ギャンブル依存症とかのブログ

確率論に言及しないギャンブル依存症対策や治療に疑問を感じます。
不許複製。

カテゴリ: 政治


全体主義

インターネットの登場により、情報が伝達する速度が早くなり、情報格差がなくなり、情報が永遠に残るようになった。 更に発達したインターネットにより、既存メディアが世論をリードできなくなってきたと思われる。テレビで「報道しない自由」を発動すればネットで指摘され、ミスリードしてると思われる報道にもネットで指摘される。報道が矛盾していればネットで追求が始まる。 以前まではメディアが一方通行で送りつけて世論形成を図っていたが、これからは既存メディアとインターネットメディアを通じて、一般人がより多くの情報を精査して合理的な世論を形成していく。

インターネットによりこれが進んでいくと、将来は地球規模で情報が平等になり、民族、人種、国家の間で同一の価値観を持つようになり、最終的には国境が無くなるような方向に向かうと思う。しかし、同一の価値観を持つようになり、マイノリティが排除されるのを防ぐ為に、思想信条の自由を保障し、法により人権を守る事をしなければならないと考える。

だが、インターネットではまだ情報を精査できない人も多く、本来は自由な価値観で考えられるのに「全世界でそれが常識だ」的な意見(ヤフコメ、2ch等)に洗脳されてしまう人が多数いる。例えば、「人種差別を無くそう」という運動の場合、インターネットで同じ方向に向かう多数の意見しか読まないと、 バンドワゴン効果でその意見に同意し、人種差別している人の人権、思想信条の自由を全く考察せずに否定する事になりかねない。また、そういった思想信条を完全に否定して消滅させようというのは、少々全体主義的ではないだろうか?それはマイノリティを弾圧するチベット問題等となんら変わりはない。

フランスの哲学者ヴォルテールの言葉にこうある。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

引用元・・・ヴォルテール - Wikipedia



犯罪防止

ここで重要なのは、マジョリティの価値観からマイノリティの価値観、すなわち思想信条の自由を守り、その人権を法により守り、異なった思想信条の人達が共存する事ではないのかと考えます。

そして、思想信条の違う人達の間で争いが起こらないよう、お互いの人権を守るには、罪を犯すのを躊躇する程の核兵器のような強力な刑罰の設置が抑止力になると考えます。

現在の日本の刑罰は、ある程度の抑止力はあるが、犯した罪に対して反省を促す刑罰(死刑もあるが)である。これからの時代は強力な抑止力を持った刑罰、すなわち「拷問」的な刑罰を設置すべきであると考えます。


核兵器の抑止力

核兵器によって戦争勃発の抑止力が最大化されているのに、なぜ、それを刑法に落とし込まないのかと疑問に思っていました。例えば、下の動画はメキシコのマフィアの見せしめなのですが、目をくり抜いて、両手足首を落とし、顔面の皮を剥ぐ。最後はカッターで首を切る。殺人罪にこの処罰をもれなく付け加えれば、例外として、拷問がどういったものか判断のつかない病気の人間には抑止力を発揮できないですが、その場のカッとなった勢いでの殺人、自分が死刑になりたい為の殺人、組織の体裁を守る為の殺人、強盗殺人、自己の思想信条達成の為の殺人等の、身勝手で自己中心的な殺人に高い抑止力を発揮できるのではないかと考えます。

仮に日本の法律でこの拷問(もしくはこれ以上の拷問)を受けて死刑になるのが判っていても、あなたは殺人を犯しますか?

閲覧注意!!メキシコのマフィアの処刑

犯罪者の人権侵害

これでは犯罪者の罪が重すぎる、人権侵害だ。と考える方がいると思いますが、人命を奪うという最大の人権侵害を行ったのは犯罪者側です。生存権を守る為には「反省を促す」「絞首刑」という刑罰では全てを防止できません。この罪(拷問)が重すぎると反対する方も、不運にも犯罪に遭遇して殺される直前になれば、この罪(拷問)が重すぎると反対した事を必ず後悔すると考えます。


99%の日本国民

犯罪が少なくなってきたとはいえ、もっと安心して暮らせる社会を目指すには、約0.00027%の割合(他殺の死者350人と仮定して算出)(*1)で遭遇する殺人、他の犯罪を限りなく0にして防止する事であります。それができるのは犯罪の実行を躊躇させる「拷問」的な抑止力のある刑罰であると考えます。また、実は刑事事件なのに、刑事事件として処理されないものがあるのであれば、その抑止力に繋がる効果も期待できます。更に、「拷問」的な苦しむ処罰が日本にある事を世界で認知されれば、不良外国人の流入、もしくは、人口減少からの移民政策を取った場合の不良外国人の流入をも防ぐ効果も期待できます。そして、殺人を含む様々な犯罪に「拷問」的な刑罰を加えても99%以上(検挙人員230,000人と仮定して算出)(*2)の日本国民には関係が無く、今よりも安心した生活を送れると思います。ただし、上記のように罪を重くした場合に「冤罪」を生まないような慎重な捜査が必要であり、「過剰防衛」等の場合に対しての対応も必要だと考えます。

(*1)参考・参照元・・・人口動態統計 厚労省

(*2)参考・参照元・・・平成28年1~12月犯罪統計【暫定値】 総務省

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愛国心

文科省が学習指導要領改定案の前文に「国を愛する態度」が加わったそうです。ここで疑問に思ったのは「愛国心」は先付けすべきなのかと?。自由主義国家である日本では、物事に対して好きか嫌いかは各個々人で判断すべきで、まだそういった教育方針の私立であれば理解できるのだが、全体的にこういった「愛国心」を教えなさいとして、思想信条を強要するのは全体主義的ですらある。「愛国心」は後付けであるべきであり、勝手に芽生えるものである。

本来は自由であるべき「愛国心」という価値観を幼少の頃より刷り込むという事は、日本という国を愛する事に興味がなかったら、非国民として差別されるという事に他ならない。これは「愛国心」を盾に個人に行動、行為を強要する可能性があるのではないか?これでは戦前、戦中に逆戻りでは無いだろうか?


SEARCH AND DESTROY

今回、文科省が「国を愛する態度」を入れたのは、テロを未然に防ぐ対策の共謀罪と関係しており、小学生からの思想統制では無いかと推測する。小学生から「国を愛する態度」を教えていれば、そういったものを持たない人を見つけるのは容易であり、「愛国者」からのチクリも容易に想像できる。

また、「愛国心」の名の下に、徐々に「日本に忠誠を尽くす旨」を学習指導要領に盛り込み、日本を管理しやすくする為の日本人を構築しようとしてるのではないかと推測する。


先進国なのに後進

インターネットによってボーダレス化が進み、世界規模で情報の同一化、価値観の同一化(これらが全て良いとは思わないが)が徐々に進んでいるのに、それに反するように境界線を国民に明確に意識づけるのは日本は先進国なのに後進している感じさえする。

本来であれば、日本での社会生活を通して国を好きになるのが普通であるべきであり、日本を好きになるような生活を送れる社会を構築すべきでであると考える。


日本人とは

地球規模で考えたら日本人だからといって特別な意味はなく、地球の日本という地域に住んでいる人間というだけである。「日本人のこうあるべき姿」ではなく、「地球人としてこうあるべき姿」を教育するべきだと考える。それは、自由な思想信条の下に、全てを受け入れ、お互いの人権を尊重しあい、お互いを排斥せず、共存することではないかと思う。その為には以前に投稿した記事のようなものが必要だと考える。


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インターネットリテラシー

今よりもインターネットリテラシーが上がる事によって、国民全体の知識が上がり、政治情報をスマホ等で簡単に精査できるようになると、政治リテラシーが上がり、右か左かという思想で決断を下す政治は淘汰される。例えば、自民党政治が行き詰った場合に、「右(自民党)がダメだから左(民進党)」的に政権が変わる事は無く、混沌とした状況が生まれ、そこに生き残るのは左右の思想ではなく、合理的で正確な判断をできる政治だけだと思う。

政治家にとって、主義、主張、戦いは正義であり、政治は善意の行動である。自身の考え、行動を全員に合理的に説明する責任があり、それを放棄するということは政治家としては失格であり、支持されない。


合理的

将来的にはインターネットにより、合理的な考え方や価値観に支配され、不合理、もしくは不合理で極端な考え方や思想等は自然淘汰されていく。最終的には合理的な判断、考え方に統一された世界になると推測する。合理的な説明のない主義主張をする政治家は淘汰され、左右の主義主張ではなく合理的な説明と判断をする政治家に支持が集まる。それが独裁者かどうかは関係ない。むしろ、合理的で正確な判断のできる独裁者の方が早いスピードで物事が決まっていくので良いのではないだろうか。ただし、チェックする機関は必要だと感じるが。

しかし、現実的には、インターネットではまだまだ情報を精査できない人も多く、2ch等の明確なソースの無い情報を鵜呑みにしてツイートしたり、インターネット工作員による「全世界でそれが常識だ」的な意見に流されがちである。


ルール

例えば、ギャンブリング障害(ギャンブル依存症)の記事等は、インターネット側から間違った認識を広めて、政策、世論に影響を与えようと現在はしているが、インターネットでは情報の供給は双方向であり、不正確な情報を正して発信する事が可能である。オセロに例えるなら、目的達成の為に不正確な情報で論陣を張っている側が、先に有利なマスを埋めて万全の体制で臨んでいても、正確な情報を持っている側は、死なない限り世界中のどこからでも盤面の外に石が置けて逆転ができる。戦っている両者のルールが違うのであり、盤面の中のマスにしか石を置けない不正確な情報供給側に逆転する事は不可能である。

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だれが?

まずは失言と思われるツイートをした方がどのような方なのかプロフィールをご紹介。


音喜多駿東京都議会議員のプロフィール

1983年9月21日生まれの34歳 おとめ座 O型 北区王子本町にて水道工事店の長男として生まれ、 姉と妹に囲まれて元気に成長する。

いなり幼稚園卒
北区立王子第二小学校卒
私立海城中学校・高等学校卒
早稲田大学政治経済学部政治学科卒

大学を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループに新卒採用され、化粧品ブランド「ゲラン」で7年間の営業・マーケティング経験を積む。
2013年6月、東京都議会議員選挙に地元北区から立候補、初当選(13,296票/4位)。
2017年7月、北区から都議会議員二期目に挑戦、歴代最多得票でトップ当選(56,376票/1位)。
「都民ファーストの会東京都議団」初代幹事長に就任するも、後に離党を表明し、現在は無所属で活動中。

引用元・おときた駿のプロフィール


問題のツイート



引用元・Twitter/おときた駿(あたらしい党 代表 /都議・北区選出)


>>これはだめかもわからんね。

音喜多駿都議のツイートした「これはだめかもわからんね」。この言葉は1985年の520名が犠牲になった日本航空123便墜落事故のボイスレコーダーに残っていた言葉です。

この言葉はグーグルでの検索結果の1ページ目の全てがこの事故に関するものあり、ネットでのこの言葉の使用はこの事故を暗に連想させるものであります。

これはだめかもわからんねーgoogleの検索結果


ブロガー都議

「ブロガー都議」と自ら呼称し、ネットに精通しているおときた駿都議は2000年頃にリークされたこのボイスレコーダーの言葉の意味を間違いなく認識しているはずであり、

「知らなかった」
「判らなかった」
「ツイートした記憶がございません」

では済まされない問題だと考ます。

東京都議会議員、あたらしい党・代表であり公人であるおときた駿都議は、政治家としての一挙手一投足が東京都民、日本国民に注視されており、思慮分別にかけるこのツイートは極めて、極めて不謹慎ではないでしょうか?

また、リプライで指摘されているにも関わらず、なんら対応を致しておらず、政治家、東京都議としての適性に欠けるのではないかと感じます。

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薬物事犯の厳罰化が間違っている

「松本人志の「薬物厳罰化」発言が何から何まで間違っている理由」(*1)というコラムを目にした。芸能人や元プロ野球選手などの著名人が逮捕され、メディアから糾弾されても意味は無く、海外で顕著な成果を上げている「薬物使用、所持の非犯罪化」などの、エビデンスに基づいた医療を以って効果的な対策をするべきである。という内容である。

著者は、薬物事犯は減少傾向、横ばいにあり、少年の薬物事犯においては平成初期に激減している、と指摘しています。しかし、激減していると言っても「シンナー」だけであり、これは流行りみたいなものではないだろうか。他の薬物に関しては横ばいです。

また、この頃から団塊ジュニア世代が成人を迎え、10代の人口が減り、少子化となり始めた時期です。「厳罰化しないでも減少している」は誤った認識ではないだろうか。



薬物事犯の厳罰化

松本人志氏の提唱する薬物厳罰化で、仮に法定刑を「売る、所持、使用、初犯で実刑(懲役もしくは禁固)10年」と改正します。

懲役(もしくは禁固)10年という時間を失う事や前科者への社会の対応、刑務所でのプライベートの無い厳しい生活ぶりがネットで周知されている現代という事を考慮すると、「生まれて初めて薬物を使用する人」に対しての抑止力が高くなり、初犯率が下がる可能性は否定できません。



また、著者は、堀江貴文氏の上記ツイートにも賛同しているが、厳罰化は生まれて初めての薬物使用の抑止力を高める為に、「リスクを甘くみて安易に薬物を利用する」という思考の底つきを促すものではないだろうか。

厳罰化は社会を不自由にする。と言うが、夜中の車の通らない赤信号の横断歩道を渡っているのを厳罰化するのとは訳が違います。



再犯率の増加

著者は厳罰化によって犯罪率が増加するエビデンスがあるというが、薬物生涯経験率の高い(日本との差が約10倍から20倍)国のエビデンスであって、薬物生涯経験率が約2%の日本では、そのエビデンスや「非犯罪化」が有効であるのかは疑問符を付けざるを得ない。逆に、日本の「薬物生涯経験率約2%」は先進国ではないだろうか。

また、著者の指摘する刑務所の年間一人当たり約400万円のコストは外国の話であり、日本では約300万円である。(*2)外国の薬物生涯使用率を勘案すると、日本の社会的コストは外国より低いのではないだろうか。


主要な国の薬物別生涯経験率 | 厚生労働省
出典:主要な国の薬物別生涯経験率 | 厚生労働省



違法薬物の薬理作用

ここで、著者も指摘している再犯率が高くなる理由でもある、違法薬物の薬理作用という側面を見てみます。以前に作成した、不可逆性の高い違法薬物である、コカインと覚せい剤の薬理作用の説明です。


