準を満たす可能性がある者を選別するものであり、診断基準を満たした罹患者を選別するものでは無い。



「あくまで疑い」なのだが「罹患」と意図的に表記


2017年9月厚生労働省より、「ギャンブル依存症生涯罹患率推計:成人人口の3.6%およそ320万人」、「直近1年のギャンブル依存症罹患率0.8%およそ70万人」と推計が出された。 (*6)

過去にも、あくまでも「ギャンブル依存症疑いの推計」なのだが「ギャンブル依存症罹患率」と意図的に歪曲して問題を誇大化するツイートをしている。



また、時事に乗じているだけでの下記のツイートなどは、癌とギャンブル依存症とパチンコ自粛にはどのような関係があるのだろうか。





無根拠なギャンブル依存症の断定

下記ツイートについても田中氏は報道を見ただけであり調査等は全くしていない。情緒的な判断だけでギャンブル依存症と断言している。



「使途の一つがギャンブル」と記述さえしてあれば、全てをギャンブル依存症に結びつけ 、著書でも「使途の一つがギャンブル」の事件のリストをまとめている。田中氏は精神科医でもカウンセラーでもない。どのようなエビデンスで「ギャンブル依存症」と断定したのだろうか。



下記の5月9日のツイートなどは、ソーシャルディスタンスを確保してパチンコ店に並んでいる人達を写した写真をコメント付きでリツイートしてるのだが、この大勢の人達に対して精神疾患であるギャンブル依存症と断定するのは人格攻撃に当たり、名誉毀損の可能性がある。



被疑者がギャンブル依存症と判明していない事件や報道を全てギャンブル依存症だと断定するのは、ギャンブル依存症者は犯罪者であるという「スティグマ」を強める行為であり、ギャンブル依存症の誤解や偏見を撒き散らす行為である。

当事者の病状を診断する行為は、医師法第17条では医師による医学的判断と解釈されており、無資格である田中氏の一連のツイートは医師法第17条違反の可能性がある。(*7)



「タフラブ」の懸念事項

田中氏は、アイドルグループ「神宿」とのコラボやアニメなどを作成して「タフラブ」を国民に広く啓発している。また、田中氏は「タフラブ」を次のように説明している。


タフラブを我々は「自立した愛の形」と名付けていますが、つまりは 依存症者がやらかした問題を周囲の人は、尻拭いや肩代わりをせずに、本人の問題は、本人に責任をまっとうしてもらう! (*8)





底つき体験

底つき体験とは依存状態に陥って社会生活において重大な支障をきたした時に、本人がその深刻な状態を認識して、その状態から脱しようと依存症と向き合う事である。

タフラブは近親者が援助などをせずに社会生活において支障をきたして、依存症と向き合うまでの「見守る愛」であり、その落ちる所が無い迄にどん底に落ちた「底つき体験」を通して当事者本人を回復に向かわせようとする施策だが、一つの疑問が湧く。当事者が底つきしなかった場合はどうなるのか。

借金ができなくなって高金利の闇金に手を出しても、仕事を解雇されても、犯罪を犯しても、病院などでカウンセリングや治療を受けても、底つきしなかった場合にもたらされるのは「死」ではないのだろうか。(*9)

これを依存症や当事者への対応についての知識の無い近親者が動画などに啓発されて安易に「タフラブ」を貫き通してしまった結果、死に至る。という懸念も生じる。田中氏は精神医療の知識の無い一般の素人に周知する危険性を認識しているのだろうか。



当事者の自殺

また、当事者の自殺が多いという事とタフラブという手法には関連があるのではないかという疑念も湧く。

話は逸脱するが、当事者に自殺が多いと認識しているという事は精神科を受診後に自殺しているのではないか。私が知る限り(10人ぐらい?)、依存症で精神科を受診し、いわゆる「衝動を抑える薬」を処方され服用すると、間違いなく全員が「だんだん生きていてもしょうがないと思い始める」と言い、自殺念慮を覚えたり、その中の数人は自殺企図もしている。因果はあるのだろうか。


タフラブというのは、依存症界では常識ですが、日本では一般の人にはあまり知られておらず、これが依存症問題を長引かせてしまう一つの原因になっています。(*8)

閑話休題。依存状態に陥るのは個々人において様々な背景要因があり、行き過ぎた「タフラブ」にもたらされるのが「死」であれば、「依存症界ではタフラブは常識」とレッテルを貼りスレテオタイプ化するのではなく、個々人において対応を変えるのが最適解である。そういった啓発が必要である。

仮に、当事者の近親者が、田中氏の「タフラブ」啓発で「タフラブ」を知り、素人知識の行き過ぎた「見守る愛」で当事者が死に至った場合に田中氏はどのように責任を取るのだろうか。



ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」の懸念

ギャンブル依存症自己診断ツール「LOST」とは、ギャンブル依存症の早期発見、治療の為のセルフチェック式の4問のみの簡易テストである。開発に至った経緯は、現時点で使われるスクリーニングテスト「SOGS」「DSM-5」「20の質問」では下記の欠点がありその欠点を補う為に開発した、と田中氏は述べている。


