ギャンブル

ギャンブルという行為が「勝って金を儲けて、精神的に満足する」という明確な目的の元に行われ、「負ける理屈」「勝つ理屈」が明確であります。「負けよう」と思ってギャンブルをやる人はいません。また、ギャンブル依存体質者がギャンブルを行なった際の「勝ち・負け」の結果によって、結果因子も相反する二通り(二方向)が存在します。他の依存行為では依存体質者が行為を行なった際の結果、結果因子は一方向です。

これにより、ギャンブリング障害では「負け続ける」事が依存状態から抜け出せない発端であり、ギャンブルという行為自体への規制は依存問題解決の本質では無いと定義できます。また、依存症問題の本質は対象・行為に対しての欲求をコントロールができない事であり、予防対策としての即応的な対策(入場規制等)も、この問題の本質、根本的な解決策にはならないと考えます。


究極のコントロールユーザー

ギャンブルにおいてはプロと呼ばれる、極力負けないように行動できる確率論の正確な知識を有している者が存在します。この事からギャンブルにおいては「確率論の正確な知識(独立試行、期待値等)自分が行っているギャンブルの知識」を有している者は、ギャンブルにおいての動機因子、行動因子をコントロールできる、究極のコントールユーザーと認識する事ができます。

ギャンブル依存症グラフ

ギャンブルの論理的な知識を理解しても、理解した初期の段階では感情的に考えずに行動してしまう人もいます。ただ、「負けると判っていて、やっぱり負けて金が減っていく」のを体感すれば、その行為がバカバカしくなるのは自然であり、負けると判っていれば、「勝とうと思ってリスキーな勝負する」という事が無くなり、感情をコントロールできるようになります。



ギャンブリング障害調査への提案

「負けよう」と思ってギャンブルをやる人がいない事実。ギャンブルの結果によって結果因子が相反し「負け続けるとギャンブリング障害の発端になる」という事実。プロという極力負けないように行動できる、確率論の正確な知識を有しているコントロールユーザーの存在。この事実から導き出される答えは「罹患者はギャンブルに勝つ為の確率論の正確な知識(独立試行、期待値等)、自分が行っているギャンブルの知識を有していない。」となります。

これらの事実から導き出された答えを前提として、ギャンブリング障害の調査に「確率論の正確な知識(独立試行、期待値等)、自分が行っているギャンブルの知識を有しているか?」を加え、罹患者にこの知識が無い割合が多ければ、これによって罹患する要因の一つが「確率論の正確な知識(独立試行、期待値等)、行っているギャンブルの知識を有していない」という事が実証されます。

以上の事から、プロのように極力負けないように行動できるコントロールユーザーを強制的に育成すればいいのではないか?と考えました。そこで、ギャンブルを行う際にはICカード、FeliCa等による個人IDの使用を強制して、成績の数値データを蓄積させます。誰でも自分が行なっているギャンブルの成績は気になりますので、その成績の数値データをユーザーに意識させます。そこから「確率論の正確な知識(独立試行、期待値等)自分が行っているギャンブルの知識」を覚えてもらい、ギャンブルに対しての動機因子、行動因子をコントロールできるユーザーを育成しようというものです。簡潔に言うと、「やる・やらない」の判断、「続ける・続けない」の判断を感情的ではなく、論理的にしようというものです。


ギャンブリング障害の予防対策に追加したい提案


パチンコ・スロット

・パチンコ、スロットに関しては小冊子、ウェブサイト等を使って以下の事を説明する。

1・パチンコとスロットの抽選方法・機種ごとの特性
2・確率論(個人的には独立試行が理解できていれば良いと思います。)と期待値

・ICカード、FeliCa等(スマホ対応)による個人IDによる入場、遊戯規制(不正使用防止の為に顔認証を取り入れる)。これらが無いと遊戯できない。

3・個人IDに連動した遊戯データ(収支、個人のペイアウト、大当たり確率等)を可視化する。スマホアプリ等のモバイルデバイス、ホールのデータロボ等の常設デバイスで閲覧できるようにする。
4・できれば、期待値を計算できるアプリ。
5・個人IDに期間(月間・年間など)による負債の限度額を設定する。限度額に達すると設定した期間中は入場、遊戯できない。

パチンコ・スロットの新基準を作る際には射幸性ばかりではなく、ギャンブリング障害側から考えた規定を検討する必要があると思います。


公営競技

・公営競技は小冊子、ウェブサイト等(もしくはレース場)で以下の事を説明する。

1・平均払い戻し率(還元率)を明確に表示。(勝馬投票法ごとの払戻率 - JRAはありますが他の公営競技も)

2・払い戻し率(還元率)の論理的な説明をする。

3・ICカード、FeliCa等(スマホ対応)による個人IDによる入場、投票規制(不正使用防止の為に顔認証を取り入れる。インターネット投票は課題になる。)。これらが無いと投票できない。

4・個人IDに連動した投票データ(収支、個人の払い戻し率、的中率等。自分の予想方法ごとの収支、個人払い戻し率、的中率)を可視化する。スマホアプリ等のモバイルデバイス、公営競技場の常設デバイスで閲覧できるようにする。

5・個人IDに期間(月間・年間など)による負債の限度額を設定する。限度額に達すると設定した期間中は入場、投票できない。


カジノ

・カジノでも小冊子、ウェブサイト等(もしくはカジノ)で以下の事を説明する。

1・ゲームごとのペイアウト、状況によって最適な選択が選べるようになる解説、確率論等。

2・ICカード、FeliCa等(スマホ対応)による個人IDによる入場、プレイ規制(不正使用防止の為に顔認証を取り入れる。)。これらが無いとプレイできない。

3・個人IDに連動したプレイデータ(収支、個人のペイアウト等)を可視化する。プレイデータをスマホアプリ等のモバイルデバイス、カジノでの常設デバイスで閲覧できるようにする。

4・個人IDに期間(月間・年間など)による負債の限度額を設定する。限度額に達すると設定した期間中は入場、プレイできない。


参考元|パチンコ・パチスロ遊技障害対策私案ー諏訪東京理科大学篠原菊紀教授