コカインと覚せい剤

コカイン 覚せい剤
図の左側のコカインは、シナプス前終末のトランスポーターを阻害して、シナプス間隙の神経伝達物質(ノルアドレナリン・ドーパミン)の濃度が高まり、情報の伝達がより強固に長時間持続します。 図の右側の覚せい剤は、シナプス間隙からシナプス前終末のトランスポーターから侵入、シナプス小胞に入り込み、神経伝達物質(ノルアドレナリン・ドーパミン)を小胞から押し出します。その結果、シナプス間隙の神経伝達物質の濃度が高まり、情報の伝達がより強固に長時間持続します。
不可逆性、可塑性の研究
人では無いですが、北海道大学のラットを使用した研究では、背外側被蓋核への興奮性のシナプス伝達が増強しており、腹側被蓋野のドーパミン神経細胞の活動が活発になっている事が確認されています。 (*3) 覚せい剤はPET研究(放射性薬剤を体内投与、特殊カメラで画像化)において、使用経験者の脳内セロトニン・トランスポーターの密度が健常者より低下しており、その低下が攻撃性の強さと相関している。

これまでの研究で脳内報酬系の不可逆的な変性により、脳内報酬系が過度に活動する事で、薬物依存が形成される事が判っています。

覚醒剤使用経験者の脳内5HTT (セロトニントランスポーター)の密度が、健常者より低下している事が攻撃性の強さと相関しています。更に、覚醒剤乱用者では大脳基底核のドーパミンD2受容体の減少が関連して、線条体のドーパミンD2・D3受容体利用率が健常者より低下する事が衝動性と負の相関関係です。(*4)

このようなエビデンスから、不可逆的な薬理作用によって攻撃性や衝動性が増加することで、薬物の再犯率や、その他の事件が起こる可能性が高まるのであれば、初めての薬物使用の抑止力を高める為の、松本人志氏の提唱する厳罰化は一理あるのではないかと考えます。

また、ある専門家は薬物犯罪は「他人に危害を与えていない」というが、 過去には薬物使用者の殺人事件(刑事事件)も起こっています。実際に薬物使用者によって殺人事件が起きていれば、「薬物使用者は他人に危害をほとんど与えない。被害者が運が悪かった」では済まされない問題です




薬物使用の非犯罪化

著者の提唱する「非犯罪化」は、薬物使用までの閾値(いわゆるハードル)には個人差があるという事を考慮していません。

「予防をしなければいけないクラスタ」の中でセグメント分けした「薬物の危険性を甘く見るクラスタ」や、グループ全体の中でセグメント分けした「薬物依存しやすい体質の人」の、薬物使用までの閾値が下がるだけではないだろうか。

「薬物依存しやすい体質の人」の薬物使用までの閾値が下がると言う事は、その薬物がゲートウェイとなり、薬物依存が増える危険性を孕んでいます。然すれば、閾値は高ければ高いほど良いと考えます。



専門家の薬物使用の非犯罪化の提唱

専門家が「非犯罪化」を提唱するという事は、日本と外国の環境や国民性などの違いも同一視してるという事です。同一視しているのであれば、薬物生涯経験率の日本(約2%)と外国(約40%)の数値を勘案すると、現在よりも薬物生涯経験率は上昇するという予測は容易に成り立ちます。

「非犯罪化」は、世界の主流で効果的だというが、それは薬物生涯経験率の高い外国での話であり、薬物生涯経験率が著しく低い日本に導入して効果があるのだろうか、と疑問符を付けざるを得ません。現在の結果を出している効果的な施策を変更するのは「ギャンブル」以外の何物でもありません。

然すれば、現時点での日本の薬物生涯利用率2%の「ダメ。ゼッタイ。」を堅持する事が最適解となり得ます。また、有名人などを見せしめにして、その社会から排除される強力なスティグマが、日本での薬物生涯使用率2%の効果的な予防となっている事も事実ではないだろうか。


子どもたちに薬物を勧めるくらい元気のある乱用者は、それこそ『EXILE TRIBE』のメンバーのなかに混じっていても不思議ではないような、格好いいルックスのイケてる先輩、健康的な体躯をした、「自分もあんな風になりたい」と憧れの対象であることの方が多いのです。少なくともゾンビや廃人にはほど遠い人たちです。子どもたちを守れないだけではありません。そうした予防教育が、薬物依存症を抱える人たちに対する偏見や差別意識、あるいは優生思想的な考えを醸成する下地を作っていないでしょうか?(*5)

精神科医である松本俊彦氏の指摘する、このような事実があれば、有名人を見せしめにして、正しい判断ができない子ども達に、違法薬物に対して身構えさせる事になるのではないだろうか。また、松本俊彦氏の指摘する、違法薬物使用者に対する「偏見、差別意識、優生思想」が、日本での薬物生涯使用率2%という高い効果を得ている、「ダメ。ゼッタイ。」の実態なのではないだろうか。

「ダメ。ゼッタイ。」が当事者やその家族に影響を与えるというが、それが「予防」の為であると啓発するのは、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏の仕事である。



「ダメ。ゼッタイ。」とのフュージョン

日本と外国では環境や国民性が違いがあり、 「ダメ。ゼッタイ。」が生涯使用率で著しく高い効果を得ているのであれば、 「ダメ。ゼッタイ。」を踏襲しつつ、使用者には早めの治療などに繋げるのが最適です。 例えば、パチンコ業界のように相談機関への連絡先ポスターを、使用者の訪れそうな場所に貼るなどは効果的ではないでしょうか。

現代のスマホ普及率85%のインターネット社会であれば、現在のマスマーケティング的で一元的な手法では無く、ターゲットマーケティング的な手法での啓発は可能ではないでしょうか。例えば、「違法薬物予防クラスタ」や「違法薬物再使用防止クラスタ」「潜在的違法薬物使用クラスタ」などにセグメント分けして最適な手法で啓発をします。

「違法薬物予防クラスタ」では「ダメ。ゼッタイ。」を踏襲し、「違法薬物再使用防止クラスタ」では最適な治療などで再使用防止を維持し、「潜在的違法薬物使用クラスタ」には早期の自首を促し、薬物依存状態であれば、最適な治療とサポートを受けさせる。

薬物事犯の検挙者などのグループに対してリサーチをすれば、比較的容易に予防啓発ができるのではないでしょうか。

冒頭で、法定刑を「売る、所持、使用、初犯で実刑10年」と厳罰化を提案しましたが、「回復の為に自首をしたのであれば執行猶予となる。」を付け加えると、「ダメ。ゼッタイ。」を踏襲しつつ、潜在的な違法薬物使用者には回復への道を開けるのではないでしょうか。



無秩序な社会へのインビテーション

今回の一連の芸能人の違法薬物逮捕で、専門家が非犯罪化を提唱するのが目についたが、外国と日本の薬物生涯経験率の顕著な差を明確に提示しない提唱(松本俊彦氏はコラムで提示している)には不安を抱いた。

議論のベースとなる「環境や国民性の違い」や、「薬物生涯経験率の外国との顕著な差」を隠蔽した提唱は、社会秩序を破壊し、精神医療に対して無知な国民が、混沌に陥ってしまうのではないかと危惧してしまう。

21世紀になり、平成も終わり、令和となった時代に、20世紀の昭和の遺産のような、マス・マーケティング的で単一方向な、偏ったポジションの提唱がまかり通る訳が無い。現代は双方向で情報の発信ができる。然すれば、批判を受けるのは容易に想像がつくのではないだろうか。その偏ったポジショニングの理由が解せないのは私だけなのだろうか。



(*1)参照元・松本人志の「薬物厳罰化」発言が何から何まで間違っている理由(筑波大学教授:原田隆之氏) | 現代ビジネス
(*2)参照元・死刑と無期懲役刑を徹底比較!執行までの"お値段"教えます!! | サイゾーpremium
(*3)参照元・ コカイン依存形成のメカニズム 脳幹の神経活動を抑制することで薬物欲求が抑制されることを発見 | 北海道大学
(*4)参照元・依存症 - 脳科学辞典
(*5)引用元・まちがいだらけの薬物依存症 乱用防止教育が生み出す偏見(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長:松本俊彦氏) | BuzzFeed



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ギャンブル依存症への保険適用

厚労省がカジノや競馬などの公営競技、パチンコやパチスロなどのギャンブル等依存について、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)での議論を経て、来年度から公的医療保険の対象とする方針とした。(*1)

これは、厚労省のカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を睨んだ依存症対策なのだろうが、些か早急すぎではなかろうか。ギャンブル依存保険適用関連のツイートを見ていると不妊治療などへの保険適用の要望など、保険適用の優先順位が違うのではないかと難色を示す意見が多い。

そこで、今回は、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の報告書「ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について」の気になった部分を検証してみます。



ギャンブル等依存症と物質依存の脳内メカニズム


ギャンブル等依存症では、例えば、ギャンブルを始めたばかりの頃に大儲けする等のドーパミンが大量に放出される経験を繰り返すことで、欲求が満たされにくくなる等の脳の機能の異常(報酬系の感受性の低下)をきたし、欲求を満たそうとギャンブルを反復する。(*2)

行為依存(行動嗜癖)の脳内メカニズムで、ドーパミンがプロセスを強化するのであれば、脳内メカニズム的には、人を本気で好きになったりした時や、事業や投資などでもっと儲けようとする時や、趣味に夢中になるのと何ら変わらないのではないか。然すれば、行為依存(行動嗜癖)は、元来、人に備わっている機能ではないだろうか。

因みに、私にビギナーズラックは降臨せず、パチンコを始めた当初は負けている。のめり込んだ理由を探すと、「とにかく面白くて、あわよくば、金が儲かる」、これに尽きる。その当時に、パチンコ・パチスロ情報誌をコンビニで見つけて情報収集しなかったら、負けた金額はもっと増えていただろう。


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報酬系の異常で意思決定に支障が出る

ギャンブル依存症者の脳機能の異常
出典・ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について(総ー3「外来(その3)(かかりつけ医機能、その他)」) | 中央社会保険医療協議会(厚生労働省の諮問機関)

また、報酬系に異常が起きることで、ギャンブルにより得られると期待される報酬の予測にも異常をきたし、例えば、”ギャンブルをここで止めよう”といった意思決定に支障が出る(*2)

意思決定に支障が出るというが、日本のギャンブル依存のメインである、パチンコやパチスロの確率論(独立試行や期待値等)の知識を前提にした行動(遊技)を、初めから正確に認識していても、意思決定に支障が出るのかと疑問に思う。

それは、感情的な予測の意思決定と、数式で計算した期待値を用いた論理的な意思決定では、意思決定に明確な違いがあるからである。取り返そう(儲けよう)とギャンブルをするのに、論理的に負けるのを理解していても支障がでるのだろうか。例えば、遊技中に、「終日遊技して期待値がマイナス2万円」、と判明した場合などではどうだろうか。

カジノはほぼ全てのゲームで「試行回数を重ねる程」負けるが、パチンコやパチスロは台毎の店側の設定によって、1日単位で「試行回数を重ねる程」勝てる台と「試行回数を重ねる程」負ける台が明確に分かれている。

パチンコは釘によって(パチスロは出玉率を最大6段階の設定によって制御している。設定の高低の判別やその精度は機種による。)、勝てる台と負ける台を明確に判別できる。


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ギャンブル依存症の診断方法

そもそも、海外から輸入したカジノをベースにした診断方法では、パチンコやパチスロがメインの日本での運用に適していない。

例えば、「時間や金額を決めてやる事ができない」は、カジノではほぼ全てのゲームで「試行回数を重ねる程」負ける(期待値がマイナス)という前提や、24時間営業という前提があるので正しいのだろう。

しかし、日本のパチンコやパチスロでは、期待値がプラスの「試行回数を重ねる程」勝てる台であれば、やればやる程に勝てるので、「時間や金額を決めてやる事はできない」。「時間や金額を決めてやる」と勝ち金を大幅に減らしてしまう。

他にも、「負けを取り戻さなければ」「もっと勝ちたい」という設問も、ギャンブル依存症という前にギャンブルの仕組み、「なぜ勝てないのか?」を理解するのが先だろう。この設問で「ギャンブル依存症が発症した」と診断するのは些か滑稽である。

ギャンブルでは投資に対しての指標(期待値)があるが、そのような指標がある事を認識していない設問自体が間違いである事を、医療側が認識していないのではないか。新しい診断方法を開発するべきである。期待値などの確率論の理解度は、回復に重要な意味があると確信している。


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健常者群とギャンブル依存症郡

アルコールが脳を萎縮させたり、違法薬物(覚醒剤)であれば、5HTT(セロトニントランスポーター)が健常者より減少していたり、ドーパミンD2・D3受容体が機能不全に陥るなどがあり、物質による不可逆性があり、健常者との差が有意である事は理解できる。

健常者郡の内訳が判らないのだが、ギャンブル依存症郡特有であり、その行為によって依存や機能低下が起こるのであれば、その行為自体に興味があるかどうかが重要ではないだろうか。ギャンブルについての問題の無いヘビーユーザーやライトユーザーらの、同一行為を行っている「健常者郡」を加えて比較した方がよいのではないか。

また、ギャンブル依存症発症以前と以後の、同一人物の縦断的な調査がなければならないはずである。これでは、そのような個人の資質が元来あったのか、ギャンブルによって機能異常になったのかが判らないからである。ギャンブル依存症というとギャンブルをやると誰もがなるというイメージだが、実際にはそうではない。

この比較によって、機能異常や併存障害や金銭問題などと、ギャンブルとの因果関係などが導き出されるのではないか。



世の中で失敗する人達

ギャンブル依存で報酬の予測を見誤るクラスタと、事業や投資で失敗して人生が破綻するクラスタは、その対象が違うだけで、脳科学的には同一傾向なのではないだろうかと、素人ではあるが推測してしまう。この人たちも成功する確率(報酬の予測)を甘く見ているのだろうか。

このような人達が存在するのであれば、「報酬の予測に異常をきたすのはギャンブル依存症特有である」というのは間違いではないかと疑問符を付けざるを得ない。事業や投資など何かに失敗した人と比較すると検証できるのではなかろうか。

ギャンブルは投資額に対する期待値が正確に算出できるので、「報酬の予測」という調査では無く、期待値を正確に認識していても、ギャンブルを続行するか否かの調査の方が現実的ではないだろうか。


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ギャンブル依存症は不可逆的ではない

ギャンブル依存症の直近1年以内の数字を考慮すると、不可逆的ではなく、ギャンブルへの興味が消費し尽くされた時に、可逆的である可能性、もしくは、人間の機能として脳をセルフコントロールしているのではないだろうか。

行為依存(行動嗜癖)では、その行為が偶然に依存の対象になっただけであったり、依存に至る個人の資質(精神疾患:発達障害やパーソナリティー障害)や、環境要因があった可能性を否定できない。

これが保険適用のエビデンスとなるのであれば、パワハラなどで強烈なストレスを受けた被害者が、それ以後に鬱になりやすいというエビデンスで、加害者を傷害事件の刑事罰の対象としても良いのではないか。