「算出方法が面倒」「質問数が多すぎる」「ギャンブル依存症者の対照群が一般人となっているため過剰診断になりがち」などという欠点があり、一般に広く用いられるには至っていなかった。そのためギャンブル依存症の予防教育や、早期発見、早期診断が実現せず、重症化してやっと家族が相談に訪れるという具合であった。(*6)


早期発見や早期診断の問題点


LImitless
1.ギャンブルをする時には予算や時間の制限を決めない、決めても守れない

Once again
2.ギャンブルに勝った時に「次のギャンブルに使おう」と考える

Secret
3.ギャンブルをした事を誰かに隠す

Take money back
4.ギャンブルに負けた時にすぐに取り返したいと思う。(*6)

この4つの質問に自分の1年以内のギャンブル経験が2つ以上あてはまったら、あなたはもうギャンブル愛好家ではなく、ギャンブル依存症に罹患している可能性がある。早めに相談機関を訪れることをお勧めする。(*6)

上記のように早期発見や早期予防を掲げているが、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)では、予防的、早期介入を促す「精神病リスク症候群(弱性精神病症候群)」の診断カテゴリーを導入する提案があったのだが、米国心理学会やDSM-IV作成委員長のデューク大学名誉教授アレン・フランシス氏が強く反対して提案は破棄された。

その理由として、精神科医・大野裕氏(**1*)によるアレン・フランセス氏へのインタビューにおいて、このように回答している。


精神病になると言われていた10人中9人が精神病にそうならないのです。精神疾患の予防法として立証されたものはありません。(*10)



「LOST」の信憑性


Q1.ギャンブルをする時には予算や時間の制限を決めない、決めても守れない
A.当てはまる
論理的に勝てる(期待値がプラス)台であれば予算や時間を決めずにやる。反対に論理的に負けると判断したときは立ち回りを変える。また、パチンコ屋は基本的には13時間営業が多いので、元々の時間制限はある。諏訪東京理科大学篠原菊紀教授のツイートを参照すると、健全遊技でも当てはまってしまうのではないか。


Q2.ギャンブルに勝った時に「次のギャンブルに使おう」と考える
A.当てはまる
勝てていれば軍資金になる。諏訪東京理科大学篠原菊紀教授もこのようにツイートしている。


Q3.ギャンブルをした事を誰かに隠す
A.当てはまる
重要な面接や面談等で「ギャンブルやりますか?」と聞かれたら「やりません」と答えるかもしれない。また、知人や交際相手の親族等が、ギャンブル嫌いなら隠す事もある。


Q4.ギャンブルに負けた時にすぐに取り返したいと思う。
A.当てはまらない
パチンコ、スロットを始めた知識の無い頃でも、「すぐに」取り返したいとはあまり考えない。「すぐに」と考えても、夜中にパチンコ屋は開いていない。


上記は「LOST」で診断した結果である。4問中3問が当てはまるが全く問題の無いギャンブル依存症となった。仮にこの結果を基に誤診の多いという精神科などを受診して、偶然にも利益のみを追求する精神科医に当たれば、故意に処方薬依存に陥らせる事をしたり、投薬等による自殺企図や自殺願望等を持つ事を考慮しない治療をすぐに始める可能性がある。

また、未だにあるのかは不明だが多剤大量処方で普通の生活が送れなくなる事も否定できない。受診する側からすると医師が誠実かどうかを判断する指標が無く受診もギャンブルになってしまう。田中氏はこのような問題点をどのように考えているのだろうか。

全ての精神科医が誠実であれば心配はいらないが、「LOST」で手軽で簡単にセルフチェック、診断できるという事は、安易にギャンブル依存症などの診断を下される可能性を否定できない。また、ギャンブル依存症というレッテル貼りによる差別や本人の心理的負担もあるのではないか。

そして、意図的に患者数を増加させようと目論み、国内の世論を誘導する為に利用するのではないか、という疑惑が生じてくる。



他者への批判

発信力のある田中氏は公益法人の代表でありながら法人や個人を名指しで批判している。株式公開している「楽天」への「人の不安につけ込んで商売するって信じがたい暴挙」という批判は、それによって株価が変動する可能性を否定できない。株価が変動するという事は「特定の者の利益になり特定の者の不利益になる」。





独善的なツイート

下記のツイートは、元KAT-TUNの田口淳之介氏が厚生労働省麻薬取締部に大麻取締法違反で逮捕された時のツイートである。すぐに保釈されたが、どのような状況なのかも不明瞭である田口氏に対して、田中氏の「我々依存症界にとって迷惑」というツイートは田口氏の精神状態を全く考慮していない。



田中氏の発言は、精神医療に携わる者であり依存症罹患者の自殺率の高さを認識しているにも関わらず、自らの主張を押し通すだけの発言である。ましてや「担当の弁護士がポンコツ」などは名誉毀損の可能性がある。

依存症界という特定の者の利益を求め、田口氏や担当弁護士、ファン等の特定の者の不利益になるツイートを独善的と言わずに何というのだろうか。


田中氏の独善的なツイートを批判した関連エントリー



第三者への損害賠償責任

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律には「悪意又は重大な過失があった時には第三者に生じた損害を賠償をする責任を負う」と明記されている。


一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第百十七条
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(*11)

田中氏はブログエントリーでも、「ソニーミュージックが反社会行為に加担している」や、新型コロナで自粛要請中に営業をしていたパチンコ店法人を名指しで批判している。そもそも、「ソニーミュージックが反社会行為に加担している」は、信用毀損罪や業務妨害罪の可能性がある。


ソニーミュージックさんの方が、よほど反社会的行為に加担してるじゃないですか~。(*12)
要請無視のパチンコ店は大賑わいです。我が家の近所のパチンコ店「オアシス」など、近所の店「プレサス」が開けてるから(*13)

この山口敬之氏に対してのツイートは山口氏自身の人格を攻撃するものであり名誉毀損ではないだろうか。



このような批判や、先述の楽天や田口淳之介氏、山口敬之氏などに対しての、悪意や重大な過失で損害が生じている場合には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(第百十七条)によって、当該役員である田中氏に第三者に生じた損害賠償責任が発生する。



田中氏の立ち振る舞いは適切なのか

今回列記した、田中氏の対立軸を生み出す批判的なツイートやエビデンスの無い情緒的な言説は、公益法人のガバナンスにおける留意事項に照らし合わせた場合、不特定多数の利益の増進に寄与するとは到底考えられない。これは「特定の者の利益になり特定の者の不利益になる」事になり、国民の信頼を得られない事に繋がる。

特に、反パチンコ派やギャンブル業界から依存症対策経済的支援を求める特定の者の利益にはなるが、パチンコ業界(メーカーには一部上場企業もある)やパチンコユーザー等とギャンブル依存症を無根拠に結びつける表現や誇大な表現は、国民にネガティブなレッテル貼りを促しスティグマを増強し、特定の者の利益を喪失する。

また、同会には厚生労働省や文部科学省から業務委託がなされており、約2千万円の税金が支出されているが、一連の無根拠、誇大ツイートをする田中氏が代表である同会に業務を委託される資格はあるのだろうか。(*14)



国民の信頼の確保

田中氏に批判されている側も納税者であり、その人々から信頼を得られるとは到底思えず、私などの国民の批判は田中氏が代表である同会を信頼していない証左でもある。

そのツイートや言説にエビデンスがあり正当性があるのであれば、同会への国民の信頼を確保する為に明確で合理的な説明をしなければならない。完全無視をするのは自ら公益法人代表としての責務を放棄している。

また、今回指摘した田中氏のツイートや言説は、民法第六百四十四条の善管注意義務に違反にしている可能性がある。この事により同会に損害が生じた場合には役員に対して、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(第百十一条)により損害賠償責任が発生する。


民法
第六百四十四条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。(*15)

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第百十一条
 理事、監事又は会計監査人(以下この款及び第三百一条第二項第十一号において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(*11)



全体の奉仕者


公益法人の公益目的事業は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません。また、法人の財産は、役員や職員の私産・私物ではなく、特に公益法人の場合は、税制優遇を受けて形成された、いわば国民から託された財産です。(*4)

公益法人のガバナンスにおける留意事項に明記されている「不特定多数の者」とは、国民全般を指し示しており、また、「法人の財産は税制優遇で形成された国民から託された財産」という事は、国民からの税金で支出されているのと何ら変わりはない。

つまり、公益法人は国民全般の利益増進に寄与する事業、即ち、公益目的事業を国民からの税金で実行する事になる。



公務員 ≒ 公益法人(役員)

この事から公益法人に求められるあり方は公務員とほぼ同じであり、公益法人のガバナンスにおける留意事項「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものでなければなりません。」は、日本国憲法第十五条第二項の「全体の奉仕者であり一部の奉仕者ではない。」とほぼ一致する。


日本国憲法
第十五条
○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。(*1)

つまり、公務員とほぼ同様の「公益」「公平」「中立」などの公務員倫理の遵守、高い職業倫理が求められる。

しかし、田中氏の下記ツイートからは特定のイデオロギーの者との信頼関係の確保を優先し、それ以外の者との信頼関係の確保を放棄している事が読み取れる。言い方を変えれば、田中氏は代表である公益法人の同会を「私的利用」しているのではないだろうか。





公益法人代表の政治的批判

公務員には全体の奉仕者として、公平中立に公務に携わる為に、政治的に中立な立場を維持する為の政治的行為の制限がある。(*16)(*17)



一般社団法人及び一般財団法人に関する法律や、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律には、政治活動の制限の規定は無いが、公益性が求められるのであれば、公務員とほぼ同じあり方を求められる。田中氏の政権批判とも取れる下記ツイートやリツイート、記事は、公務員の政治的行為の制限に準じて自主的に制限しなければならないはずである。(*18)



また、パチンコ関連業界団体に「振り込めばマスコミ等に業界の依存対策貢献を広める」として、寄付を要求していたという証言もある。





公益認定等委員会

同会は2018年3月1日から公益社団法人に認定されたが、田中氏の一連の無根拠、誇大ツイートや記事は2020年の5月現在でも確認できる。内閣府の審議会(諮問機関)である公益認定等委員会は7人の委員で構成されているが、公益認定はどのような判断で下されたのだろうか。また、監査は機能しているのだろうか。公益認定取り消しをせずに放置されていた状況を考慮すると、7人の委員にも疑惑の目を向けてしまう。



*2022年12月18日加筆(段落「NHKクローズアップ現代(2022/12/14)でのデマ」を加筆致しました。)