閑話休題。保険適用するのであれば、京都大学准教授・高橋英彦氏の2010年の研究(低い当選確率を高めに見積もるワクワク感に脳内ドーパミンが関与予測を見誤る研究(*3))などによって、新薬開発などの完璧な回復方法が確立なされた時ではないだろうか。

私の主観では、この研究は日本国民、ひいては世界中の人々の、クオリティオブライフ(QOL)を高める為の重要な研究であると確信している。



ギャンブル依存症の予防の提案

期待値を認識していて放縦にギャンブルを行わないのであれば、確率論(期待値や独立試行、大数の法則)を小学校のプログラミング履修時ぐらいから教育するのが最適ではないか。これは、プログラミングを教育に導入して論理的な思考を育成するのであれば、確率論の教育も論理的な思考を育成できるはずだと考えられるからです。



ギャンブル依存症に対する認知行動療法と確率論

ギャンブラーズ・アノニマスとの比較
出典・ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について(総ー3「外来(その3)(かかりつけ医機能、その他)」) | 中央社会保険医療協議会(厚生労働省の諮問機関)

ギャンブル依存症に対する認知行動療法の効果を検証した25件の系統的レビュー及びメタ解析論文によると、認知行動療法はギャンブル行動を減少させることに有効であり、効果量は6か月、12 か月、24 か月の追跡期間において有意であった。(*2)

先述の通り、カジノは「試行回数を重ねる程」負けるが、パチンコやパチスロは、1日単位で「試行回数を重ねる程」勝てる台と「試行回数を重ねる程」負ける台が明確に分かれており、ギャンブルの質が違います。

この事実を踏まえると、カジノなどでは、賭け金に対しての期待値が常にマイナス(例外有り)という事実を理解させる事と、パチンコやパチスロでは「勝てる台の時は長時間、負ける時は短時間の試行」という定石の基となる知識、確率論(独立試行・期待値・大数の法則)を理解させる事も取り入れるべきです。



ギャンブル等依存症に対する集団療法プログラム

ギャンブルの検証結果
出典・ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について(総ー3「外来(その3)(かかりつけ医機能、その他)」) | 中央社会保険医療協議会(厚生労働省の諮問機関)

断ギャンブルの継続率は、プログラム終了後1カ月時点、3カ月時点、6カ月時点のいずれの時点においても介入群が対象群よりも高かった。
また、直近1カ月間のギャンブルの平均回数及びギャンブルに使用した金額について、プログラム終了後1カ月時点、 3カ月時点、6カ月時点のいずれの時点においても介入群が対象群よりも低かった
国際的な研究等において、ギャンブル等依存症に係る治療効果を測定する場合には、ギャンブルの「頻度」と「使用した金額」が指標として使われている。(*2)

確率論の理解があれば、期待値で勝てる台(勝負)が極端に少ない(もしくは全く無い)事に気付く。確率論の理解が無ければ、リラプス(スリップ)が反復するのは容易に想像ができる。

然すれば、「直近1カ月間のギャンブルの頻度」や「直近1カ月間のギャンブルに使用した金額」は、時間の経過と共に次第に減少し、論理的な理解の基にコントロールされたギャンブルであれば、「断ギャンブルの継続率」という項目はあまり意味は無くなる。

そもそも、「ギャンブルを止めなければいけない」という前提条件が間違いである。

また、今回の厚労省の標準的治療プログラムの検証結果では、「直近1ヶ月間の使用した金額」という項目で、還元された金額を差し引かれたのかが気になる。還元された金額が含まれていないのであれば、還元率を低めに80%と仮定しても、介入郡は「平均11,235円の負け」対照群「平均24,299円の負け」となる。

私の主観では十分に趣味の範囲の金額であり、これで依存症なのかと疑問符を付けざるを得ない。



強迫的ギャンブルと12ステップ

12ステップは、1920年代に「キリスト教の信仰を持つ事で断酒に成功した」という体験を基にした、自らが無力であることを認め、自身よりも大きな力(ハイヤーパワー)に助けられて回復するという信仰療法である。

飲酒と断酒を繰り返して底つきを経験する事は、自らが無力である事を認識する為のものであるという。そして、ハイヤーパワーの助けが必要だと信じなければならないという。

これが、ギャンブル版では、「絶対に一生治らない」「絶対にやってはダメ」「ハイヤーパワーを信じなければならい」と、洗脳的で禁欲的でカルト的でありますが、それが一定の効果がある事を否めません。

しかし、これは、カルト的洗脳手法で効果を生む一方で、その手法には当事者との相性があるのも事実である。一生治らなくもないし、絶対にやってもダメではない。クオリティオブライフ(QOL)の観点で捉えると、私には抑圧的に映る。

また、回復施設であるワンデーポートでは回復率が20%台と低く(*4)、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)との「ギャンブル依存症に対する認知行動療法」の比較においても有意な差がある。

厚生労働省の2017年のギャンブル依存症の調査ではギャンブル依存症が疑われても約77%が回復している。このような検証結果から12ステップはメインストリームには成り得ない。ここで疑問も生じてくる、約77%が回復しているのに、保険適用は必要なのだろうか。



ギャンブル依存症ビジネス

適当に遊技したい時間に行って、適当な台選びで、適当に遊技して、満足したら適当に帰る。問題を抑える遊技方法や理解すべき知識があるのに、パチンコやパチスロの定石に外れた、確実に総計で100%負ける方法の遊技で問題が起こると「ギャンブル依存症」という。

ギャンブルにある程度精通している側から見ると、それを受け入れる思考停止した日本社会には、呆れる以上の言葉でしか形容できない。問題を抑える遊技方法や理解すべき知識があるのに教えない。これを「ギャンブル依存症ビジネス」と言わずに何と言うのだろうか。

医療側から見ると、問題を抑える遊技方法や、理解すべき知識を教えてしまうと、ギャンブル依存症が減る事で利益が増えずにパラドックスになる。ギャンブルの根幹である、確率論を無視したギャンブル依存症や、強迫的ギャンブルの定義は、悪い意味でのレガシーであり、利的である。

しかし、昭和のような一方通行なマスメディアだけの時代では無く、オーディエンス側からも情報発信が可能であり、利的な「大人の事情」をオブラートで包める時代では無い。「大人の事情」が罷り通り、国民が不利益を被るのであれば、それはまさに、日本の没落を垣間見ている瞬間である。

私達はインターネットにより、時代の分岐点に立ち会っているのであり、この選択を誤ってはならない。

厚労省から支援助成をされている、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会田中紀子氏の、全てをギャンブル依存症に結びつけるツイートや、ギャンブル依存症簡易チェックツール「LOST」などは、利権をビジネス化する為に問題を誇大化する欺瞞工作に映る。


(*1)参照元・ギャンブル依存症治療に保険適用へ…集団治療プログラムなど対象 | 読売新聞オンライン
(*2)引用元・ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの効果について(総ー3「外来(その3)(かかりつけ医機能、その他)」) | 中央社会保険医療協議会(厚生労働省の諮問機関)
(*3)ギャンブル依存症の神経メカニズム -前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害 - 京都大学・高橋英彦氏ら
(*4)12ステップをやらないと回復できないのか? | 一歩(ワンポ)通信~ギャンブルに依存している人の支援について日々考えるブログ~ ワンデーポート


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厳罰主義から非犯罪化へ

公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会田中紀子氏は、芸能人などの著名人が違法薬物で逮捕されると、違法薬物の少量所持や使用は社会的費用が増加し、スティグマなどにより再起が難しくなるとして、「海外では違法薬物政策の厳罰化は失敗している事例が多く、厳罰主義から非犯罪化へと流れが変化しており、日本でもその流れに追従すべきである」と主張する。

実際に世界保健機関(以下、WHO)では、大麻と大麻樹脂を特に危険な麻薬であるスケジュール4から削除する事を勧告しており、その勧告を受け、2020年(令和2年)12月2日に国連麻薬委員会を構成する53カ国が参加した投票が行われ、賛成27、反対25、棄権1でスケジュール4からの削除を承認された。日本は反対に票を投じている。(*1)

また、米国下院でも米国連邦法において合法化する法案を2020年(令和2年)12月4日に可決した。(*2)



田中氏の主張のとおり、海外では厳罰主義から非犯罪化へと流れがあるのは事実だが、日本と比較した諸外国の薬物生涯経験率では、大麻は約15.1倍~約25.8倍、覚醒剤は5.5倍~22.2倍、コカインは約12.6倍~49倍、MDMAは9倍~37.3倍、何らかの薬物は約11.0倍~約19.6倍も多く、極めて顕著な差があり、日本は厳罰化によりG7内で唯一の麻薬蔓延防止に成功している類稀なる国である事実が確認できる。

このような諸外国の事情と異なる環境の日本での非犯罪化は果たして適切なのだろうか。


日本では個人消費目的で一定の薬物を所持、使用した場合に犯罪として処罰しているが、国際連合薬物・犯罪事務所(以下、UNODC)、WHOでは基本的に刑罰では無く、治療などの代替手法(以下、医療モデル)を提唱し、諸外国の多くのがこの医療モデルに準拠している。また、薬物は世界中で蔓延しており薬物使用障害での健康被害は深刻であるともしている。(*3)

しかし、このような医療モデルを提唱する基準とされている国は、刑務所人口が過密している(115カ国で100%超、79カ国で120%超、51カ国で150%超)諸外国である。その医療モデルを提唱する理由の一つに、刑務所の過密により刑務所内の教育や処遇プログラムへの参加が低下し、犯罪歴により就職が困難になり、再犯により再び収監される負のサイクルがあるとされている。(*3)

また、服役中に悪風感染し薬物使用を開始してしまう者も居り、全世界の受刑者の3人に1人が服役中に違法薬物を使用されたと推計されている。この負のサイクルが再犯率を高める要因となっており、社会的費用の増加になるとされている。(*3)



このような諸外国の事情であれば、社会的費用の軽減と薬物使用障害者への治療を目的とした医療モデルの提唱には一定の理解が可能である。田中氏の主張にはこのような背景があると考えられる。



しかし、日本では2019年(令和元年)末の刑務所収容率は55.1%(*4)であり、収容施設内での違法薬物の使用はできず、薬物からは隔離された状況である。田中氏は社会負担費が増加して大変になると指摘するが、それは刑務所の過密状態が続き、薬物生涯経験率が高水準で推移している諸外国のエビデンスを基にした想定であって、田中氏の提唱する非犯罪化が、薬物生涯経験率が著しく低く推移している日本において有効であるのかは疑問符を付けざるを得ない。

現にWHOでは医療用目的での大麻使用については支持しているが、日本での大麻使用の理由の主となる嗜好目的での使用は奨励していない。(*5)



非犯罪化により刑罰による人手や社会的費用(税金)減らせるのか

米国での刑事施設収容者は約143万人中65万人(約46%)が薬物関連事犯であり、連邦刑務所受刑者の年間1人当たりの費用が37,499ドル(1日あたり102.6ドル)であるので、刑事施設収容者全体の年間費用は536.2億ドルとなり、薬物関連事犯の年間費用は約24.3億ドル(2,347.3億円)となる。(*6)

米国国立薬物乱用研究所(以下、NIDA)によれば、全収容者の50%以上でアルコール、全収容者の75%で収監されるにあたり違法薬物が関連しており、米国の刑務所収容者の65%が薬物使用障害の診断基準であるDSM-IV(米国精神医学会:APA)の基準を満たしている。また、それ以外の20%が犯罪の時点でアルコールや薬物の影響下だったという研究の報告をしている。(*7)



日本の刑事施設収容者の年間費用

日本での2019年(令和元年)度の刑法犯検挙人員は192,607人であり、13,364人(約9.5%)が薬物事犯検挙人員である。法務省2020年(令和2年)版犯罪白書では刑事施設被収容者の年間1人当たりの費用が749,710円(1日あたり2,054円)であって、2019年(令和元年)度年末刑事施設収容者数は41,867人であるので、刑事施設収容者全体の年間費用は約313.8億円となる。(*4)

収容されている受刑者の罪名別構成比の資料が見当たらないので、入所受刑者人員の覚せい剤取締法違反の比率約24.6%で収容受刑者の推計値を算出すると10,290人となり、大麻取締法での入所受刑者人員の比率は約1.4%であるので収容受刑者の推計値は601人となる。

同じように算出した麻薬取締法での比率は0.4%で175人となり、麻薬特例法での比率は約0.2%で95人となる。4者を合わせると推計値は11,162人(約26.6%)となり、薬物事犯受刑者の年間費用の推計値は約83.6億円となった。(*4)(*A)





非犯罪化後の薬物依存症の推計値

日本で違法薬物は蔓延しておらず薬物生涯経験率が著しく低い為、非犯罪化直後は違法薬物が蔓延している諸外国の薬物生涯経験率に近い水準(*B)になると考えられ、仮に日本を除いた7カ国の薬物生涯経験率の平均値39.9%で薬物経験者を推計した場合、15~64歳人口は総務省統計局によると2020年(令和2年)7月1日現在で7,464.5万人(*8)であるので、約2,978.3万人が何らかの薬物を使用する事になる。

薬物使用に関する全国住民調査 2019年(令和元年)(以下、薬物使用に関する全国調査)(*9)においての、何らかの薬物使用の生涯経験者数の推計値は218.8万人であり約13.6倍である。



非犯罪化後の種類毎の薬物生涯経験者の推計値は、薬物使用に関する全国調査での薬物の種類毎の生涯経験者の推計値が全体に占める比率を用いて算出した。(薬物使用に関する全国調査での薬物の種類毎の生涯経験者の推計値は重複した使用も含まれている為、非犯罪化後の推計値も重複した使用を含んでいる。)


推計値は大麻で約2,186.7万人(29.3%)、覚醒剤で約472.9万人(6.3%)、コカインで約409.9万人(5.5%)、ヘロインで約160.9万人(2.2%)、有機溶剤で約1,312.4万人(17.6%)、 その他(MDMA・危険ドラッグ・LSD)で約1,111.1万人(14.9%)となった。(*C)


薬物依存症になる比率は大麻で約9%、アンフェタミン(覚醒剤)で約11%、コカインで約15%、ヘロインで24%(*10)であるので、この比率を非犯罪化後の薬物別生涯経験者推計値に使用すると、大麻で約196.8万人、覚醒剤で約52.0万人、コカインで約61.4万人、ヘロインで約38.6万人となり、推計値の総計は約348.9万人になった。



2017年(平成29年)度の厚生労働省の患者調査では、ICD-10による精神作用物質使用(アルコールを除いた乱用する可能性のある物質や薬物)により依存症と診断されている総患者数は約22,000人だが、受診で判明しているだけの患者数であり、処方薬や市販薬の患者も含まれているので、薬物使用に関する全国調査の薬物別生涯経験者の推計値から薬物依存症になる者の推計値を算出した。