(*1)引用元・日本国憲法 - 電子政府の総合窓口 - e-Gov イーガブ
(*2)引用元・公益法人等の検索(ギャンブルと検索してください) - 国・都道府県公式公益法人行政総合情報サイト - 公益法人information
(*3)引用元・公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議における「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために - 最終とりまとめ」
(*4)引用元・公益法人の各機関の役割と責任 - 内閣府
(*5)参照元・NHK | クローズアップ現代 | やめたくてもやめられない広がるオンラインカジノの闇
(*6)参照・引用元・たった4問でわかる!ギャンブル依存症スクリーニングテストLOST誕生 - Japan in-depth
(*7)参照元・「医行為」について - 厚労省
(*8) 参照、引用元・祝!タフラブCD化 NHKみんなのうた「変顔体操」両A面に アゴラ | 田中紀子氏
(*9)参照元・「底付き」は必要なのか - みゃおと鳴いたnet | scrblbug氏
(*10)引用元・精神医療ダークサイド(元読売新聞東京本社医療部・佐藤光展氏著)(p177)
(*11)引用元・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 - 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
(*12)引用元・薬物にハマっている時の足跡を残すことも薬物教育に役立つ証拠 - 田中紀子 - アゴラ
(*13)引用元・新台入れ替えまで!自粛に応じぬパチンコ店に厳しい措置を・・・です
(*14)参照元・公益社団法人・ギャンブル依存症問題を考える会 - 定款・事業報告書・決算報告書
(*14)参照元・公益社団法人・ギャンブル依存症問題を考える会への総支出額 - 政府の事業が検索できるサイトJUDGIT!(ジャジット)
(*15)引用元・民法 - 電子政府の総合窓口 - e-Gov イーガブ
(*16)参照元・政治的行為の制限 - 人事院
(*17)参照元・一般職地方公務員の政治的行為の制限 - 衆議院
(*18)参照元・公益認定と政治活動等の取扱いについて―不認定事例をベースにした報告―公益財団法人公益法人協会 - 専務理事 - 鈴木勝治



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ギャンブル依存症疑い3.6%

厚生労働省の2017年のギャンブル依存症の調査で、約320万人(3.6%)が生涯でパチンコや公営競技等の、ギャンブル依存症が疑われる状態になった事があるとする調査結果を発表しました。直近1年以内ではギャンブル依存症が疑われた人は約70万人(0.8%=約22%)です。

つまり、ギャンブル依存症が疑われても約250万人(2.8%=約77%)は回復しています。また、ギャンブル依存症には併存障害が75%に及ぶという公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授・篠原菊紀氏の指摘もあります。

そこで、今回は、ギャンブリング障害(ギャンブル依存症)には ”誰もが” 陥るのかを”脳科学”的な研究や”精神医学”的な調査を基にして検証してみます。


間違いがございましたらご指摘をお願い致します。



シナプス

今回のエントリーでは、脳科学的な見地からギャンブル依存症を検証致しますので、脳内の情報伝達の為の接触構造である「シナプス」「神経伝達物質」について説明させて頂きます。

シナプス ・イメージ図

脳内には情報を処理して伝達する神経細胞があり、情報を送る側の末端と受け取る側の末端をシナプスと呼びます。情報を送る側は「シナプス前終末」と呼び、受け取る側は「シナプス後細胞」と呼びます。シナプスでは神経伝達物質(モノアミン)を使用して情報の伝達を行います。


神経伝達物質、モノアミンとは?

モノアミンとは、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称です。その中の「ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン」はカテコールアミンとも呼ばれます。

  • ドーパミン ー 快楽・衝動
  • セロトニン ー 調整・抑制・安定
  • ノルアドレナリン ー 覚醒・判断・注意
  カテコールアミン
カテコールアミン


参照元・モノアミン - 脳科学辞典


シナプスでの情報伝達

シナプス ・イメージ図

1・シナプス前終末からシナプス後細胞へ情報が伝達される際に、活動電位という電気信号が神経細胞に発生。

2・活動電位がシナプス前終末まで達すると、シナプス小胞がシナプス間隙まで移動して細胞膜を開き、小胞内に貯蔵されていた神経伝達物質をシナプス間隙へと放出。

3・シナプス間隙へ放出された神経伝達物質の一部はトランスポーターによってシナプス前終末に取り込まれてリサイクルされます。放出された神経伝達物質は情報伝達の為にシナプス後細胞に向かう。

4・シナプス後細胞のモノアミン・レセプター(受容体)によって、神経伝達物質の受容、情報伝達を完了。



ギャンブル依存症と発達障害とモノアミン

次は、シナプスと神経伝達物質の研究や調査から、ギャンブル依存症と発達障害の脳科学的な関連性を検証してみます。


ギャンブル依存症とノルアドレナリン


ノルアドレナリンとは?