薬物別の薬物依存症になる者の推計値は、大麻で約14.4万人、覚醒剤で約3.8万人、コカインで約4.5万人、ヘロインで約2.8万人となり、薬物依存症になる者の推計値の総計は約25.5万人である。


違法薬物非犯罪化前後の推計値

米国では収監されるにあたり全収容者の75%に違法薬物が関連しており、違法薬物自体も蔓延しているので、社会的費用を抑制する為に合法化や非犯罪化は有効であるのだろうが、日本では違法薬物が蔓延しておらず、薬物関連事犯が全受刑者の約26.4%であり、2019年(令和元年)の何らかの薬物経験者の推計値である218.8万人が非犯罪化により約2,979万人と増加し、依存症と診断される者の推計値は約25.5万人から約349.0万人と増加する。

参考までに(*10)の研究ではニコチンでの依存症になる比率はICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類:WHO):42%、DSM-IV:32%、アルコールでは12%だが、2013年(平成25年)の成人の飲酒行動に関する全国調査(以下、飲酒全国調査)(*12)では、AUDIT(*C)16点以上でアルコール依存症疑いの者は男性4.6%、女性0.7%。ICD-10によって診断されたアルコール依存症経験者は2013年(平成25年)の20歳以上の人口比率で男性1.3%、女性0.3%(男女合計推計値109.0万人)。アルコール依存症該当者は、男性1.0%、女性0.2%(男女合計推計値58.0万人)であった。


(*C)AUDITはWHOによって開発された問題飲酒者のスクリーニングテストで、多くの国々で飲酒問題の早期発見・早期介入のツールとして使われており、日本でも20年以上前に翻訳され、医療や保健指導の現場で活用されています。(*13)

前述のAUDITの比率を用いて2020年(令和2年)度のAUDITによるアルコール依存症の疑いの者(16点以上)の推計値を算出すると、20歳以上の人口は2020年(令和2年)7月1日現在で約10,499.4万人(男性:約5053.1万人、女性:約5446.3万人)(*8)であるので、男性で約232.4万人(4.6%)、女性で約16.3万人(0.7%)、合計で約248.7万人(約2.3%)となった。(*D)



同様に2020年(令和2年)度のICD-10によるアルコール依存症経験者とアルコール依存症該当者の推計値を算出すると、アルコール依存症経験者の推計値は約109.1万人(約1.0%)、アルコール依存症該当者の推計値は約58.0万人(約0.5%)となった。(*E)



他の懸念事項としては、2020年(令和2年)版犯罪白書での薬物入手の為に窃盗や恐喝、強盗や詐欺などの罪を犯した経験のある者の比率は調査全体の23.5%に上る事から、非犯罪化後に薬物使用者が爆発的に増加した場合にも、薬物入手の為の犯罪が増加する可能性がある。(*4)


薬物入手のための犯罪の経験の有無別構成比
出典・2020年(令和2年)版 犯罪白書 -薬物犯罪- | 法務総合研究所 法務省(*4)



大麻が誘発する精神疾患の研究


米国の全国縦断的研究


田中氏は研究すら碌にされていないと主張するが、Carlos Blancoらの研究(2016)(*16-1)での、34,653人を対象とした米国での縦断的研究では、非使用者と比較した場合に3年以内の薬物使用障害を誘発するオッズ比は、アルコールではOR2.7、大麻ではOR9.5、ニコチンではOR1.7、他の薬物ではOR2.6と有意に高かった。3年以内の双極性障害やうつ病などの気分障害のリスクや、強迫性障害などの不安障害のリスクとの関連性は無かった。





若年層の大麻使用のリスク

Ken C. Wintersらの米国の薬物使用と健康に関する全国調査の12~21歳の27,708人を対象とした、青年期のアルコール使用障害と大麻使用障害についての研究(2007)(*18-2)では、直近2年間で飲酒を開始し、かつ、大麻の使用を開始した者のうち、大麻乱用及び大麻使用障害を発症した20代(22歳~26歳)の以前の分析結果であるOR3.0を比較の基準点OR1.0として、大麻乱用及び大麻使用障害を発症した10代(12歳~18歳)と比較した。

10代の各年代でORが3.9~7.2と大幅に高くなっており、年齢が大麻使用障害に有意な関連があった。



参考までに直近2年で飲酒を開始した者のうち、アルコール乱用及びアルコール使用障害を発症した20代(22歳~26歳)の以前の分析結果であるOR3.7を比較の基準点OR1.0として、10代(12歳~18歳)と比較した。大麻乱用及び大麻使用障害の10代よりも有意差が無い年代が多い。



Gabriella Gobbiらの研究(2019)(*15-1)での、1990年代半ば以降の11の研究の23,317人以上のデータをメタアナリシス(複数の研究の結果を統合し統計的手法で分析)で分析した研究において、18歳未満時に嗜好目的で大麻を使用していた者を34歳まで追跡調査(縦断的調査)をした。

その結果、青年期での大麻使用者は大麻使用以前の精神疾患が無いにもかかわらず、非使用者と比較して、若年成人期のうつ病発症ではOR1.37、自殺念慮ではOR1.50、自殺企図ではOR3.46と有意に高く、うつ病などの誘発に関連していた。自殺企図については各研究結果のORにばらつきがある事に留意する必要がある。





PTSDや大うつ病を有する退役軍人の医療大麻

Jane Metrikらの米国のVHA(退役軍人保健局)の退役軍人対象とした多くの研究(*18-10)では、退役軍人局での大麻使用及び大麻使用障害が多くなっており、その背景には、退役軍人に多く有する症状(不安、PTSD、慢性的な痛み、大うつ病、うつ病、ストレス、不眠症)を緩和させる為に医療用大麻の利用を承認されている事がある。

医療大麻使用者は嗜好用大麻使用者よりもPTSDの診断をされる可能性が5倍高く、大うつ病の診断をされる可能性は4倍高かった。PTSDと現在診断されている者は嗜好用大麻使用者の約2倍多く医療用大麻を使用しており、また、大うつ病に現在診断されている者は嗜好用大麻使用者の約3倍多く医療用大麻を使用していた。

医療大麻使用者は大麻使用の動機として、比較的低リスクで睡眠の改善や嗜好目的、社交不安などへの対処などの為に使用してるが、PSQI(ピッツバーグ睡眠質問表)を使用した睡眠の質を評価する質問表では、医療用大麻使用者と嗜好用大麻使用者の両者で臨床的に重度とされる睡眠の質の低下が確認された。


ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)は,睡眠障害の評価として広く使用されており,睡眠の質,入眠時間,睡眠時間,睡眠効率,睡眠困難,睡眠薬の使用,日中覚醒困難の7要素の合計得点として算出される。信頼性,妥当性の高い尺度であり,睡眠の質的,量的情報が得られ,個体間や群間での比較が可能となる(*18-11)

また、TLFB(飲酒量測定法)を使用した医療用大麻使用者と嗜好用大麻使用者を比較した調査では、医療用大麻使用者は嗜好用大麻使用者よりも過去1ヶ月におけるアルコールを飲酒する日の割合が約2倍低く、大麻を使用する日の割合が3.5倍高く、SF-36による調査で嗜好用大麻使用者より健康状態が悪化している事が確認された。


TLFB法はカナダで開発され た飲酒量測定法であり,手帳などの「カレンダー」 により飲酒機会などの記憶を呼び起こし,「標準 飲酒量フォーマット」を使って,1回に数種類の アルコールを飲んだ時でも正確に飲酒量を思い起 こさせる手法である(*18-12)
SF-36®(MOS Short-Form 36-Item HealthSurvey)は、世界で最も広く使われている自己報告式の健康状態調査票である.特定の疾患や症状などに特有な健康状態ではなく,包括的な健康概念を,8つの領域によって測定するように組み立てられている.わずか36項目の質問,5分程度の回答時間で包括的な健康度を測定する(*18-13)


ハーム・リダクションとしての医療大麻

また、医療大麻の使用がアルコールの飲酒を抑止する事から、アルコール使用障害のハーム・リダクションとして大麻が使用されている場合があるが、Meenakshi S. Subbaramanらの研究(2018)(*18-15)では、認知行動療法と薬物療法(ナルトレキソン・アカンプロセート)を併用したアルコール使用障害治療中の大麻使用の影響を、16週間の治療期間終了後と1年後にアルコール問題の質問票であるDrInC(45項目の自己記入式の質問票)を用いて検証した。

その結果、治療開始時には未使用者より大麻使用者の方が大麻の使用頻度に関係無く、衝動調節項目の点数が高く、大麻を月に4~8回使用するグループ(以下、Q3)では社会的責任項目の点数が高かった。治療終了時ではQ3と月に12回以上使用するグループ(以下、Q4)において、大麻未使用者と比較した衝動調節項目と社会的責任項目で有意に点数が高かった。Q4では身体的項目とDrInC全体の点数が高かった。


DrInC(Drinker Inventory of Consequences)は、衝動調節12項目、身体的項目8項目、対人飲酒項目10項目、飲酒に対する自己の思考項目8項目、社会的責任項目7項目の合計45項目の自記式のアルコール問題の質問票。得点が高いほど問題がある。(*18-15)

治療後1年では、大麻を月に1~2回使用するグループ(以下、Q2)とQ3、Q4は未使用者よりも衝動調節項目、社会的責任の点数が高く、Q2とQ4では身体的項目の点数も高かった。DrInCの回答結果全体では、Q4では大麻未使用者と比較してORが1.44と有意に高く、質問の得点の高さに関連していた。



医療用大麻使用者の64%がほぼ毎日大麻を使用している為(嗜好用大麻使用者約21%)、調査の現時点で大麻使用障害と診断される者が51.5%(嗜好用大麻使用者24.7%)おり、また、生涯においての大麻使用障害経験率は69.7%(嗜好用大麻使用者48.1%)であった。(*18-10)


精神疾患リスクの高い者や統合失調症患者の大麻使用のリスク

M. J. McHughら(2016)の研究(*18-3)では、UHR(精神疾患リスクが極めて高い者)190人を平均5.0年間(2.4~8.7年)追跡した縦断的調査での大麻乱用者は58%にのぼったが、そのうち、APS(弱い精神病症状群 = 精神病閾値以下の弱い陽性症状を示す群)(*18-4)の病歴を有した26%の者が、他の者よりも精神病性障害(幻覚、妄想、まとまりのない会話、まとまりのない行動など)(*18-5)に移行する可能性が4.9倍高かった。精神病性障害は統合失調症に似た症状であり統合失調症に移行する者もいる。(*18-6)



統合失調症などのSMI(重度精神疾患)を有する患者の大麻使用と暴力の関連を、メタアナリシスで分析したLauraDellazizzoら(2019)(*18-7)の研究では、大麻と暴力には中程度の関連性があった。



あくまで仮説になるが、物質使用障害になりやすい精神疾患リスクのある者が非犯罪化などにより大麻乱用になった場合、精神病性障害への罹患から統合失調症に移行し、暴力に繋がり犯罪を引き起こす可能性は容易に想定できるのではないか。


大麻使用者の肺癌リスク

Murray A. Mittlemanらの研究(2001)(*17)では、非使用者と比較して、大麻使用後1時間以内に心臓発作が起こる頻度が4.8倍に上がるとされ、S Aldingtonらの研究(2008)(*18-1)では、非使用者と比較して、肺癌リスクが5.7倍高く、大麻の長期使用が若年成人の肺癌リスクが高くなるとしている。


大麻使用による精巣がんのリスク

フレッドハッチソンがん研究センターのStephen M. Schwartzらの研究(2009)(*18-8)では、精巣がんの男性の大麻使用歴を調査した結果、診断時に大麻使用者であると精巣がんになるリスクが70%増加した。

精巣がんは細胞の種類により大別して、セミノーマ型と非セミノーマ型に分別(*18-9)できるが、診断時に治療後の経過が悪いと予測される分類である予後不良は非セミノーマ型だけに設定されており、セミノーマ型では予後不良に分類される事は無い。非セミノーマ型精巣がんのリスクの増加は、18歳以前の大麻使用に関連している事も判明した。


医療大麻の研究

このように嗜好用医療用を問わずに大麻使用のリスクが研究により判明しているが、激しいてんかん発作を引き起こすレノックス・ガストー症候群やドラべ症候群の治療薬として、大麻から抽出された精神活性作用を持たないCBDを成分とした治療薬がFDA(米食品医薬品局)に承認されている事例(*18-16)もあり、医療用としての大麻使用が有用であるとする研究も多数有る事から、ハーム・リダクションなどで医療用大麻を安全に使用する為には、確たるエビデンスを得る為に更なる研究が必要であると考察した。



違法薬物が脳に及ぼす影響


覚醒剤が脳に及ぼす影響

覚醒剤使用経験者では、セロトニン・トランスポーターの密度が健常者より低下している事が攻撃性の強さと相関し、コカイン、覚醒剤乱用者では大脳基底核のドーパミンD2受容体が減少し、そのドーパミンD2受容体が眼窩前頭皮質での局所糖代謝率が関連して、線条体のドーパミンD2・D3受容体利用率が健常者より低下する事が衝動性と負の相関関係であるとされている。(*19)




田中氏は覚醒剤は脳をボロボロにするなんてデマだとツイートしたが、Steven Bermanらの研究(2009)(*25)では、非使用者と比較して、覚醒剤乱用者群は灰白質が少なく、前帯状皮質、大脳辺縁系、大脳辺縁系皮質で平均11.3%下回っていた。また、白質が7%肥大し、海馬の体積が7.8%下回っていた。



覚醒剤乱用者群での海馬の体積は単語想起テストの結果と相関しており、覚醒剤乱用者群は内側側頭葉と大脳辺縁系皮質に覚醒剤使用による顕著な影響があり、覚醒剤乱用が脳に悪影響を与えているか、もしくはその可能性があるとしている。この結果は覚醒剤乱用者の記憶障害の要因は側頭葉欠損と海馬欠損であるとする仮説と一致した。



覚醒剤使用により統合失調症に類似した症状が現れる事は覚醒剤精神病と呼称され、ドーパミン受容体拮抗薬への反応性も類似している事は以前から判明してるが、東京大学、都立松沢病院、富山大学の覚醒剤による精神病と関連した脳体積減少の共同研究において、覚醒剤精神病者の脳の左半球の下前頭回や上側頭回などの特定部位の灰白質の体積減少が判明した。(*33)

脳の左半球の下前頭回や上側頭回などの特定部位の灰白質の体積減少は統合失調症者においても珍しくなく、他にも前頭極皮質、前頭眼窩野においても体積減少が判明し、前頭極皮質の体積減少と精神病症状の重症度は相関関係だった。(*33)




大麻が脳に及ぼす影響

また、大麻においても、大阪大学大学院医学系研究科解剖学講座(分子神経科学)の木村文隆准教授を中核とした研究グループが、大麻の有効成分であるカンナビノイドが大脳皮質への視床からの投射が退縮し、脳の正常な発達に障害を与える事実を報告した。(*38)



他にも、Giovanni Battistellaら(2014)(*42)の、大麻使用年数が同一である、精神疾患が無く大麻以外を使用していない、月に最低1本、週に最大で1本のジョイント(紙巻き大麻)を時々使用しているグループと、月に10本以上のジョイントを使用しているグループとの灰白質の減少をMRIで比較した研究では、月に10本以上のジョイントを使用している事が、内側側頭皮質、側頭極、海馬傍回、島皮質、眼窩前頭皮質の灰白質の減少に関連しており、これらの結果には研究以前の直近3ヶ月間の大麻使用頻度と強く相関していた。




ラッシュが身体に及ぼす影響


日本では指定薬物であるラッシュに関してのACMD(英国薬物乱用諮問委員会)の報告書では、ラッシュは主成分である亜硝酸エステルや亜硝酸イソブチルなどを含有した吸入剤であり、使用すると血管拡張作用により血流の増加を促し、平滑筋の弛緩を引き起こすとされる。血圧を下げ心拍数を上げるが、場合によっては身体的に危険なレベルに至る事もあり、メトヘモグロビン血症になる可能性や、心臓病を抱えた者には危険である可能性もあるとされる。(*46)

また、バイアグラとの併用は命を絶たれる危険もあり、亜硝酸エステルの一種である亜硝酸イソプロピルを使用した製品では視力障害の症例報告の増加が報告されている。(*46)





大麻が運転に及ぼす影響

米国では全州で大麻使用の影響のある場合の運転は違法である。NIDAの大麻と自動車事故に関する報告では、大麻喫煙後に交通事故に関与するリスクが約1.92倍に増加し、大麻の成分であるテトラヒドロカンナビノール(以下、THC)の濃度を判定する血液検査を用いた調査では、THCが高濃度だった場合にアルコールや他の薬物を使用しなかったドライバーと比較して、事故の原因となる可能性が約3~7倍増加した。(*48)

しかし、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の研究では、大麻使用後に発生した事故の統計上の有意差は見られなかったが、THCの体内吸収力には個人差があり、有害な影響は用量に関連している事や、大麻使用後は遅い速度で慎重な運転をする事で喪失していると認識している感覚を補おうとする(難しい操作の制御力が低下するので、想定外の事態や持続的な注意が発生した場合、確実に対処できない場合がある)事が研究で判明しており、この研究ではそのような点が関連している可能性がある事に留意すべきである。(*48)



非犯罪化や合法化で大麻使用者の増加

冒頭の田中氏のツイートで反社会勢力の闇流通ルートの解明が容易になるというが、産経新聞の2018年に合法化したカナダの大麻事情についての記事(*49)では、トルドー首相が目標に掲げていた闇流通市場の撲滅は達成できておらず、大麻購入者の42%が違法大麻を購入している。その理由として、合法大麻では製造の厳しい安全基準により費用がかかり、違法大麻よりも割高になる事があげられる。(*50)

また、カナダでの2018年(過去12か月)の調査では、16~19歳の大麻使用率は36%、20~24歳の大麻使用率は44%であった。これが2019年になると16~19歳の大麻使用率は44%、20~24歳の大麻使用率は51%であった。これは合法化によって大麻を厳格に管理するものでは無く、使用の増加を招き若年層の精神疾患リスクを高めている結果となっている。(*51)

他にも、Deborah S. Hasinらの研究(2017)(*52)では、1991からの20年間に118,497人を調査した研究では、部分的な大麻合法化である医療用大麻の合法化をされた州では他の州よりも、違法な大麻使用が1.4%、大麻使用障害が0.7%増加していると報告されている。

大麻使用を合法化、非犯罪化をした諸外国では生涯経験率は高止まりしたままであり、仮に、日本において合法化、もしくは非犯罪化した場合には、違法薬物の供給元である反社会勢力の売上が増加する可能性が高い。



日本での違法薬物使用、少量の違法薬物所持の非犯罪化

田中氏は合法薬物であるアルコールなどと違法薬物の有害性を比較し、他の違法薬物よりもアルコールなどの有害性が大きく、社会的費用の発生する有害性の低い違法薬物は非犯罪化するべきであると主張する。

しかし、現在の日本の飲酒や喫煙による健康問題が顕在している状況で、違法薬物の非犯罪化は現在の問題に加えて新たな問題を増加させるだけであり、田中氏のアルコールと他の違法薬物との有害性の比較は論点をずらしているだけである。



また、違法薬物使用までの閾値には個人差があり、違法薬物使用に抵抗感があまり無く違法という事実だけで使用までに至らないクラスタや、殆どの国民が20歳になったら一度は飲酒や喫煙をするように(飲酒の生涯経験率は92.5%、喫煙の生涯経験率58.7%(*9))興味本位で薬物を使用するクラスタが、非犯罪化により刑罰という抑止力が消滅し暴露された場合には、薬物使用の先駆者となり得る可能性が高い。

仮に友人同士などの集まりで1人が違法薬物を少量所持していた場合に、その場に居た全員が使用しても罪に問われないのであれば、新規薬物使用者は爆発的に増加し、一定の期間は新規使用率が諸外国の生涯経験率に近い水準で推移する事は容易に予測でき、薬物経験率の低い日本での非犯罪化は抑止とトレードオフになる。

使用者の増加は一定数の薬物依存症者が出現し、現時点よりも薬物依存症者は確実に増加する。一定数以上の薬物依存症者が出現すれば精神医療や回復施設、自助グループの需要が増加し、医療崩壊の可能性もある。


薬物使用と抑止はトレードオフ

薬物依存症当事者の経験談として沖縄ダルク施設長佐藤和哉氏は、シンナーから大麻、更に覚醒剤使用へと至った経験から、大麻使用で違法薬物使用への抵抗感が無くなれば、他の依存性の強い違法薬物使用への抵抗感をも無くし、ゲートウェイドラッグとなる事が多く、また、諸外国の合法化や非犯罪化の情報は違法薬物使用までの抵抗感が薄らぐと指摘する。(*53)

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(以下、精神科における薬物精神疾患の全国調査)(*54)では、人生で初めて使用した薬物が大麻だった者が、精神科受診時に乱用していた主な薬物は覚醒剤が約41.1%、大麻が30.7%、多剤が8.7%、睡眠薬・抗不安薬が5.8%、市販薬(鎮咳薬・鎮痛薬・睡眠薬)が5.4%となっており、精神科受診時には大麻からハードドラッグである覚醒剤へ約41.1%が移行しており、佐藤和哉氏の主張を裏付ける結果となっている。



しかし、大麻そのものの作用によりハードドラッグへのゲートウェイとなるのでは無く、環境要因でゲートウェイになっている可能性がある点には留意すべきである。(*55)



「ダメ。ゼッタイ。」の効果


薬物乱用に苦しむ当事者、家族の声を受け止め、「破滅」ではなく「回復」や「再起」への道を示して欲しいと願う。国は、そろそろ「ダメ絶対」では効果があがらないことを認め、方向転換をする時期に来ているのではないだろうか。(*56)

田中氏は偏見や差別を生む、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下、乱用防止センター)の、大麻や覚醒剤などの薬物に一度でも絶対に手を出してはいけない「ダメ。ゼッタイ。」普及運動には効果が無いと主張する。

しかし、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の効果は、薬物使用経験を持たない者への薬物を使用しない理由についての設問(複数回答あり、薬物使用に関する全国調査)においての、「法律で禁止されているから」70%、「「身体や精神に悪影響があるから」56.8%、「家族や友人に迷惑をかけるから」37.9%、「やめられなくなると怖いので」29.5%という回答結果に国民の意識が現れている。

加えて厳しい摘発や、著名人などの薬物犯罪での巨額な損害賠償や活動自粛、過剰なバッシングなども抑止力として極めて効果の高いスティグマとなり、国民に対して一時的にでも社会から排除される事を想像させており、その結果として、諸外国と比較しても極めて低い日本の薬物使用生涯経験率に反映されていると考察した。



処方薬や市販薬依存の罹患率


だから違法薬物の生涯経験者が実際に低いとしても、日本は処方薬、市販薬の依存症罹患率はかなり高いと言われている。(*57)

田中氏は処方薬や市販薬依存の罹患率はかなり高いと主張しているが、乱用防止センターでは処方薬や市販薬の乱用防止啓発活動も行っており、精神科における薬物精神疾患の全国調査では、直近1年以内に薬物使用があった精神障害症例において、処方薬や市販薬が主な薬物である薬物関連精神障害患者が48.9%、それ以外の薬物での患者が51.1%である事が判明しており、この比率を2017年(平成29年)の厚生労働省の患者調査での精神作用物質使用(乱用する可能性のある物質や薬物)により依存症と診断されている総患者数である約22,000人に用いて患者数の推計をした場合、処方薬や市販薬が主な薬物である薬物関連精神障害患者は10,758人、それ以外の薬物での患者が11,242人になった。



薬物使用に関する全国調査での直近1年の経験率は、鎮痛薬が63.1%(約4711.6万人)、精神安定薬が5.7%(約425.6万人)、睡眠薬が6.7%(約500.2万人)であり、違法薬物を含むその他の薬物の0.24%(約17.9万人)と比較した場合には顕著な差となっており、この経験率を考慮した場合の処方薬や市販薬の依存症罹患率は極めて低いと考察するのが妥当である。


出典・2020年(令和2年)における組織犯罪の情勢【暫定値】 | 警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課(*58)

他方で覚醒剤事犯においては再犯者率が高く、直近10年では59.3%から2020年(令和2年)上半期は68.9%と著しく増加しているが、前述の日本の薬物使用生涯経験率は3%未満で推移しており、薬物問題全体像を俯瞰して捉えた場合、抑止効果の高い「ダメ。ゼッタイ。」を維持しつつ、再犯率を下げる施策が最適解であると考察した。

「ダメ。ゼッタイ。」は、それ自体が違法薬物未経験者に向けた予防の為であり、その当事者や家族に対して向けたものでは無いと啓発すべきである。

また、「ダメ。ゼッタイ。」や薬物使用者の事件報道などが犯罪者というレッテル張りを促し、当事者の社会復帰を妨げると主張するが、覚醒剤使用者の事件が起きている事実や精神障害者が存在する事実がある事から、その法令違反をしたパーソナリティーや精神障害の寛解度を医学的根拠で提示する事が、国民からの理解が得られやすい可能性があると考察した。

日本では思想信条の自由が保障され、万人で考え方や価値観は千差万別であり、ある事象に対しての受容量は個人差がある事から、強制的に受容しなければいけない社会では無く、受容するか否かの自由を保障しなければならない。


令覚醒剤取締法違反 入所受刑者の精神診断別構成比(男女別)| 令和2年版 犯罪白書 -薬物犯罪- | 法務総合研究所 法務省
出典・2020年(令和2年)版 犯罪白書 -薬物犯罪- | 法務総合研究所 法務省(*4)



保護観察と薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予制度

薬物使用等の罪を犯す者には薬物依存が要因にある事が多い事から、再犯防止、改善更生を促す事を目的に、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律と更生保護法が2016年(平成28年)6月から施行されている。これは3年以下の刑期の場合に刑の一部について1~5年の間で刑の執行を猶予し、執行猶予の期間中に保護観察に付せる制度である。(刑の全部が執行猶予の者でも保護観察に付せる。)(*59)


保護観察
保護観察とは,犯罪をした人または非行のある少年が,社会の中で更生するように,保護観察官及び保護司による指導と支援を行うものです。刑務所等の矯正施設で行われる施設内での処遇に対し,施設外,つまり,社会の中で処遇を行うものであることから,「社会内処遇」と言われています。(*60)

仮釈放制度だけでは仮釈放期間中も刑期が進行している事から残期期間でしか保護観察に付せず、社会内処遇が短期間になる点を改善し、刑の一部を執行猶予とする事で保護観察期間を仮釈放制度よりも長期間に設定するものであり、保護観察期間終了後も継続的に支援機関に繋がる事を促すものである。(*61)

保護観察付き執行猶予者には一般遵守事項とは別に、専門的処遇プログラムである薬物再乱用防止プログラムを受ける特別遵守事項が課せられる。遵守事項違反や再犯等があった場合には不良措置として、仮釈放者に対する仮釈放の取り消し、保護観察付き執行猶予者に対する執行猶予の取り消しなどの措置がなされる。(*62)




刑の一部執行猶予制度の概要 | 平成28年版 犯罪白書 -薬物犯罪- | 法務総合研究所 法務省
出典・6 刑の一部執行猶予制度 | 平成28年版 犯罪白書 | 法務総合研究所 法務省(*59)



薬物専門裁判所、ドラッグ・コート

日本では導入から日が浅く調査などが少ないが、日本の薬物事犯者の処遇のモデルとなった米国の薬物専門裁判所であるドラッグ・コートではエビデンスとなる多くの調査が行われている。

ドラッグ・コートは1989年にコカイン乱用者が激増したフロリダ州において、薬物依存症者は犯罪として処罰しても再犯が減少しない理由には薬物依存症がある事から、薬物依存症での再犯を抑制する為に刑事司法制度に治療(治療裁判所に処遇されたプログラム。以下、プログラム)を導入したドラッグ・コートが開始された。現在では全米で3,100以上が存在している。(*3)

ドラッグ・コートで裁判を受ける被告人は有罪を認めてその刑が確定した後に、薬物が原因であれば、プログラムに一定期間参加する事を条件に刑の執行を猶予される。その一定期間に薬物使用が無い場合には刑務所に収監はされず、刑の執行を免除される。(*63)

2013年の米国ハワイ州での費用の比較をすると、薬物事犯を治療につなげる事で収監しないドラッグ・コートでは6,300ドル、連邦刑務所では46,000ドルの費用が発生する。ドラッグ・コートの利用は、収監されるにあたり全収容者の75%に違法薬物が関連し、刑務所の過密が続く米国での社会的費用を抑制する役割を担っている。(*63)

法務省の報告書における1,157人のドラッグ・コート参加者と627人の非参加者を比較した調査では、18カ月後の薬物検査で陽性となったのはドラッグ・コート参加者で29%、非参加者で46%だった。また、同調査において直近6ヶ月以内に犯罪行為に関与した者は、ドラッグ・コート参加者が31%、非参加者が43%であった。(*3)

このようにドラッグ・コートに参加する事で受けるプログラムには、犯罪減少に効果があるとされているが、平均的な効果以上の犯罪減少に貢献したプログラムがある一方で、約15%のプログラムでは犯罪の抑止または増加への影響が無く、約6%のプログラムでは犯罪増加に関連したとする調査結果もある点に留意する必要がある。(*3)