ノルアドレナリンはモノアミンやカテコールアミンの一種です。生体内で神経伝達物質やホルモンとして働き、末梢神経系では交感神経における神経伝達物質として重要です。中枢神経系ノルアドレナリンは覚醒や睡眠、ストレスに関係する働きをします。また、注意、記憶、学習等にも影響すると考えられています。


参照元・ノルアドレナリン - 脳科学辞典


ノルアドレナリン・トランスポーター

京都大学大学院医学研究科准教授・医学博士・高橋英彦氏の2012年の研究によると、ギャンブルの慎重さにおいての脳内のノルアドレナリン(神経伝達物質)トランスポーター(再取り込み口)に特徴があり、ノルアドレナリン・トランスポーターの密度の低い人ほど、ギャンブルに慎重になるという研究結果を発表しました。

これは、逆の見方をすれば、ノルアドレナリン・トランスポーターの密度の高い人ほど、ギャンブル依存症の人が多いと仮定できます。


参照元・ギャンブルへの慎重さに脳内のノルアドレナリンが関与 - 京都大学・高橋英彦氏


発達障害とノルアドレナリン

ノルアドレナリン・トランスポーター(adhd)

一方で、発達障害の人の脳では、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンが不足している事が解っています。発達障害の人の脳内では、トランスポーター(再取り込み口)から神経伝達物質を再取り込みしすぎてしまう可能性があるそうです。

これは、ノルアドレナリン・トランスポーターの密度が高い人ほど、発達障害の人が多いと仮定できます。


参照元・ADHDの原因は脳内に? - 大人のためのADHDサイト


発達障害とギャンブル依存症の共通項(ノルアドレナリン)

この事から、発達障害の人とギャンブル依存症の人のノルアドレナリン・トランスポーターに共通する特徴が有る事が判ります。

  • ギャンブルへの慎重さが低い:ノルアドレナリン・トランスポーター(密度高)
  • 発達障害の人が多い:ノルアドレナリン・トランスポーター(密度高)


ギャンブル依存症とドーパミン


ドーパミンとは?

ドーパミンは運動機能や認知機能などの中枢機能の調節に関与しています。また、ドーパミン神経系は精神疾患の病態に対する関与の可能性があるとされています。


参照元・ドーパミン - 脳科学辞典


ドーパミン・レセプター

京都大学大学院医学研究科准教授・医学博士・高橋英彦氏らの2010年の研究は、健常男性をAとBの同人数のグループに分け、様々な当選確率と当選金額の組み合わせのある複数の宝くじを、「どの程度の金額なら購入してもよいか?」を回答するものです。

両グループで、「低確率を高めに、高確率は低く見積もる」レベル数値と線条体のドーパミンD1、ドーパミンD2受容体(レセプター)の密度との相関関係を画像化技術を使用して調査したところ、線条体のドーパミンD1受容体の密度が低い人ほど、「低確率を高めに、高確率は低く見積もる」レベル数値が高いという結果になりました。ドーパミンD2受容体の密度には相関関係はありませんでした。

これらの調査結果から、ドーパミンD1受容体の密度が低い人ほど、低確率に期待感を持ち、高確率に不安感を持つ傾向があり、ドーパミンD1受容体の密度の高い人は、冷静な意思決定をする傾向があることが判りました。


参照元・低い当選確率を高めに見積もるワクワク感に脳内ドーパミンが関与-脳内分子の画像化技術と経済理論から依存症に迫る - 独立行政法人放射線医学総合研究所 / 独立行政法人 科学技術振興機構(JST) / 京都大学・高橋英彦氏


発達障害とドーパミン

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また、発達障害(ADHD)の人はドーパミン受容体が少ないという調査結果もあるそうです。


ネガティブにとらえられがちなADHDの有利な点とは? - Gigazine



発達障害とギャンブル依存症の共通項(ドーパミン)

この事から、発達障害の人とギャンブル依存症の人のドーパミン・レセプターに共通する特徴が有る事が判ります。

  • ギャンブルへの低確率に期待感、高確率に不安感:ドーパミンD1受容体(レセプター)(密度低)
  • 発達障害:ドーパミン受容体(レセプター)(密度低)




ギャンブル依存症者と健常者の脳の一部の活動や結合の違い

2017年発表の京都大学大学院医学研究科准教授・医学博士・高橋英彦氏らの研究では、ギャンブル依存症の男性患者21名と健常男性29名に対して、ハイリスク・ハイリターンのギャンブルとローリスク・ローリターンのギャンブルを状況に応じて最適なリスクの取り方を切り替える必要のあるギャンブル課題を、患者のリスクへの態度に特徴が見られるかどうかを検討しました。


実験の結果、患者は許容できるリスクの大きさを柔軟に切り替えることに障害があり、リスクを取る必要のない条件でも、不必要なリスクを取ることを確認しました。(*1)

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出典・ギャンブル依存症の神経メカニズム -前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害 - 京都大学・高橋英彦氏ら


また、ギャンブル依存症者の脳の活動状態を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調査したところ、脳の前頭葉の一部(背外側前頭前野、内側前頭前野)の結合が弱い事も判明致しました。(*1)

(*1)引用・参照元・ギャンブル依存症の神経メカニズム -前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害 - 京都大学・高橋英彦氏ら



ギャンブル依存症と発達障害やパーソナリティー障害、精神障害の関連性

前述の研究、調査から下記のように共通項が見つかりました。

  • ギャンブルへの慎重さが低い:ノルアドレナリントランスポーター(密度高)
  • 発達障害の人が多い:ノルアドレナリントランスポーター(密度高)