プログラムの効果を高める要因として、ドラッグ・コート参加者が同時に抱えている精神的な問題や医療、職業や教育に関する支援をした場合には、有意な効果があるとされている。また、適切な支援の内容には個人差があり、不適切な支援の受け入れを義務付けた場合にはドラッグ・コートの参加結果に悪影響をもたらす要因となる可能性があるとされ、ドラッグ・コート全参加者に対しての同一内容の支援は推奨されていない。(*3)

このような研究結果は、犯罪者処遇における重要な指針となる RNR原則(Risk-Need-Responsivity principle)に沿うものとされている。(*3)


RNR原則
RNRモデルとは、(a) 再犯リスクの高さに応じ、(b) 再犯を誘発する要因に焦点を当て、(c) 犯罪者に適合するように実施することを重視する犯罪者処遇のモデルである。RNRモデルには再犯減少のエビデンスが認められるとして、日本の保護観察にも定着させるべきとの指摘がある。(*64)



より薬物依存症者を治療に繋がり易くする為には

日本においては違法薬物の使用や所持に対しての法が厳格に運用されており、受診すると逮捕される可能性がある為、多数の者を治療に繋げる為には田中氏の主張する非犯罪化に一定の理解はできる。しかし、諸外国との薬物生涯経験率に顕著な差がみられ、圧倒的に抑止されている日本においての非犯罪化の問題点は、前述のように爆発的な使用者の増加を考察できる点である。

薬物依存症者を治療に繋がり易くする為の施策を考察する為、薬物生涯経験率の著しく低い日本と経験率の高い諸外国との差違を比較した結果、その差違は入手しやすさと取締り状況の項目に現れており、生涯経験率の高い諸外国では薬物の入手は比較的に容易であり取締り状況も緩く、一方で日本においての薬物の入手は簡単にできるものでは無く取締りも厳しい点である。



比較対照とした項目を勘案すれば、仮に非犯罪化した場合でも違法薬物の供給元を厳しく取締り、違法薬物への需要が爆発的に増加しても供給を遮断する事が、違法薬物使用者の爆発的な増加を抑止させる事が可能である。しかし、ここで治療への繋がり易さを優先し、非犯罪化で違法薬物使用者が爆発的に増加する可能性が高いギャンブルをする必要性は全く無い。

以前の記事(*65)でもした提案をより発展させた提案を挙げるならば、違法薬物の営利目的、譲受、譲渡、栽培、輸出入、製造などした者は、10年以上の懲役もしくは禁固として現在よりも厳罰化する。違法薬物使用者が逮捕や自首した際に入手先を自供しなかった場合には同様の刑罰とするが、入手先を自供した場合には依存症回復プログラムへの参加などを条件に刑の全部を執行猶予とする。

非犯罪化せずとも現行の日本で運用されている合意制度により入手先を自供し、刑の全部が執行猶予となれば、違法薬物の使用を絶ちたいと考慮している者が治療に繋がり易くなる可能性があり、加えて、執行猶予と保護観察で刑罰という抑止力を維持しつつ継続的に支援機関に繋がる事にもなる。また、自供により供給元の摘発の強化にもなり、供給を遮断すれば、再犯の可能性もより低くなると考察した。


合意制度
薬物犯罪は、一般に犯罪組織が関与する密行性の高い犯罪類型であり、多数人が関与することや複数の者の間の禁制品の流通を伴うことなどから、合意制度は、首謀者の関与状況等を含めた事案の解明のために、犯罪の実行者等の組織内部の者から供述や証拠物を得て捜査を進展させる上で、有用な捜査手法となり得る。(*4)

欧米などの諸外国で厳罰化でも効果がない理由の一つに、陸伝いに違法薬物が流通している事が考察できるが、四方を海に囲まれている日本では簡単には持ち込めず、水際対策が有効である事もあり、2019年(令和元年)の財務省の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況では違法薬物摘発が強化されている。

これは、最近の諸外国の大麻合法化や非犯罪化の影響による大麻事案検挙者急増への対策や、薬物事犯者に対する刑の一部執行猶予制度や保護観察制度だけでは再犯が減少しない事実への対策の可能性もある。


密輸形態別の摘発件数・押収量の推移
(*66)参照元・2019年(令和元年)の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(2020年(令和2年)2月12日)詳細 | 財務省

供給元の摘発を強化し、供給を遮断すれば薬物使用率が低くなるのは至極当然である。取締り強化の効果は、薬物使用の入手可能率の推移(薬物使用に関する全国調査)において、2019年(令和元年)度と前年までの平均値を比較して、入手可能率が著しく減少している事に現れている。次回の調査では直近1年の薬物経験率の減少に期待ができる。





違法薬物少量所持や使用の非犯罪化をは詭弁である


薬物使用の生涯経験率の推移(1995年~2019年) | 薬物使用に関する全国住民調査 (2019)
出典・薬物使用に関する全国住民調査 2019年(令和元年) | 薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究 | 2019年(令和元年)度 総括・分担研究報告書 | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 研究代表者 嶋根拓也氏(*9)

2017年から大麻生涯経験率が増加しているが、他の薬物生涯経験率においては急激な変化は見られない事から、最近の諸外国の大麻合法化や非犯罪化の動きに合わせて、嗜好用大麻が安全であるというデマ情報がインターネットにより拡散されている事と関連していると推測した。


出典・2020年(令和2年)における組織犯罪の情勢(暫定版) | 警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課(*58)

大麻生涯経験率の増加に合わせて、2019年(令和元年)の大麻事犯検挙人員数は過去最多を更新し、2020年(令和2年)上半期の大麻事犯検挙人員においても前年を上回っており、2021年(令和3年)1月に厚労省が大麻使用罪の創設を検討する有識者会議を立ち上げる事を決めた。(*67)


このような国際情勢下で逆に取り締まりを強化したいのは、覚せい剤の検挙者数が減っている事により、自分たちの組織の存続が危ぶまれる厚生労働省麻薬取締部と警察の自己保身以外に考えられないというのが、私の率直な感想です。(*68)

大麻使用罪創設についてGreenZoneJapan代表理事であり医師である正高佑志氏は、厚労省麻薬取締部と警察の保身であると主張するが、前述した大麻使用により精神疾患発症リスクの高くなる20代以下の検挙人員が68.8%(1,557人)と大半を占めている事から、厚労省が日本国憲法二十五条により社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めた業務の一環として、大麻使用罪創設が検討されたと考察するのが妥当であり、本稿で述べた考察から厚労省麻薬取締部や警察の保身では無い可能性は非常に高い。


日本国憲法
第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
二 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(*69)


この大麻使用罪の創設に反対するのは正高氏の他にも、田中氏や亀石倫子氏(弁護士)などがいる。



日本では大麻などに対して違法だからという理由で漠然と否定的な事や、アルコールが許容され過ぎている事が思考停止だと糾弾し(田中氏)、アルコールと比較して害が少ない事や逮捕により社会負担費が増大するという理由で非犯罪化を主張する。

しかし、薬物は多数の研究がなされており、大麻は他の依存症や精神疾患を誘発する事実も判明しており、ゲートウェイドラッグとなり依存性の高い覚醒剤に移行する者が約40%も存在する。

また、逮捕により社会負担費が増大すると主張するが、それは刑務所の過密状態が続き、薬物生涯経験率が高水準で推移している諸外国のエビデンスを基にした想定であり、日本では厳しい取り締まりや田中氏が差別や偏見を生むと主張し阻止を目論む「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の成果により、長年に渡り薬物生涯経験率が著しく低く推移しており、社会負担費が増大する可能性は低い。

加えて、「ダメ。ゼッタイ。」が高い抑止効果を上げている事も調査で判明している。

大麻使用罪創設反対派はこのような事実を全く無視し、諸外国とは全く薬物事情の異なる日本において海外での薬物施策である薬物非犯罪化を主張しているが、生涯経験率が著しく低い日本での非犯罪化は、逆に公衆衛生上の問題が増大し、社会負担費も増大する可能性や、反社会勢力の薬物の売上が増大する可能性が高い。

違法薬物の問題は個人の問題では無く、非犯罪化によって問題が大多数の者に発生すれば、ミクロの問題はマクロの問題になり社会問題化する。現在のアルコールなどの健康問題に加えて新たな問題を増加させるだけであり、アルコールなどと他の薬物との有害性の比較で論点をずらした主張や、本稿で取り上げた田中氏らの主張は詭弁と言わざるを得ない。


出典・公益法人の各機関の役割と責任 - 内閣府
出典・公益法人の各機関の役割と責任 - 内閣府(*70)

田中氏は公益法人の代表であり、税制優遇を受ける公益法人は国民の信頼が無くては成り立たないとされ、受益者たる不特定多数の国民の利益の増進に寄与するものでなければいけないが、田中氏の違法薬物の少量所持や使用を取り締まるべきでは無いという主張は、明らかに特定の受益者だけの立場に立った利益相反する行為である。

国庫補助金が交付されている公益法人の代表としての忠実義務に反する行為である可能性があるが、田中氏にはその自覚が全く無く無責任である。



*2021年2月10日加筆(段落「違法薬物が脳に及ぼす影響」の「大麻が脳に及ぼす影響」を、「大麻が誘発する精神疾患の研究」を加筆、修正しました。)
*2021年2月8日加筆(段落「大麻が誘発する疾患の研究」を加筆、修正しました。「違法薬物少量所持や使用の非犯罪化をは詭弁である」を修正しました。)
*2021年2月6日加筆(段落「大麻が誘発する疾患の研究」を加筆、修正しました。)
*2021年1月20日加筆(段落「田中氏の主張は詭弁である」を「薬物の少量所持や使用の非犯罪化は詭弁である」に段落名を変更し、加筆、修正しました。)
*2021年1月15日加筆(段落「田中氏の主張は詭弁である」に加筆しました。)


合わせて読みたいエントリー



(*1)参照元・国連は大麻及び大麻樹脂を附表Ⅳから削除を決定。「最も危険で医療価値なし」という分類を変更し、医療価値を認める | 日本臨床カンナビノイド学会
(*2)参照元・米下院、大麻規制権限を州政府に移す法案可決 | ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル
(*3)参照元・法務総合研究所研究部報告62 第4章 諸外国における薬物事犯者処遇 | 法務省
(*4)参照元・2020年(令和2年)版 犯罪白書 -薬物犯罪- PDF版 | 法務総合研究所 法務省
(*4)参照元・2020年(令和2年)版 犯罪白書 -薬物犯罪- HTML版 | 法務総合研究所 法務省
(*5)参照元・嗜好用マリフアナの合法化「奨励しない」 WHO事務局長 | AFPBB News
(*6)参照元・Prisoners in 2019 | U.S. Department of Justice 米国司法省
(*6)参照元・Annual Determination of Average Cost of Incarceration Fee (COIF) | Office of the Federal Register
(*7)参照元・Criminal Justice DrugFacts | National Institute on Drug Abuse 米国国立薬物乱用研究所
(*7)参照元・Substance Abuse and America’s Prison Population 2010 | Partnership to End Addiction
(*8)参照元・人口推計(2020年(令和2年)7月1日現在確定値) | 総務省統計局
(*9)出典・薬物使用に関する全国住民調査 (2019)| 薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究 | 令和元年度 総括・分担研究報告書 | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 研究代表者 嶋根拓也氏
(*10)参照元・Prof Michael Farrell, MB | Natasha K Martin, DPhil | Emily Stockings, PhD | Annick Bórquez, PhD | Javier A Cepeda, PhD | Prof Louisa Degenhardt, PhD | Robert Ali, MD | Lucy Thi Tran, BPsySc | Prof Jürgen Rehm, PhD | Prof Marta Torrens, PhD | Prof Steve Shoptaw | Rebecca McKetin, PhD (2019) | Responding to global stimulant use: challenges and opportunities | THE LANCET
(*10)参照元・Alan J. Budney, Ph.D., Roger Roffman, D.S.W. ,Robert S. Stephens, Ph.D. , and Denise Walker, Ph.D. (2007)| Marijuana Dependence and Its Treatment | NCBI - NIH PMID:18292704
(*10)参照元・Fernando A Wagner , James C Anthony (2002)| From first drug use to drug dependence; developmental periods of risk for dependence upon marijuana, cocaine, and alcohol |PubMed PMID:11927172
(*10)参照元・N Kawakami , N Takatsuka, H Shimizu, A Takai (1998) | Life-time prevalence and risk factors of tobacco/nicotine dependence in male ever-smokers in Japan |PubMed PMID:9744133
(*11)参照元・2020年(令和2年)版 犯罪白書の概要 | 法務総合研究所 法務省
(*12)参照元・WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究 | わが国の成人の飲酒行動に関する全国調査2013年(201315050A0002.pdf) | 国立病院機構 久里浜医療センター 研究代表者 樋口進氏
(*13)参照元・AUDIT (Alcohol Use Disorders Identification Test) | 国立病院機構久里浜医療センター 精神科 真栄里仁氏
(*14)参照元・人口推計(平成25年7月1日現在確定値) | 総務省統計局
(*15-1)参照元・思春期に大麻を摂取してなければうつ病が防げたかも 米国で40万件 | ニューズウィーク日本版
(*15-1)参照元・Gabriella Gobbi, MD, PhD1; Tobias Atkin, BA1; Tomasz Zytynski, MD1; et al February 13, 2019 | Association of Cannabis Use in Adolescence and Risk of Depression, Anxiety, and Suicidality in Young AdulthoodA Systematic Review and Meta-analysis
(*15-2)参照元・異質性の検定 test for heterogeneity - 日本理学療法士学会
(*16-1)参照元・大麻合法化が急速に進む米国 依存性を警告する研究成果も次々発表 | J-CAST ニュース
(*16-1)参照元・Carlos Blanco, MD, PhD1; Deborah S. Hasin, PhD2; Melanie M. Wall, PhD2; et al April 2016 | Cannabis Use and Risk of Psychiatric DisordersProspective Evidence From a US National Longitudinal Study
(*16-2)参照元・オッズ比 - ウィキペディア(Wikipedia)
(*16-3)参照元・信頼区間 - ウィキペディア(Wikipedia)
(*16-4)参照元・p値(有意) - ウィキペディア(Wikipedia)
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(*63)参照元・公益財団法人日工組社会安全研究財団助成研究 薬物犯罪の現状と課題 | 日本犯罪社会学会 編集:河合幹雄氏 朴元奎氏 小関慶太氏
(*64)参照元・リスク・ニード・リスポンシビティモデルを踏まえた保護観察処遇についての考察 | 勝田聡氏
(*65)参照元・実刑10年で薬物事犯は減る?非犯罪化は間違っている
(*66)参照元・令和元年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(2020年(令和2年)2月12日)詳細 | 財務省
(*67)参照元・大麻取締法 新たな罰則検討へ 近く有識者会議立ち上げ 厚労省 | NHKニュース
(*68)引用元・大麻使用罪の創設に反対します | GreenZoneJapan代表理事 正高佑志氏
(*69)引用元・日本国憲法 | 電子政府の総合窓口(e-Gov)
(*70)出典・公益法人のガバナンスにおける留意事項 | 公益法人の各機関の役割と責任 | 国・都道府県公式公益法人行政総合情報サイト 公益法人information
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大麻生涯経験率の上昇

昨今の諸外国の大麻合法化や非犯罪化の動きに合わせて、嗜好用大麻が安全であるというデマ情報がインターネットにより拡散されている事などから、若年層を中心に大麻生涯経験率は2017年の1.4%から2019年の1.8%へと約29%上昇している。


薬物使用の生涯経験率の推移(1995年~2019年) | 薬物使用に関する全国住民調査 (2019)
出典・薬物使用に関する全国住民調査 2019年| 書 | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 研究代表者 嶋根拓也氏

大麻生涯経験率の増加に合わせて、2019年の大麻事犯検挙人員数は4,321人と過去最多を更新し、2020年上半期の大麻事犯検挙人員は2,261人と前年を上回っており、諸外国の研究により精神疾患発症リスクの高くなる20代以下の検挙人員が68.8%(1,557人)と大半を占めている事から、2021年(令和3年)1月に厚労省が大麻使用罪の創設を検討する有識者会議を立ち上げた。

この厚労省の動きは、日本国憲法二十五条により社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めた業務の一環として、大麻使用罪創設が検討されたと考察するのが妥当である。



大麻使用罪創設反対派

この大麻使用罪創設に対して反対派は、「海外では違法薬物政策の厳罰化は失敗している事例が多く、厳罰主義から非犯罪化へと流れが変化している」として、違法薬物の少量所持や使用を取り締まらないという非犯罪化を標榜し、厳罰化により裁判や刑務所などの社会的費用が増加するよりも、非犯罪化により健康被害などを減少させた方が費用対効果に優れていると主張する。


薬物生涯薬物経験率

しかし、日本での大麻生涯経験率は諸外国と比較して約15.1倍~約25.8倍と顕著な差が確認でき、G7内で唯一の麻薬蔓延防止に成功している国であり、非犯罪化を提唱する基準とされている国は刑務所人口が過密している(115カ国で100%超、79カ国で120%超、51カ国で150%超)諸外国である。

日本での2019年末の刑務所収容率は55.1%であり、非犯罪化派の社会的費用が増加するという指摘は、全収容者の75%が収監されるにあたり違法薬物が関連しており、刑務所収容者の65%が薬物使用障害の診断基準であるDSM-IV(米国精神医学会:APA)の基準を満たしている、米国のような国を想定したものである。

日本での2019年度末全収容者数41,867人に対しての薬物事犯収容者の推計値は約11,000人(約26.6%)であり、非犯罪化が薬物生涯経験率が著しく低く推移している日本において有効であるのかは疑問符を付けざるを得ない。

仮に非犯罪化した場合に、薬物使用に関する全国住民調査では薬物を使用しない理由に「法律で禁止されているから」が70%と判明しており、精神科医松本俊彦氏も「日本人は遵法精神に富み、違法な薬物には手を出さない」としている事から、非犯罪化直後には30%以上が違法薬物を使用すると考察できる。

その為、非犯罪化直後は違法薬物が蔓延している諸外国の薬物生涯経験率に近い水準になると考えられ、仮に日本を除いた7カ国の薬物生涯経験率の平均値39.9%で薬物経験者を推計した場合、2019年の何らかの薬物使用の生涯経験者数の推計値218.8万人から約2,978.3万人と大幅に増加し、大麻使用者の推計値は約2,200万人となった。


違法薬物非犯罪化前後の推計値

また、諸外国の研究により薬物依存症になる比率は、大麻で約9%、覚醒剤で約11%、コカインで約15%、ヘロインで24%と判明しているので、この比率を非犯罪化後の薬物別生涯経験者推計値に使用すると、大麻で約196.8万人、覚醒剤で約52.0万人、コカインで約61.4万人、ヘロインで約38.6万人となり、推計値の総計は2019年の薬物依存症になる者の推計値である約25.5万人から約348.9万人と大幅に増加した。

直近1年薬物薬物経験率

直近1年の大麻の経験率は0.1%であり約7.5万人である事から、非犯罪化後の大麻使用者の推計値約2,200万人と比較した場合に、反対派の費用対効果が優れているという主張が正しいとは全く言えない。

反対派は国連のSDGs(持続可能な開発目標)に薬物問題が掲げられ、違法薬物の使用や所持の罰則が撤廃され、大麻などが非犯罪化されているとしているが、その対象は厳罰化した薬物政策に失敗している諸外国を対象としたものであり、抑止に成功している日本においての非犯罪化は違法薬物使用者を増加させるだけである。嗜好用大麻は WHOでも推奨していない。



大麻の健康被害の研究

精神科医松本俊彦氏は「大麻の健康被害は日本でほとんど研究がない」としており、また、反対派は大麻がアルコールよりも安全であるしているが、Gabriella Gobbiらの研究(2019)での、23,317人以上のデータをメタ分析した研究において、18歳未満時に嗜好目的で大麻を使用していた者を34歳まで追跡調査(縦断的調査)した結果、統計学的な有意差が判明した。

青年期での大麻使用者は、大麻使用以前の精神疾患が無いにもかかわらず、非使用者と比較して若年成人期のうつ病発症のオッズ比はOR1.37(OR(オッズ比) = 1.37、95%CI(信頼区間) = 1.16 – 1.62、I²  = 0%)有意であり、自殺念慮のオッズ比はOR1.50(OR(オッズ比) = 1.50、95%CI(信頼区間) = 1.11 – 2.03、I²  = 0%)有意であり、自殺企図のオッズ比はOR3.46(OR(オッズ比) = 3.46、95%CI(信頼区間) = 1.53 – 7.84、I²  = 61.3%)有意であった。

また、Carlos Blancoらの研究(2016)での、34,653人を対象とした米国での縦断的研究では、非使用者と比較した場合に3年以内の他の依存症を誘発するリスクは、アルコールではOR2.7(OR(オッズ比) = 2.7、95%CI(信頼区間) = 1.9 – 3.8)有意であり、大麻ではOR9.5(OR(オッズ比) = 9.5、95%CI(信頼区間) = 6.4 – 14.1)有意であり、ニコチンではOR1.7(OR(オッズ比) = 1.7、95%CI(信頼区間) = 1.2 – 2.4)有意であり、他の薬物ではOR2.6(OR(オッズ比) = 2.6、95%CI(信頼区間) = 1.6 – 4.4)有意であった。3年以内の双極性障害やうつ病などの気分障害のリスクや、強迫性障害などの不安障害のリスクとの関連性は無かった。

厚労省においても、大麻に含有されるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は、幻覚作用や記憶力、学習能力の低下などを誘発するとしている。



ゲートウェイドラッグ

反対派は大麻はゲートウェイドラッグでは無いと主張しているが、全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査では、人生で初めて使用した薬物が大麻だった者が、精神科受診時に乱用していた主な薬物は覚醒剤が約41.1%、大麻が30.7%、多剤が8.7%、睡眠薬・抗不安薬が5.8%、市販薬(鎮咳薬・鎮痛薬・睡眠薬)が5.4%となっており、精神科受診時には大麻からハードドラッグである覚醒剤へ約41.1%が移行している。


人生で初めて使用した薬物が大麻だった薬物乱用者のその後の主たる薬物

しかし、大麻そのものの作用によりハードドラッグへのゲートウェイとなるのでは無く、環境要因でゲートウェイになっている可能性がある点には留意すべきである。



反対派のレトリック

反対派はこのような事実を全く無視し、アルコールなどと他の薬物との有害性の比較で論点をずらした主張や、諸外国とは全く薬物事情の異なる日本においての非犯罪化を主張しているが、生涯経験率が著しく低い日本での非犯罪化は費用対効果が優れておらず、反社会勢力の薬物の売上が劇的に増加する可能性が高い。

違法薬物の問題は個人の問題では無く、非犯罪化によって問題が大多数の者に発生すれば、ミクロの問題はマクロの問題になり社会問題化する。大麻使用罪反対派は嗜好用大麻解禁への論点をずらしたレトリックを使用しているにすぎない。



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反対意見に対する反対意見

2021年(令和3年)1月に厚労省が大麻使用罪の創設を検討する有識者会議を立ち上げた。その大麻使用罪について、医療大麻研究の進展状況や海外での臨床使用を啓発する団体である一般社団法人GREEN ZONE JAPAN(以下GZJ)代表理事である正高佑志氏(医師)が反対の立場を表明し、その反対する根拠についての反対意見に対して、GZJのウェブサイト上で反論した。

しかし、私は以前の記事などで非犯罪化や合法化は間違いであり、厳罰化が正しいと結論付けたので、正高氏の反論を検証してみた。



大麻使用罪で困るのは全ての者なのだろうか


「使用罪が出来て困るのは大麻を吸っている人だけ。私には関係ない。」
⇒ 貴方の未来の選択肢を狭めます。

大麻の厳罰化は、非喫煙者が将来的に得られる恩恵を損ないます。たとえば、諸外国では THC 含有量(0.2 % 〜 1 %)で大麻とヘンプを分離し、ヘンプを自由化する法整備が進んでいますが、大麻使用罪を作り、微量の THC が尿中から検出されたら罪に問われる法律を作ると、日本では欧米のようなヘンプ CBD 製品の解禁にもストップがかかる事になるでしょう。イタリアでは “カンナビス・ライト” と呼ばれる THC 0.6 % 未満の CBD 製品が解禁されたことで、睡眠薬などの精神科の処方薬の使用量が 10 %程度減少した事が報告されています。

https://www.greenzonejapan.com/2021/01/06/italy/

使用罪の創設はこのような恩恵への扉を閉ざすものです。 (*1)

正高氏は、大麻の厳罰化は非喫煙者が将来的に得られる恩恵を損なうと主張し、その根拠として、THC(テトラヒドロカンナビロール、向精神作用のある有効成分)含有量の低いCBD(カンナビジオール、向精神作用の無い成分)製品を合法化したイタリアでは、精神科の処方薬の10%程度が減少した事例を挙げ、日本でのTHC含有量の低いCBD製品が認可されなくなり、その恩恵が受けられなくなるとしている。

GZJの別ページでのイタリアの事例において、「合法化後に自己負担である処方箋医薬品の処方量が10%減少したのは、多数の患者が自費で医療大麻に切り替えた可能性を示唆している」と主張しているが、あくまで「示唆している」だけであり、その主張に調査などのエビデンスを全く指し示さないのは全く信憑性に欠け、信用するのが難しい。

また、正高氏は医師であるならば、その症状別に医療大麻と処方箋医薬品のどちらが統計学的に有意なのかを指し示すべきである。


保険制度上で処方箋医薬品をもらう分には、患者さんは自己負担がありません。にもかかわらず、睡眠薬や抗不安薬の全体的な流通量が1割程度低下したというのは、多くの患者さんがお金を払ってでも処方箋医薬品から医療大麻に切り替えることを選んだ可能性を示唆しています。(*2)



嗜好用大麻と医療用大麻の境界


医療使用は賛成だけど嗜好目的は反対
⇒ 生きづらさを緩和する使用は全て医療用途です

その他の治療法がない疾患や、命に関わる病気に優先して使用が認められるべきなのは間違いありません。しかし、どこまでが医療用途でどこからが嗜好なのかという線引きは、必ずしも簡単ではありません。

たとえば、うつの再発予防の為に使用する大麻は医療と嗜好の境界線に位置するでしょうし、人格障害や発達障害の方が大麻を吸っていた方が人間関係が上手くいくというのも判断が難しいところです。また診断がついていなくても、エンドカンナビノイドが不足しているために具合が悪い人も多くいるのではないかと考えられています。

https://www.projectcbd.org/ja/science/clinical-endocannabinoid-deficiency-reconsidered
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5576607/

WHOによると、健康とは単に病気がないだけでなく、肉体的にも精神的にも、社会的にも全てが満たされた状態と定義されています。 (*1)

以前の記事で述べたとおり、嗜好用大麻の使用により非使用者と比較した場合には、精神疾患や依存症などのリスクが高くなる事が判明しており、特に若年層においては依存症などの精神疾患リスクがより高く(*3)なる。

昨今の諸外国の大麻合法化や非犯罪化の動きに合わせ、嗜好用大麻が安全であるというデマ情報がインターネットにより拡散されている事などから、若年層を中心に大麻生涯経験率は上昇し、2020年上半期の大麻事犯検挙人員において、リスクの高い20代以下の検挙人員が68.8%(1,557人)と大半を占めており、公衆衛生を向上、増進させる為にも嗜好用大麻と医療用大麻を明確に区分けするべきである。



大麻は暴力に繋がるのか


「大麻でおかしくなった人に危害を加えられても同じ事言えるか?」
⇒ 大麻は暴力犯罪には繋がりません。

お酒で暴れる人がいる為でしょうか、大麻の酩酊でも暴力的になると信じている方がおられますが、これは間違いです。大麻の影響下で暴力的になることは基本的にありません。

一つ有名なエピソードを紹介しましょう。2004年、フランス vs イングランドのサッカーの国際戦を迎えることになったリスボン市民は戦々恐々としていました。というのは「フーリガン」と呼ばれるイングランドの熱狂的なファン達は、酔って乱闘騒ぎや暴動を起こす事で知られていたからです。イベントを円滑に進めるため、リスボン警察は一計を巡らせました。事前に両国のファンに対して、「スタジアムで大麻を吸っていても当局は逮捕せず、いかなる制裁も加えない」と呼びかけたのです。この大麻解禁の結果、イングランドが敗れたにも関わらずスタジアムではいざこざは起きませんでした。しかし街に戻ったファン達がバーで悲しみをお酒で紛らわせると両国のファンは敵対し、数百名の逮捕者を出すことになったそうです。

https://www.theguardian.com/uk/2004/jun/11/drugsandalcohol.football (*1)

世界的な総合科学誌「nature」に掲載されたMélissa Beaudoinら(2020)の研究(*4)では、暴力と重度の精神疾患と診断された者の大麻の使用にはやや強い関連性があるとしており、統合失調症と診断された者においての縦断的な調査では、大麻を継続して使用した場合にその後の暴力を予測できる程の関連がある事が判明している。

また、M. J. McHughら(2016)の研究(*5)では、精神疾患リスクが極めて高い者(UHR:190人)の縦断的調査では大麻乱用者は58%にのぼったが、うち、弱い精神病症状群(APS:精神病閾値以下の弱い陽性症状を示す群(*6))の病歴を有した26%の者が、他の者よりも精神病性障害(幻覚、妄想、まとまりのない会話、まとまりのない行動など(*7))に移行する可能性が4.9倍高かった。精神病性障害は統合失調症に似た症状であり統合失調症に移行する者もいる。(*8)