また、ドーパミンD1レセプターにおいても下記のような差異が画像化技術において確認されています。発達障害においてはドーパミン受容体(レセプター)の密度が低いという調査もあります。

  • ギャンブルへの確率を客観的に判断:ドーパミンD1受容体(レセプター)(密度高)
  • ギャンブルへの低確率に期待感、高確率に不安感:ドーパミンD1受容体(レセプター)(密度低)
  • 発達障害:ドーパミン受容体(レセプター)(密度低)

DSM-5で指摘される併存障害と傾向

DSM-5(精神障害の診断と統計のマニュアル-米国精神医学会)によると、低年齢からギャンブルを始めると、ギャンブル依存症(ギャンブリング障害)の割合が増加する。

ギャンブル依存症(ギャンブリング障害)には「衝動的」「競争心が旺盛」「精力的」「落ち着かない行動」「飽きやすい」「承認欲求が強い」などの傾向の人がいる。また、「無力感」「罪悪感」「抑うつ感」を感じた時にギャンブルをする傾向もある。

ギャンブル依存症(ギャンブリング障害)の幾ばくかの人には、パーソナリティー障害や抑うつ障害、双極性障害等の精神障害、物質使用障害、特に中等度から重度のアルコール使用障害と一体に見える場合がある。


環境要因

ギャンブル依存症(ギャンブリング障害)リスクに関しての双生児研究では、リスクの分散の49.2%が遺伝的影響で男女差がありません。残りの約50%が環境要因ですが、共有環境(互いを似せる方向に働く環境=ほぼ家庭環境)の影響は0%です。環境は非共有環境(互いを似せない方向に働く環境=家庭環境以外)が影響します。

この比率はビッグファイブと呼ばれる「神経症傾向(N)」「外向性(E)」「経験への開放性(O)」「協調性(A)」「誠実性(C)」などと似ており、性格と同レベルに遺伝性の想定ができます。


参照元・ギャンブル依存症 - wikipedia


また、公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授・篠原菊紀氏の下記ツイートでは併存障害が75%に及ぶという指摘もあります。


ギャンブル依存症の仮説

これによって、ギャンブル依存症の人には「ノルアドレナリントランスポーターの密度が高く」、かつ、「ドーパミンD1受容体(レセプター)の密度が低い」という事が多いのではないかと仮定できます。

また、DSM-5(精神障害の診断と統計のマニュアル-米国精神医学会)にて指摘されている「併存障害」「遺伝要因約50%:非共有環境要因(=家庭環境以外)約50%」という調査や、篠原菊紀氏による「併存障害75%」という指摘もあります。つまり、ギャンブル依存症の人には発達障害、精神障害的な傾向があると仮定できます。



ギャンブル依存症は進行的で不可逆性なのか?


ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏の説明

ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏は、ギャンブル依存症は「進行的」「不可逆的=一度たくあんになった大根は、もう、たくあんには戻れない」とギャンブル依存症の説明をしております。しかし、可逆的、不可逆的であっても約77%が回復しており、「進行的」と『レッテル貼り』するのは誤りではないでしょうか。


依存症を単体(背景要因や併存障害無しで依存症のみ)で原因

また、田中紀子氏は依存症を単体(背景要因や併存障害無しで依存症のみ)で原因としておりますが、今回の知見によって、ギャンブル依存症の原因は、併存障害での統合失調症や薬物依存、アルコール依存などや、神経伝達物質のモノアミン・トランスポーターやモノアミン・レセプターの差異、遺伝要因や非共有環境要因によって、依存状態に陥る可能性が高い事が判明しております。

上記の通り、個々人において様々な背景要因があります。また、薬物やアルコールなどの物質依存にも併存障害がある事が判っております。これは、薬物やアルコールなどの物質依存やギャンブル依存などの行為依存、即ち、全ての依存症を単体(背景要因や併存障害無しで依存症のみ)で取り扱う事、更にはギャンブル依存と他の依存症を一括りにするには、些か無理があるのではないでしょうか。



『タフラブ』の懸念事項

ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏は『タフラブ 』を次のように説明しております。

タフラブを我々は「自立した愛の形」と名付けていますが、つまりは 依存症者がやらかした問題を周囲の人は、尻拭いや肩代わりをせずに、本人の問題は、本人に責任をまっとうしてもらう! (*2)



底つき体験とは

依存状態に陥って、社会生活において重大な支障をきたした時に、本人がその深刻な状態を認識して、その状態から脱しようと依存症と向き合う事。


底つき体験

『タフラブ 』とは、アルコール依存症の治療からでてきた依存症治療に関する考え方です。それは、近親者が援助などをせずに、社会生活において支障をきたして、依存症と向き合うまでの「見守る愛」であり、その落ちるところが無い迄にどん底に落ちた「底つき体験」を通して、依存症者本人を回復に向かわせようというものですが、一つの疑問が浮かび上がります。

『依存症者が底つきしなかった場合はどうなるのか?』

借金ができなくなって高金利の闇金に手を出しても、仕事を解雇されても、犯罪を犯しても、病院などでカウンセリングや治療を受けても、底つきしなかった場合にもたらされるのは「死」ではないのだろうか。これは、依存症者の自殺が多いという事と、『タフラブ 』という手法には深い関連があるのではないか、という疑念が湧いてきます。

また、依存症や当事者への対応についての知識の無い近親者が、動画などに啓発されて、安易に『タフラブ 』を貫き通してしまった結果、死に至る。という懸念も生じてきます。


タフラブというのは、依存症界では常識ですが、日本では一般の人にはあまり知られておらず、これが依存症問題を長引かせてしまう一つの原因になっています。(*2)

今回の知見を踏まえると、依存状態に陥るのは、個々人において様々な背景要因があるという事が証明されています。行き過ぎた『タフラブ 』にもたらされるのが「死」であれば、「依存症界ではタフラブ は常識」とレッテル貼りするのではなく、個々人において対応を変えるのが最適解であり、そういった啓蒙が必要ではないのだろうか。


『タフラブ 』のコラボ

また、インターネットで『タフラブ 』のエビデンスとなりうる調査や研究の記事や論文などは見当たりません。このような疑念が拭いきれない『タフラブ 』を、アニメ化したり、アイドルグループとコラボレーションして、ギャンブル依存症問題を考える会が『タフラブ 』を流布する事は公益法人の事業として適切なのか、と懐疑的になります。


(*2) 参照、引用元・祝!タフラブCD化 NHKみんなのうた「変顔体操」両A面に アゴラ | 田中紀子氏
参照元・「底付き」は必要なのか - みゃおと鳴いたnet | scrblbug氏


EBPM『エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング』


EBPMとは?

EBPMとは『エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング』(証拠に基づく政策立案)の略です。以下の説明は内閣府からの引用です。

EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。

内閣府におけるEBPMへの取組 - 内閣府



ギャンブル依存症問題を考える会とEBPM


ギャンブル依存症を考える会の主張

公益社団法人ギャンブル依存症を考える会は、前回のエントリー「ギャンブル依存症の欺瞞の疑惑」でも指摘致しましたが、ギャンブル依存症者を安易に増加させるのではないか、と疑念を抱かせる簡易テストを作成したり、上記のようなエビデンス(研究結果や調査結果)に基づかない主張をしています。これは、内閣府の推進する「EBPM」と、同会の活動内容に相違があるのではないでしょうか。



厚労省と文科省と内閣府の責任

『内閣総理大臣を長とする内閣府』の取り組む「EBPM」に相違する、エビデンスに基づかない主張をしているギャンブル依存症問題を考える会に、内閣府の所管である公益認定等委員会は、「なぜ、公益認定をしたのだろうか?」、と疑問が湧いてきます。

また、厚労省や文科省は、内閣府の取り組む「EBPM」に相違する主張をする同会に、なぜ、ギャンブル依存症の啓蒙活動や予防活動の講演依頼をするでしょうか。これらについて、厚労省や文科省、ひいては『厚生労働大臣』や『文部科学大臣』には、原資が税金である支出によって、同会にシンポジウムや啓発講座等の依頼をする合理性についての説明責任があるのではないでしょうか。(*3)また、内閣府の所管である公益認定等委員会、もしくは内閣総理大臣には、公益性の認定に至った経緯を説明する責任もあるはずです。



ギャンブル依存症問題を考える会に問う

私はギャンブル依存症問題を考える会を潰そうという考えは持っていません。ただ、同会のエビデンスに基づかない主張に公益性があるのか、と疑問を感じ、また、厚労省や文科省が同会に原資が税金である支出によって、シンポジウムや講座の依頼をする合理性があるとは感じません。

しかし、私が見誤っている可能性も否定できません。そこで、下記の項目について、同会の主張に如何に合理性があるのかを、同会の知り得るエビデンスとなりうる研究や調査を使用した合理的な説明で、田中紀子氏にはブログにエントリーして頂きたい。と思います。


(*3)参照元・2017年の公益社団法人・ギャンブル依存症問題を考える会への総支出額 - 政府の事業が検索できるサイトJUDGIT!(ジャジット)
(*4)参照元・たらい回し案件は誰かが真剣に何とかしようと思えば何とかなる!です - 田中紀子氏


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大麻で芸能人が逮捕

2019年5月22日に、元KAT-TUNの田口淳之介氏が厚生労働省麻薬取締部(通称マトリ)に元女優・小嶺麗奈氏と一緒に乾燥大麻およそ2.3グラムを所持していた罪で逮捕されました。

その後、6月7日に保釈保証金300万円を納めて保釈をされましたが、その保釈時の『土下座』を一部のネットや依存症界では全否定するようなバッシングを浴びせていました。その点についての私感です。



土下座の意味

フリーライター・赤木智弘氏のブロゴスのエントリーにおいて、もはや、『土下座』は、最早、ドラマやバラエティのお約束であり、「土下座で謝罪を表現すること」は極めて難しいという。

しかし、フィクションとノンフィクションの区別がつかない人が世の中にそんなにも多くいるのだろうか?逮捕されて閉鎖された空間で尋問を受けた後に保釈され、30を過ぎた大のおとなが、アスファルトだろうが土だろうが、地べたに頭をつけて土下座で謝罪しているのである。それがパフォーマンス、演技に見えるのだろうか?、と、疑問符をつけざるを得ない。

初めて逮捕され、保釈され、追い詰められた精神状態の時に、果たしてパフォーマンスや演技で『土下座』をしようと勾留中に考えるのだろうか。これは、保釈時に『どのようにしたら謝罪が伝わるのか?』と考えた刹那、『土下座』という行為をしてしまったのではなかろうかと推測する。

土下座に謝罪の意味はない - 赤木智弘 - Blogos

誰に対しての『土下座』?