あくまで仮説になるが、物質使用障害になりやすい精神疾患リスクのある者が非犯罪化などにより大麻を乱用した場合、精神病性障害への罹患から統合失調症に移行し、暴力に繋がり犯罪を引き起こす可能性は容易に想定できるのではないか。





厳罰化は薬物使用を止められないのか


「むしろお酒やタバコも厳罰にすべき」
⇒ 厳罰化は薬物使用を止める事が出来ない事を歴史が証明しています。

大麻がお酒やタバコより安全であると伝えると、「ではお酒も禁止するべきですね」と仰る方がいます。しかしこれは上手くいかないことを歴史が示しています。1920年、アメリカ合衆国政府はアルコール飲料の製造販売を禁じる禁酒法を導入しました。しかし人々のお酒への欲求を抑えることが出来ず、密造酒がはびこり、粗悪品による健康被害が生じ、違法にアルコールを商うギャングの台頭を許しました。この政策は誤りであった事が認められ、1933年に撤廃されています。ここから得られる教訓は、禁止と厳罰化は薬物問題を解決に導かないということです。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54893860X20C20A1000000/ (*1)

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(*11)では、2019年の直近1年以内に大麻を経験した者は0.1%(総務省統計局による2020年(令和2年)7月1日現在の15~64歳人口は7,464.5万人(*12)であるので約7.4万人)であり、、実に99.9%(約7,457.1万人)が大麻を使用していない。また、表中のなんらかの薬物を経験した者は0.24%(約17.9万人)であり、97.6%(約7446.6万人)が薬物を使用していない。正高氏の禁止と厳罰化は薬物問題を解決に導かないという主張は全くの事実無根である。





大麻より安全なLSDやマジックマッシュルーム


「大麻が安全というなら、それより安全とされているマッシュルームとか LSDの合法化も訴えるのか?」
⇒ その通りです。医療使用にも注目が集まっています。

同じようなロジックで、「では大麻より安全な薬物とされている LSD や MDMA、マジックマッシュルームも合法化すべきなんですね」と仰る方もいます。答えは Yes です。これらの薬物を違法な状態にしておくメリットは(取締利権を除いて)ありません。むしろ違法なストリートドラッグであるが故に、“混ぜ物”による死亡事故が発生するのです。特に LSD やマジックマッシュルームなどのサイケデリックスは今、うつ病や PTSDなどの治療法の乏しい精神疾患への特効薬としての期待が高まり、研究が進められています。

https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/2020-03-01-psychedelic-medicine-cnihub (*1)

大麻や覚醒剤などもそうだが、LSD 、 MDMA、マジックマッシュルームなどの幻覚剤などは心身の感覚に通常ではない感覚をもたらす事から、犯罪に使用されるおそれもあるものであり、医療用とは明確に区別すべきである。

マジックマッシュルームに関しての直近1年の薬物使用に関する調査は存在しないが、LSDとMDMAにおいての2019年の直近1年の使用経験率は共に0.04%(*11)であり、犯罪に使用される恐れのある薬物であるので規制により抑止力を保ちつつ、治験などでエビデンスが確認されたものから医療に限定して利用するのが最適解ではないだろうか。



反社の資金源は合法化すれば解決するのか


「反社会勢力の資金源になっているから厳しく罰するべき」
⇒ 合法化すれば解決します。

反社会勢力が大麻を資金源にできるのは違法だからです。合法化し国が課税、管理すれば、この問題は解決します。 (*1)

2012年に嗜好用大麻が合法化されたコロラド州では、大麻の違法市場を減少させる事を目的の一つとしていたが、流通用大麻は栽培場の構造や土壌などにも基準が設けられ、品質検査もされる事から製造コストが嵩み、また、正規店で購入する大麻には課税される事もあり、安価に購入可能な違法大麻の需要が増加している可能性がある。それを裏付けるように違法大麻の組織犯罪は年々増加している。(*13)

他方で2018年に合法化したカナダでは、目標に掲げていた違法市場の撲滅は達成できておらず、大麻購入者の42%が違法大麻を購入(*14)している。その理由として、流通用大麻では製造の厳しい安全基準により費用がかかり、違法大麻よりも割高になる事があげられる。(*15)

合法化している諸外国において流通用大麻はコストが嵩む事から違法大麻の需要があり、違法市場の撲滅には至っておらず、日本においても同様の問題が発生する可能性が高い。



諸外国では仕方なく合法化されたのか


「海外では “仕方なく” 合法化された」
⇒ そんなことはありません。民主的な投票によって合法化されています。

日本の公的機関やメディアが、海外での合法化に言及する際に頻繁に使われるロジックが、海外では大麻が蔓延し過ぎて規制が困難になったから仕方がなく合法化したというものです。合法化の理由は複合的なものですが、注目して頂きたいのは、民主的なプロセスによって合法化が選択されているということです。アメリカでは 15州で嗜好品としての大麻が合法化されていますが、そのほとんどが住民投票の結果です。現在、日本で行われている密室会議と比べて、オープンなプロセスと言えるでしょう。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Cannabis_in_the_United_States (*1)

2016年の嗜好用大麻合法化のオンラインパネル全米調査では、回答者の60%以上が「税収の増加」「刑務所における収容者の削減」「法執行機関の経費削減」「新しい産業の創出」などの経済的観点から大麻の合法化に賛成していた。(*13)

NIDA(米国国立薬物乱用研究所)によれば、米国刑事施設全収容者の75%で収監されるにあたり違法薬物が関連(*16)しており、刑事施設収容者約143万人中65万人(約46%)が薬物関連事犯である。

連邦刑務所受刑者の年間1人当たりの費用が37,499ドル(1日あたり102.6ドル)であるので、刑事施設収容者全体の年間費用は536.2億ドルとなり、薬物関連事犯の年間費用は約24.3億ドル(2,347.3億円)となる。(*17)

米国では違法薬物が犯罪に関与している比率が高い事から莫大な費用が発生しており、公衆衛生上の懸念よりも経済性を優先さた結果、民主的な投票により「仕方なく」合法化した可能性が高い。(*13)





日本から出ていく方が確実


「海外では合法?ここは日本。嫌なら出て行け。」
⇒ 法律とは改正されるべきものです。六法全書は神のお告げではありません。

我々は日本の法律を守りつつ、制度の見直しを提言しているだけです。社会の変化がめまぐるしい今日、実情に即した法律の修正のために立法府が存在しています。「ここは日本、嫌なら出て行けという文句」は、どちらかというと国家運営の根幹である憲法を改正し、核兵器を合法化しようとしている人たちに対して向けるのが適切だと思われます。 (*1)

諸外国と状況の違う日本では非犯罪化や合法化は非現実的であり、大麻非犯罪化や合法化で市民運動をするのであれば、合法化や非犯罪化している国に移住するのが効率的であり確実である。薬物経験率の低い日本においては嗜好用大麻などの薬物の使用は禁止し、治験などでエビデンスが証明されたものから認可すれば、公衆衛生を向上させ、費用対効果は高くなる。

違法薬物による被害が最小限に抑止されている日本において、非犯罪化や合法化でリスクを冒してギャンブルをする必要性は全く無い。精神科医である松本俊彦氏も合法化は支持していない。


今からアルコールを違法薬物とする必要はないのと同じレベルで、多少とはいえ依存性や健康被害がわかっている大麻を、いまからあえて解禁する理屈もないと思います。その意味では、僕は別に合法化を支持しているわけではありません。(*9)

余談になるが、仮に近い将来において、社会保障費などの負担が著しく大きくなり可処分所得が著しく減少した場合に、在日米軍を駐留させるよりも核兵器を配備した方が費用対効果が高く、実情に即している事が判明した場合には、正高氏は賛成するのだろうか。




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(*1)引用元・よくある反対意見に反論します | 一般社団法人GREEN ZONE JAPAN
(*2)引用元・CBDが処方箋医薬品を減らす ー イタリアの事例 ー | 一般社団法人GREEN ZONE JAPAN
(*3)参照元・Ken C Winters , Chih-Yuan S Lee (2007) | Likelihood of developing an alcohol and cannabis use disorder during youth: association with recent use and age | ScienceDirect.com
(*4)参照元・Mélissa Beaudoin, Stéphane Potvin, Charles-Edouard Giguère, Sophie-Lena Discepola & Alexandre Dumais (2020) | Persistent cannabis use as an independent risk factor for violent behaviors in patients with schizophrenia | npj Schizophrenia - Nature
(*5)参照元・M. J. McHugh,P. D. McGorry,A. R. Yung,A. Lin,S. J. Wood,J. A. Hartmann and B. Nelson (2016) | Cannabis-induced attenuated psychotic symptoms: implications for prognosis in young people at ultra-high risk for psychosis | Psychological Medicine | Cambridge Core
(*6)参照元・早期精神病の診断と評価 症候とバイオマーカー | 高橋努氏 | 精神神経学雑誌オンラインジャーナル
(*7)参照元・精神病性障害 | 脳科学辞典
(*8)参照元・(他の精神病性障害)統合失調症に似た症状を呈する病気との鑑別診断 | 統合失調症ナビ | ヤンセンファーマ
(*9)引用元・「麻薬中毒者台帳は廃止して」 大麻使用罪創設なら守秘義務に配慮を | BuzzFeed Japa
(*10)参照元・覚醒剤による精神病と関連した脳体積減少 覚醒剤精神病における前頭極と左半球シルビウス裂周辺構造物の灰白質体積減少 | 東京大学
(*11)出典・薬物使用に関する全国住民調査 (2019)| 薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究 | 令和元年度 総括・分担研究報告書 | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 研究代表者 嶋根拓也氏
(*12)参照元・人口推計(令和2年7月1日現在確定値) | 総務省統計局
(*13)参照元・米国における大麻規制の現状 医療用途と嗜好品 | 富山健一氏 舩田正彦氏 | J-STAGE
(*14)参照元・カナダ東部・スミスフォールズ 上塚真由氏 大麻合法化1年、カナダはどう変わった | 産経新聞
(*15)参照元・カナダ大麻合法化でも、闇市場で買うしかない人々 | ニューズウィーク日本版
(*16)参照元・Criminal Justice DrugFacts | National Institute on Drug Abuse 米国国立薬物乱用研究所
(*17)参照元・Prisoners in 2019 | U.S. Department of Justice 米国司法省
(*17)参照元・Annual Determination of Average Cost of Incarceration Fee (COIF) | Office of the Federal Register
(*18)参照元・法務総合研究所研究部報告62 第4章 諸外国における薬物事犯者処遇 | 法務省
(*19)参照元・2020年(令和2年)版 犯罪白書 -薬物犯罪- HTML版 | 法務総合研究所 法務省
(*20)参照元・違法薬物の非犯罪化は完全に間違いであり厳罰化が正しい | 澤田貴行 | ギャンブル依存症だった人のブログ
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パチンコ店のくぎ調整の摘発

2022年の秋になり、「くぎ調整」による摘発が京都府と新潟県で相次いだ。釘調整は風営法ではメンテナンス名目以外での調整が禁じられているが、パチンコ店において損益分岐点を調整する為には必要不可欠であり、常態化しているのが現実である。そこで本項では遊技者目線も踏まえた警察庁への提案をする。



パチンコと釘調整の射幸心

パチンコ店での釘調整は「偶然に得られる成功や利益を当てにする」射幸心を過度にあおるために禁じられていますが、射幸心は遊技者、ひいてはギャンブルを行う者の知識によって可変を致します。

その理由は、上級者は釘を見る技術を用いて期待値を算出し、期待値がプラスである場合には大数の法則により勝利を確信して遊技を開始するからです。大数の法則は「短期では偶然でも長期では必然」であり、確率論、統計学における基本定理です。上級者は質的、情緒的に遊技を致しません。量的、論理的に遊技の開始や継続の可否の判断を致します。偶然に得られる成功や利益を当てにはしておりません。

しかし、釘調整を禁止し、間隔を開ける調整が不可である場合、上級者は釘を見て遊技を中止しますが、初級者等の釘を見る技術が無い遊技者は、間隔を開けた勝てる台に偶然に座る事も出来なくなり、大数の法則により必然的に負ける遊技となり負け額が増大します。

釘の間隔を開ける調整の禁止は還元率を下げ、逆に射幸性を高める事になり、全遊技者から捉えた場合には完全に賭博化し、本末転倒な結果となります。



ギャンブル依存症と客の技量

公益財団法人日本遊技機工業組合社会安全研究財団パチンコ・パチスロ遊技障害研究成果中間報告書(*1)では、ギャンブル依存症に「月の遊技負け額が多い」等の関連している項目があるので、風営法においての「客の技量」の実態である釘を見る技術や戦略的な確率論の知識の啓発が依存症を撲滅する要因となります。ギャンブルを行ったから依存症では無く、ギャンブルの知識が当初から無いから依存症になるのです。

また、「パチンコの出玉性能とパチンコ・パチスロ遊技障害の因果関係ーパネル調査による研究ー 」IRゲーミング学研究 (18)2-12,2022年3月(堀内由樹子,秋山久美子,坂元章,篠原菊紀,河本泰信,小口久雄,岡林克彦)では、出玉性能(射幸性)とパチンコ等での依存症との因果関係が無かった事が判明しております。



風営法改正の提案

風営法による賭博性の管理は、情報が共有されておらず、射幸心を有する人が多い時代では、射幸心を理由に賭博性を抑止するのが合理的でありますが、インターネットで情報が共有され、射幸心の無い人が多い現代では合理的では無いと考察できます。

このような理由から、釘調整を認め、パチンコ台の機能である役比モニターを利用して、機種毎の設定された下限値を下回った場合に摘発とした場合の方が、パチンコ業界や遊技者の現状等に即して合理的であると考察致しました。



eSportsとパチプロ(専業)

ゲームにおいてeSportsを許可し、「プロゲーマー」を許可するのであれば、パチンコやパチスロにおいても「パチプロ」を職業として認めるべきです。その理由は出玉管理がスマパチやスマスロが導入されオンラインで容易になり、遊技者をマイナンバーと電子マネーで紐づけ、オンラインで入出金管理が出来れば、適切な課税が可能だからです。

日本は自由主義国家であり、昨今は多様性が求められておりますが、情報が共有されていない時代に定められたパターナリズム的な賭博罪や風営法は、インターネットにより情報が共有される現代に即した法律への再検証が必要であると感じます。



警察庁御意見箱

警察庁では意見を募集しておりますので、パチンコ業界の関係者の方々は、業界の実態に即した意見を提出するのも、業界改善の為の一つの手段になると思います。

警察庁御意見箱:https://www.npa.go.jp/npa_goiken/opinion-0001.html



(*1)参照元・公益財団法人日本遊技機工業組合社会安全研究財団パチンコ・パチスロ遊技障害研究成果中間報告書(2020)


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