また、インターネットにて、誰に対して『土下座』で謝罪してるのか?というのは、

  1. 世間を騒がせた事に対しての謝罪
  2. 関係者やファンを裏切った事へ対しての謝罪

ではなかろうか。

誰に対して謝罪してるのか判らないというのは『行間が読めない』のではないだろうか。



「ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏の断罪」



これは依存症界ではなく、田中氏の視点だけの『利己的』『独善的』な発言ではないか?田中氏は田口氏が保釈され、インターネットでこういったバッシングを目にすることを考慮しないのだろうか?

逮捕されて閉鎖された空間で尋問を受けた後に保釈され、田口氏がどういった状況なのか、依存症の知識があるのかどうか、周りにフォローする人物がいるのかどうかも不明瞭であり、保釈後に一人でいる状況も考えられ、追い詰められてるかもしれない。

万が一にも最悪の事態の可能性もある。

田中氏が『我々依存症界にとって迷惑』と断罪する事は、田口氏の精神状態を全く考慮しておらず、この断罪は早計すぎる。と断罪せざるを得ない。田中氏は依存症罹患者の自殺率の高さを認識しているにも関わらず、自らの団体の主張を押し通す事だけの発言、これを『利己的』『独善的』と言わずにして、どう表現すればいいのだろうか?


弁護士が『土下座を促す』?

芸能人の保釈時の映像を見ていると、謝罪の文言は弁護士が考えていると推測できるが、常識的に弁護士が謝罪として『土下座』を促すような事は到底考えられない。これは深読みしすぎではなかろうか。



『土下座』や『丸刈り』は依存症に効果がある?


一般の方々に、土下座や丸刈りそういった精神論が、依存症に効果があるいといった、誤解が社会に広まらないで欲しいです。(*1)

一般的には『土下座』や『丸刈り』は謝罪であり、「『土下座』や『丸刈り』が依存症の治療や回復に効果があるといった誤解が広まる」と、『たった一度』の事例だけで危惧するのは結論が飛躍しすぎであり、ましてや、スマホ普及率80〜85%の時代であり、先ずはインターネットでそのキーワードを検索するはずである。田中氏の危惧は早計すぎるのではないか。

『土下座』や『丸刈り』は治療や回復には意味が無いのは誰の目で見てもほぼ明らかである。だが、『謝罪』としての意味までも無いのだろうか?『土下座』や『丸刈り』は謝罪を言葉だけでなく態度で示しているのである。


第一、土下座とか丸刈りなんていう派手な謝罪のあり方の根底にあるのは、「絶対に許して欲しい」「少しでも自分の有利にことを運びたい」「誠意があると信じて貰いたい」という自分勝手な強引な感情ですよね。(*1)

(土下座は)相手の感情を揺さぶろうとする計算(*1)

これは田中氏が「全ての依存症者の思考パターンは絶対にこうであり、土下座は計算である。」とレッテル貼りしてるだけであるが、本当に謝罪の意をもって表している人も少なからずいるはずである。

一般的に『土下座』や『丸刈り』をされたら、先ず、「あなたの謝罪の気持ちは良く判った。」と考えるのが普通ではないだろうか。その次に、「次にまた過ちを犯さないようにするにはどうするのか?」と問いかけ、受診、治療等の『行動』に繋がらなかった時に断罪すればいいのである。『土下座』や『丸刈り』だけでは『意味がない』と。



人間の尊厳


以下のようなものは効果がない。 恫喝、懲らしめ、見せしめ
依存症の回復に効果がある 依存症者を叩くより回復させたほうがメリットがある。(*2)

田口氏の『土下座』を叩いて、見せしめにしてるのは田中氏自身ではないのか?芸能人といえども一個人である。「土下座の意味は無い」という発言は田中氏の提唱する『タフラブ』なのだろうが、『見守る愛』があるかどうかも判らない、全く接点の無い田口氏に対しての『土下座』の否定は、『愛の鞭』ではなく『棘の鞭』ではないだろうか。これは自らの主義主張を広めようと芸能人である田口氏を利用しているに過ぎない。

「土下座の意味は無い」と発言するのであれば、公共の場では無く、私的な場で直接、本人に発言すべきである。公衆の面前で『土下座』をした、芸能人と言えども一個人を、発言力のある田中氏がツイッターで断罪するという行為は、田口氏の精神状態を全く考慮せず、『利己的』『独善的』であり、人間の尊厳というものを軽く見ているのではないか。発言するのであれば、「今すべき事は土下座ではありません。」「土下座の意味は無い。」では無く、「土下座で謝罪の意は伝わったが、土下座だけでは意味が無い。」が適切ではないか。田口氏の精神状態が心配である。

国立精神・神経医療研究センター・精神科医・松本俊彦氏の芸能界のコネクションを辿ってのフォローを期待したい。


(*1)引用元・田口淳之介さん、あなたがすべきことは土下座ではないです - 田中紀子
(*2)引用元・土下座に何故効果がないか?誰でもわかる依存症講座です - 田中紀子
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